女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」:Prologe「Overture」(6)

ヒンメルン渓谷の南部、うっそうと広がる密林地帯で、シェリーと青年ハンターは狩りにやってきていた。
中央ギルドに所属するハンターの戦いぶりは、さてどんなものかと思ったシェリーだったが、まず彼が最初に行った行動は、採集だった。

「いやぁ~、よく取れたね、最高だよ! ありがとう、シェリー!」
「う、うん…」

両手いっぱいにキノコを抱えた青年が微笑む。
シェリーも、一応生返事はしたものの、村長には役に立たないもの扱いされた、各種キノコ類。
多分、ギルド所属のハンターなら、何か目的があって集めた物だとは思うのだが、そもそも、こんなの何に使うんだろう?

「弾丸を作るのさ」
「弾丸…って、その、ボウガンで撃つための、弾?」
「そうだよ」

密林の、見晴らしの良い高台の上。
天気も良いし、遠くに目をやれば、轟々と流れる滝が見えたりして、なかなかに絶景だ。
だが、そんな風景に目もくれる事なく、青年は先にキノコの分類から入り、火薬草は天日で乾燥させつつ、手持ちの「カラの実」を使って、どんどん弾丸を調合していく。

…まさか、剣士と違って、ガンナーが、弾を作る作業から始めるとは思わなかった。
戦闘準備に、こんなに時間かかるとは。
最初に感じていた緊張感も、正直この、のんびり感に流されて、どこかに消え去っていた。

「…ねぇ、それは何を作ってるの?」

青年は、毒テングダケをすり潰して作った、ドロッとした液を、大きめのカラの実に詰め込んでいる。
何もする事がないので、青年が何をしているのか聞いてみた。

「毒弾LV1を作ってるんだよ」
「毒弾? 何それ」
「相手に毒を打ちこんで、体力を奪う弾丸さ」
「へー」

そんな事できるんだ。

「毒テングダケって、そんな風にも使うんだ…。てっきり、毒けむり玉の調合だけに使うのかって思ってた」
「毒弾の方が、わずかだけど相手を毒化させやすいからね」
「へー。 毒って、そんなに効くの?」
「割と」

割と…って、どんぐらいなんだろ。
こうして、青年と話していると、やっぱり自分は狩りの基礎や知識なんて、何にも知らない事を痛感させられる。
まぁ、もっとも、毒を塗った槍でもない限り、ランスで相手を毒化させるなんて無理だろうけど。

青年は、次から次へと弾丸を調合し、最後に、火薬草を丁寧にすり潰して、またも大きめのカラの実を選び、中に粉を詰めていく。

「それは、何?」
「火炎弾。着弾すると、衝撃で中の火薬草が燃えだして、ダメージを与えられるんだ」

ボウガンって、やっぱいろんな弾丸あるんだなー。
覚えるの、面倒臭そう…。

「ね、ボウガンって、弾丸はいくらぐらい、種類があるの?」
「通常系が3種、貫通系が3種、散弾系が3種、属性弾5種、状態変化系が7種、爆装系6種、最後にペイントで合計28種」

ぐはー。
無理! 覚える事多すぎ!!
ボウガンはあたしにはやっぱ無理!

「…よし、終わったよ、シェリー」
「うん、じゃあ、どうやって狩るの?」
「ここで狩るよ」
「へ?」

青年は、ペイントボールを取り出すと、高台を降りて地面を指した。

「ほらここ。 ゲリョスの足跡があるでしょ?」

そんな事言われても、彼女にはゲリョスの足跡など、見分けが付かない。

「ゲリョスは、かなり足腰が強い鳥竜種でね、地面を引っかけて走れる爪があるんだよ」
「…そして、自分の縄張りを定期的に見回る、強い周回性があるからね。 ホラ来た」

彼が空を見上げると、…本当だ、まるで予言したようにゲリョスがやって来た。
というより、彼はゲリョスが来るまで、調合しながら待っていたのだろう。

「シェリー、戦うよ! こっちに来て!」
「わ、分かった!」

上空から、ゲリョスが大きく翼をはためかせ、地上に降りてくる。
頭に発光器官を持ち、弾力に富んだ外皮を持つ怪鳥。
毒液を吐き、堅牢な足腰から繰り出される突進攻撃を持つ難敵だ。

ゲリョスは、その翼がはためかせる結構な風圧を周囲に撒き散らし、ズン、と軽い地響きを立てて着地する。

遂に、戦いが始まった。
不安は多少あったが、今日は二人だ。
ギルド所属のハンターである、彼が一緒に戦ってくれれば何とかなるかもしれない、と思いながら、シェリーは抜槍する。

「よし、行くよ、シェリー! ペイントするね!」
「う、うん!」

ところが、青年はゲリョスにペイントボールをぶつけると、シェリーを置いて即逃げ出した。

「ちょ、ちょっとぉ!? あんた、何やってんのよ!」

ゲリョスが、近くに居るシェリーに狙いを定めて、噛みつき攻撃をしてくる。

「きゃー!」

思わず、目をつぶって盾をかざす。
ゲリョスの噛みつきが、ガシィという音と共に盾にブチ当たり、痺れるような衝撃が右腕を貫く。

「何してんのよ、あんた! 一緒に戦うんじゃなかったの!? この卑怯者!」

青年は、さっきの高台によじ登り、ヘヴィボウガンを展開している。
そして、パァン、と言う乾いた音がしたと同時に、ゲリョスの尻尾が、ボッと小さく火を噴いた。

「もちろん、一緒に戦うよ~!」

高台の上から遠く響く、間延びした返事とは裏腹に、連続でパンパンと弾丸が撃ち込まれる。
それは的確にゲリョスの尻尾に命中、ボボボと尻尾が連続で火を噴き、その熱さでか、ゲリョスが大きくのけぞった。

…あ、もしかして、これ、さっきの「火炎弾」って奴?

自分の尻尾に攻撃をしたのは誰だ、と言わんばかりに、ゲリョスが高台の方をギロリと睨む。
そして、青年ハンターの姿を見つけると、ドタドタと高台の方へ駆け寄っていく。
ゲリョスは、高台の上に居る青年に向かって、毒液を吐くモーションを見せたが、青年は、さらにその上の高台に登って避けた。

「(ええっ、あんな闘い方、ありなの!?)」

ゲリョスが怒ってあれこれ攻撃を繰り出すものの、高低差に阻まれて、ゲリョスの攻撃は紙一重で届かない。
なのに、青年のボウガンから射出される弾丸は易々とゲリョスに届き、的確に頭を打ち抜いていた。
それは、呆れるほど一方な戦いの構図。
いや、もう戦いですらない、とも言ってよかった。

「おーい、シェリー!」
「な、何!?」
「君も、攻撃してごらんよ~」

高台の上から、のんびりした声が届く。

「(何よ、ガンナーって何なのよ…!)」

シェリーはアイアンランスの水平突きで、眼の前にある、ゲリョスの脚に攻撃を仕掛ける。
だが、ガァン、という衝撃と共に、槍が弾き返された。

「ぐっ…!!」
「違うよ、シェリー! 弱点を狙うんだよ!」

弱点!?

「ゲリョスはね、脚の筋肉が発達してるから、槍は通らないよ! 上突きで、尻尾を狙うんだ! そこなら柔らかい!」

…上突きで、尻尾?
それを聞いたシェリーは、構えを変えると、高台を狙い続けているゲリョスの尻を目がけて、思いっきり槍を突き出した。

ぐさり。

「ギョァァァアアアッ!!」

あ、何か、凄い痛そう…。
今までとは、全く違った感覚が腕に伝わる。
槍は深々とゲリョスの尻に突き刺さり、血のような体液がにじみ出てきた。

「そう、いい感じだよ、シェリー! そのまま、ラッシュして!」
「う、うん!!」

ぐさぐさぐさ!

「ギョピィィィィィィッッ!!!」

ゲリョスが、連続で尻を刺される痛みに耐えかね、見た事もないほどの無様な格好で怯む。

だが、やったと思った次の瞬間、シェリーは、ゲリョスの尻尾回転攻撃で吹き飛ばされて転がる。
油断した、と思った彼女が起き上がろうとした時、ゲリョスは「閃光」のポーズを取っていた。

頭の発光器官をカチカチならす予備モーションから発するその技は、凄まじい光を発し、周囲一体の生物の視覚を封じる。
眼をつぶったくらいで避ける事はできず、盾で光を遮り、なお眼をつぶるまでしないと防げない、あまりにも強烈な光。

手元の盾で光を遮ろうとして、慌てて構えるが、ゲリョスの方が早かった。
ゲリョスは翼を広げ、「閃光」のポーズを取る。
シェリーは、思わず眼をつぶるが…。

…あれ?

眼の前で、閃光を放ち終えたゲリョスが、独特のモーションで踊っていた。

…あたし、眼が、見えてる…?

「部位破壊は終わってるよ~」

高台の上から、青年が声を掛けてきた。

部位破壊?

「ゲリョスの発光器官は壊したから、もう『閃光』は放てない。 遠慮せず攻撃して大丈夫だよ~」

…そういや、確かに、ゲリョスの光は、頭の上の発光器官から発せられている。
剣や槍では、そこに攻撃を届かせるのも一苦労。
だけど、銃だと、そこに攻撃があっさり届くのか…。

眼の前では、相変わらず落雷のようなボウガンの弾が、次々とゲリョスの頭に降り注いでいる。
思わず、高台を見やったシェリーに、青年は声を掛けてきた。

「ほら、シェリー! 恐れる事なんて何もないよ! 遠慮なく、槍を繰り出してごらん!!」

…その言葉に突き動かされるように、シェリーはまたも上突きを繰り出す。
狙いは彼の教えてくれた弱点、尻尾。
鋼のように硬いと思っていたゲリョスの体が、全然別物のように槍が通る。

ゲリョスが、再度「閃光」のモーションを取るが、シェリーは今度はお構いなしに攻撃した。
当たり前の結果だが、今度も「閃光」は無為に終わる。
その隙に攻撃を加えると、面白いようにゲリョスは怯んだ。
自分の攻撃が通用してるんだってのが、初めて実感として分かった。

閃光で眼つぶしさせられる事もなく、弱点の尻尾も存分に狙える。
自分と青年、2人がかりで攻撃する事で、攻撃量は倍になり、被弾の機会は半分になった。

シェリーが攻撃している間も、高台からの青年のボウガンの攻撃は間断なく続き、やがて、ゲリョスはビックリするほど早く、地面に倒れこんだ。

「えっ、もう? もう、終わり!?」

キュウウゥゥ、と断末魔の声を上げて、ゲリョスが地面に寝そべる。

「待った! 近づくな!」
「えっ!?」

パンパン、と青年が、ゲリョスの遺骸に弾を撃ち込む。
何をしてるのかしら…と思ったが、青年が「もう良いよ」とのジェスチャーをしたので、ゲリョスに近付いた。

「…あの、さっきの弾を撃ったのは、何だったの?」
「ゲリョスはね、時々『死んだふり』をして強襲してくる時があるんだよ。油断してると痛い目に逢うから、一応確認したのさ」
「はぁー」

さすが、というか、青年は確かにベテランのハンターだった。
正直、自分をあれだけ苦しめていたゲリョスが、こんな短時間であっけなく沈んだのは、正直意外だった。
自分が凄く強くなったような、そんな錯覚さえしてしまう。

…いや、そうじゃない。
きっと、この青年が凄く強いんだ。
それに、この、「アルバレスト改」って銃も…。

「怪我はないかい、シェリー」

そう言って、青年は「回復薬」を取り出す。

「あれ、貴方、回復薬は持ってないんじゃなかったの?」
「さっき、弾丸作ってた時に、一緒に調合してたんだよ」
「あ、ありがと…。 それより、貴方は怪我はないの?」
「ある訳ないよ、僕、高台の上から撃ってただけだし」
「それはそうね」

確かに、ああいう戦い方ができるなら、ガンナーは傷を負ったりはしないだろう。

「(ボウガンって、便利だなぁ…。)」

「ところで、どうする? 回復したのなら、もう一戦くらい、どうだい?」

青年は、ゲリョスの素材を剥ぎながら言う。

「え、良いの?」
「一匹くらいじゃ、丁度良いウォーミングアップ程度さ」


その日の夕暮れ、セレス村の村長宅。
結局、ゲリョス4体、クック1体を狩ったシェリー達は、同じく狩りから帰ってきていたディキシー達と鉢合わせた。

こちらの猟果は2人で5体、あちらは3人で3体。
その圧倒的差に、ディキシー達3人は黙り込み、村長ですらが感嘆の声を上げた。

村長の手元に、換金できるだけの現金がなかったため、とりあえず1,000Zだけ貰い、残額は今回の素材が売れてから、という事になった。


「あーよかった、気分最高よ~! ありがとう!」
「それは何より」

食事を終えた2人は、居間でくつろぎながら、今日の狩りの出来事を話題にしていた。
セレス村は標高が割と高いため、天気が悪い日は冷え込む事も多い。
今日は暖炉が赤々と燃えていたが、青年は暖炉から離れた所で、テーブルを借りて銃のメンテナンスを行っていた。

「もう、あいつらの顔ったらなかったわ! もう、私たちを見る目が、全然違ってたもん!」
「それは何より」

「あんたらと、この人は根本的な実力が違うのよ! って言ってやっても、何も言い返せないんだもんね!」
「それは何より」

「それにしても、ボウガンって強いのね~、私も使ってみようかな」
「それは何より」

「…アンタ、人の話、聞いてる!?」
「え、今、何て言ったの?」
「バカ、って言ったのよ!」
「そりゃ酷いなぁ」

酷いと言いつつも、青年は動じた様子もなく、銃を乾布で綺麗に拭きあげる。
そして丁寧に折り畳んで、きちんとケースに収納した。

「…君がいい気分になるのは僕も嬉しいけど、できれば、あまり波風立てて貰えないでくれると助かるな」

「…え? どういう事?」
「知ってのとおり、僕は中央ギルドの斡旋でここに来てるんだよね、つまり仕事で」
「うん」
「老山龍を狩るまで、まだ時間はある…。 それまでに村人とトラブルを起こしたくないんだよ」
「何で?」
「何でって、そりゃ僕が怒られるからさ、ギルドマスターから」
「そうなの?」
「そうだよ」

青年は苦笑して言う。

「君だって、戦果を上げられなかったら、村長から怒られるんじゃないのかい? 同じようにね、クエストをこなせなかったら、僕も大目玉さ」
「まして、クエストに失敗して村人を傷つけたり、施設を壊したりしたら、どうなるって思う?」

「…どうなるの?」

「『お前の所のハンターが、村人を怪我させたんだ!』って言われでもしたらね、ギルドが損害賠償を払うんだ」
「…で、その損害賠償額は、そのまま僕のお給料から、定期的に引かれていくと…。まぁそういう事な訳」
「だから、討伐要請に応えるギルド直属のハンターは、村人とのトラブルは厳禁なのさ」

そして、青年はシェリーにゆっくり近づくと、その髪を軽く撫でた。

「…こんな可愛らしい村の娘に手を出そうもんなら、僕はギルドから抹殺されるかもしれないね」

「…ほ、ホントに…?」

だが、それに青年は、薄笑いを浮かべるだけで、はっきりとは返事しなかった。

「…という訳で、よかったら、屋根裏部屋とか、納屋とか、君の気の済む所を案内してくれないかな? できれば野宿は勘弁願いたいんだけど」
「あ、ご、ごめん…。 お金あるんだから、宿を手配してあげればよかったね…。」
「良いよ、夜露さえ凌げれば別にどこでも」
「ここの居間なら、暖炉の残り火があるから、結構暖かいよ」
「悪いけど、火の気のない所が良い」
「何で?」
「ガンナーは火気厳禁だからね」

…結局、彼が選んだのは、屋根裏部屋だった。
ボウガンのケースを抱き枕のように横に並べると、着ていたマントを外して、それにくるまった。

冷気が静かに入り込む、屋根裏部屋で横になってる彼を見て、ある感情がシェリーの喉元まで出かけるが、彼女はそれを抑える。

代わりに、「ちょっと待って」と言い残して階下に降り、寝具入れの中から、亡き祖母が使っていた毛布を取り出した。
それをそのまま持っていこうかとしたが、あまりにも埃が酷かったので、代わりに自分の毛布を持っていった。

「ねぇ、屋根裏部屋、やっぱり寒いでしょ? 遠慮しないで、これ使って」
「…君の分は?」
「あるわよ、心配しないで」
「…なら、ありがたく借りとくよ。 おかげで、今日は良い夢みれそうだ」
「うん、じゃあ、おやすみなさい…。」

昨日まで、誰も居なかったこの家から返事が返ってきた。

「うん、おやすみ、シェリー。 また明日ね」

<続く>
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*Comment

NoTitle 

アルバレスト改ってG級武器ですか?アイアンランスと比べたらそりゃ強いわ…

弾の分類基準がすごくアバウトではないですか?「通常系3種」等はレベル別と意味をとるにしても、状態変化系(たぶん強化・回復・状態異常をひっくるめたんだと思いますが)にもレベル2の弾があるので7種類じゃ収まらないですよ?とりあえず気になったので…
  • posted by イクバク 
  • URL 
  • 2010.04/09 21:24分 
  • [Edit]

NoTitle 

いや、アルバレスト改はレア度2の超初心者用ボウガン・・

性能はあの時点では升ですが

いやぁ、ちょっと目を離すとあっというまに読んでない話が溜まっていきますね、読むのが大変だ(喜

相変わらずおもしろいです^^

でもこれ、なんか相当長くなりそうじゃないですか?
  • posted by 者武 
  • URL 
  • 2010.04/09 22:27分 
  • [Edit]

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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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