女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」:Prologe「Overture」(9)-1

「おい、『ヤングポテト』はちゃんと持ってきたんだろうな」
「あ、あア、ちゃんと持ってきたけどヨ、何に使うんだヨ、こんな芋」

青年ハンターが、コルネットの家に泊まる事になってから次の日、ディキシー達3人組は、ヒンメルン南部の密林に来ていた。
だが、その際に、タッシュから奇妙な注文があった。
「家にある、『ヤングポテト』をありったけ持ってこい」と。

ディキシーとマイノは、一応言われた通り、芋を袋に詰めて山盛り持ってきたが、何に使うのかさっぱり不明だった。

「あの青年ハンターを、罠にかけてやる。そのための下準備だ」
「マジでカ!? 何か作戦があるのかよ!?」
「ああ、絶対にこの村から追い出してやる。 お前らに任せちゃおけねえ」
「一体、どういう心変わりだ? 前までは、それほど乗り気ではなかっただろう」

マイノがそう質問し、ディキシーもうんうんとうなずくが、実は、もう事情は知っていた。
タッシュが思いを寄せている、コルネット宅に青年ハンター泊まった事はもう噂になっている。
大方、コルネットを青年ハンターに奪われるのでは、とビビッているのだろう。
何の事はない、シェリーを奪われるかもしれないと怯えていた、昨日までのディキシー達と全く同じだった。

「…何でもねぇ。 お、お前らだけじゃロクな考えも浮かばないだろうから、俺が手伝ってやるよ」

タッシュは、精一杯の強がりでそう答える。
ディキシーは、タッシュの真後ろで、一度タッシュを指差してから、玉から滑り落ちるピエロの仕草を真似た。
その大仰なパントマイムを見て、マイノは声を出さずに大笑いする。

「で、だ。お前ら」
「何だ、タッシュ」
「何だヨ、タッシュ」
「お前ら、奴の事を調べて、何か分かったのか? 分かったのなら、教えろ」

そういうと、ディキシーとマイノは、2人顔を合わせて、マズイ表情をした。

「いやァ、村長もよォ、やっぱアイツは強いって言ってたゼ」
「弱いんだろ、とカマをかけてみたが、普通に否定されたからな」
「それだけか?」
「あア」

タッシュは、露骨に顔をしかめて舌打ちする。

「バカが、それじゃ結局俺がやるしかねーじゃねーかよ」

「…んでよォ、一体、この芋もって密林に来る事に、何の意味があるんだヨ。いい加減教えろヨ」
「ファンゴを捕まえるんだよ」

そう言うと、タッシュはそこらへんに生えている「ネムリ草」を採取し、ナイフで刻んでヤングポテトの中に混ぜ込んでいく。
つまり、そのヤングポテトは、ファンゴに食べさせ、寝かせて捕える罠だったらしい。

「ファンゴを、あの青年ハンターにけしかける。 それで奴は、この村を追い出される事になる」
「…んな訳ねぇだろうガ」
「全くだ、奴は一人でモンスターを何体も倒す猛者なんだぞ? ドスファンゴならまだしも、ファンゴとか相手になるか」

「…それは、あの青年ハンターが、まともな状態だったら、の話だろうが」

タッシュは、作業をしつつ、2人には目もくれず答える。

「奴のボウガンがイカレちまえば、ファンゴすら倒せなくなる。 問題ねぇ」
「…そんな事できるのカ!?」
「ああ、できる。 いくつか策を考えてある」
「どうやってだ!?」
「それは、おいおい説明してやるよ」
「さすがだな、タッシュ。 腹の黒さでお前にかなう奴はいないぞ」
「褒めてんのかよ、それ」

またも舌うちしつつ、タッシュは作業に戻る。
ヤングポテトを荒々しく刻みながら、彼は誰に言うともなしに呟いた。

「クソがっ…。 テメェ、絶対に許さねぇからな…。」


場面は移って、ここはコルネット宅。
青年ハンターの前には、テーブル一面に、とんでもないほどの食事が供されていた。

昨晩、コルネットから、ウチの家に泊まりませんか?
と言われ、村長から許可を得てきた…との事だったので、青年ハンターもやむなくコルネット宅にお邪魔する事になった。
できるだけ、波風を立てないのがギルド直属ハンターの宿命なので、村人からの申出を断るのは下策だったからだ。
しかし、その歓待ぶりは物凄く、比べては悪いが、シェリー宅とは天地の差だった。

プリンセスポークの丸焼きに、ワイルドベーコンをオイルレーズンと混ぜて焼いたもの、五香セロリとレアオニオンのサラダ、フラヒヤ麦から作った頑固パン、北風みかんにフラヒヤビール…と、この村ではほぼ最上級の食事。

「さぁどうぞ、ギルドのハンターさん! 遠慮しないで、じゃんじゃん食べてね!」
「あ、はい、美味しく頂いてます」

コルネットの母親である、ゾラは次から次へと料理を持ってくるし、父親のジアドもどうぞどうぞ、と言った塩梅でビールをじゃんじゃん注いでくる。
コルネットの弟、ジョゼは、まるで英雄を見るような眼で話をせがんでくるし、コルネットは、そんな自分をうっとりと眺めていた。

どこで働いているのか、身分は何なのか、どんなモンスターと戦ったのか…。
そんな事をジアドやジョゼにひっきりなしに聞かれ、適当に答えている間に、時間は飛ぶように過ぎ、一日がそれで終わった。

青年ハンターがようやっと解放されたのは、次の日の夕方、つまり今だった。

「…いやぁ、何だか申し訳ない。 こんなに歓迎して頂いて」
「いえいえ、全然気になさらずに! だって、貴方は村を救いに来た、ギルドの勇者なんですもの、これくらい当たり前ですわ!」
「いやー、勇者…ってほどじゃ全然ありませんけどね」
「また、そんな謙遜を…。 奥ゆかしい方ね」
「奥ゆかしくもないですよ、どっちか言うと強情な方です」
「御冗談を! …あの、湯殿が用意できてますから、都合の良い時にお入り下さいね」
「あ、どうもありがとうございます」
「じゃあ、また後で!」
「はい、またー」


そう言って、青年はため息をつくと、湯殿に向かって歩き始めた。
何かいろいろと精神的に疲れたし、丁度風呂にも入りたかった所だ。

一度部屋に戻ってボウガンの無事を確認し、タオルと用意された着替えを持って、青年は離れの湯殿へと向う。
高地の湯殿は、大抵の場合がサウナ風呂である。
コルネット宅のも同じ作りで、岩を組んで作った風呂屋の中央に、巨大な暖炉が置いてある。
その上に、蒸気をもうもうと噴き出す、デカい薬缶が置いてあった。

岩部屋はすでに蒸気がいい感じの室温になっており、もたれかけた岩肌もかなり暖まっている。
天井には小さな吹き抜け窓があって、そこからは月が見えていた。

「(…シェリー、どうしてるかな)」

月を眺めながら、ふと、青年はそんな事を思った。
家族の真実を知ってから、無事、立ち直っただろうか。
隣宅に居るとは思わないだろうが、それでも、探しにすら来なかったから、まだ落ち込んでるのかもしれない。

「あのー、お湯加減、いかがですかー!?」
「うわっ!? は、はい、とってもいい感じです!」

外から、急にコルネットの声が聞こえた。
青年が湯殿の中に入ったのを確認して、後を付けてきたらしい。

「ちゃんと汗、出てますかー!?」
「は、はい、出てます、出てまーす!」

なんなんだこの人?
青年ハンターはそう思ったが、さらに、次の瞬間、驚くべき事が起こった。

「…じゃあ、お背中、流させて下さい」

その声が聞こえると同時に、湯殿の木戸が、ゆっくりと空いた。
そこには、タオル一枚だけを裸身に巻いた、コルネットの姿があった。

「…!?」

青年が驚いている間に、コルネットは後ろ手で、湯殿の木戸を閉める。
垢落としと肌を叩くための檜の棒を持って、ゆっくり近づいてくる。
そして、青年のすぐそば、肌が密着せんばかりの距離に腰掛けてきた。

「ど、ど」
「そんなにビックリしなくて良いんですよ、これがウチのしきたりなんですから…。 にしても」

コルネットは、青年ハンターの全身を見回しながら言う。

「…痩せてらっしゃるように見えたんですけど、意外と筋肉あるんですね。 …素敵」

そう言いながら、青年の胸元や、腕に手を伸ばしてくる。

「ちょ、ちょっと…!!」
「あ、ごめんなさい、はしたない真似して…ふふ」

そう言って、コルネットは手を引っ込める。

「ところで、一つお伺いしたい事があるんですけど」
「な、何ですか?」
「…あたしの事、どう思います? 胸のない娘は、魅力ない?」
「い、いや、そんな事は」

もはやこの展開、何がどうなっているのか、さっぱり分からない。
だが、コルネットは、潤んだ瞳で青年を見つめてきた。

「そう、よかった…。 貴方が嫌じゃなければ」

そして、前で合わせていた、バスタオルの結び目を解く。
ハラリと胸元と下腹部までがはだけ、絹のような白い肌が露わになる。
その肌は、熱で桜色に染まっていた。

「…好きにして。 お願い」


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「おごっ、はぁぁぁああっっ!!」

グワシャァ、という凄まじい打撃音が、学長室を響かせる。
同時に、どんがらがっしゃーんと、辺りのいろいろな何かが、様々に飛び散る音。

ご察しのとおり、グワシャ、はソルト学長がリンに顔面を痛打された音だ。
もちろん、例のラージャンの彫像で。
どんがらがっしゃんは、その余りの勢いに、ソルトがソファごと後ろに倒れた音だった。

「だから、エロ描写は要らないって、言ったでしょうがッ! 油断も隙もない!」
「く、くそ…。せっかく、真面目モード続けてたから、油断してたと思ったのに…。」
「何なんですか、これ? 戯曲『銃の英雄』って、こんないやらしいシーンばっかりなんですか!? お下劣です!!」
「バカを言うなッ! 古から連綿と語り継がれてきたこの曲が、そんな下品な訳あるか!!」

え? じゃあ、という事は…。

「…もちろん、このオフロシーンは僕の創作に決まってるッ!」

ソルトは、さわやかな風の中、白い歯を見せつつ、リンに向かってビシッと親指を立てた。

…次の瞬間、再度唸りを立ててラージャンの彫像が飛んできた。 ソルトの顔面に。

「うっぎゃああああああっっっっっーーーっっ!!」

「い い 加 減 に し て 下 さ い」

地獄から来た兄弟も裸足で逃げ出すような、ドスの利いた声でリンは凄む。

「ちょ、ちょっと、お願いだから、ラージャンの角の部分で殴るの止めてくれない!? 額に刺さって凄く痛いんだから!」

額に刺さったラージャンの彫像を、ソルトはきゅぽっと引っこ抜く。
そこから血がどくどくと噴き出して、まるで第3の目が覚醒したようなビジュアルになった。

「誰が悪いと思ってるんですかッ! 全部自業自得でしょうがッ!」
「すいましぇん…」

身分ある学長なのに、ソルトは腰低く素直に謝る。

「エロくてすいません」
「…頭痛いですよ、ホントに」
「僕も痛いです」

ソルトの発言を無視し、リンは話を先に進める。

「…それで、この、『銃の英雄』、原典はどうなってるんです? どこからがホントの話なんですか?」
「ああ、風呂に入った青年ハンターはね、エッチイベントに出会う事無く、普通に寝床につきます。以上」

お風呂シーンを通り過ぎた途端、ソルトは猛烈にやる気をなくしていた。
ダメだコイツ。


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「…いやぁ、何だか申し訳ない。 こんなに歓迎して頂いて」
「いえいえ、全然気になさらずに! だって、貴方は村を救いに来た、ギルドの勇者なんですもの、これくらい当たり前ですわ!」
「いやー、勇者…ってほどじゃ全然ありませんけどね」
「また、そんな謙遜を…。 奥ゆかしい方ね」
「奥ゆかしくもないですよ、どっちか言うと強情な方です」
「御冗談を! …あの、湯殿が用意できてますから、都合の良い時にお入り下さいね」
「あ、どうもありがとうございます」
「じゃあ、また後で!」
「はい、またー」

湯殿で一汗を流した後、青年ハンターは床についた。
用意されたベッドも、随分ふかふかで豪奢なものだった。

「(こりゃ、早めに逃げる準備しないと、マズイなぁ…。)」

ここまで歓待されると、村人に恩義が出来てしまって、逆に思い切った行動が取れなくなる。
一応、自分が何者かは喋ったのだが、何か自分に過大な期待をかけているとも限らない。
早いうちに恩返しをして、お暇するのが利口かもしれない。
でもまぁ、明日からか…な…。

精神的に疲れきっていた青年ハンターは、自分でも気付かないうちに、眠りに落ちていた。


「どうだい、コルネット? お前の未来のお婿さんは、寝てくれたかい?」
「うん、いい感じ。ありがとう、お母さん」

様子を見に、寝室から帰って来たコルネットに、ゾラは温めたヤギミルクを渡した。

「…にしても、あの人が、シェリーの家に泊まる事になってたって、全然知らなかったわ。 お母さん、教えてくれても良かったじゃない」
「ハンターの事については、村長からの連絡で知ってはいたけど、やっかい事はご免だからね」
「何よ、でも言ったでしょ? あの人、ギルドナイトなのよ? もしも結婚出来れば、ギルドからの報酬で、一生遊んで暮らせるわ」
「ギルドナイトねぇ…。 シェリーの父親みたいな、腰ぬけじゃなけりゃ、今すぐにでも式を挙げさせてやりたいけどね」
「…そこらへん、どうなの? あの人、強いの?」
「まぁまぁ強いらしいわよ」
「まぁまぁ、かぁ。 でも、見た目がイイから構わないわ」

その時、暖炉の火がパチリと弾け、一瞬だけコルネットの顔に、深い影が射した。

「にしても…。 シェリーの奴、許せないわ…」
「どうしたんだい、穏やかじゃないね」
「だって、私が最初に、あの人に目を付けたのに、自分が先に家に連れ込んでるんだもの! 汚らわしい!」
「ホントだね、女の身一つで、男を連れ込むなんざ、常識を疑うね」
「お母さんも、そう思うでしょ!?」
「ああ、全くだよ」

「だから、もう、シェリーの奴に、食材はもう金輪際渡さないで。 あんな泥棒猫とは、友達になれない」
「もちろん、そのつもりだよ。 あの青年、案外食べるから、シェリーに渡す余裕もなくなりそうだしね」


<続く>
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*Comment

NoTitle 

早速丼$魔節がきいてますナ(何

ソルトのあまりにナチュラルなエロへの誘導にすっかり騙されましたw
  • posted by 者武 
  • URL 
  • 2010.05/19 23:07分 
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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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