女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」:Prologe「Overture」(1)

湖畔のほとり、目の前には透きとおった湖。
その水辺に、一人の女性ハンターが居た。
赤毛を肩口で切りそろえた、ちょっとコケティッシュな感じの、可愛らしい女性。
アイアンランスとスティールメイルを装備したその女性は、ふぅ、一息つき、周囲に誰も居ないことを確認すると、ランスを置き、鎧を外し始めた。

装備を全部外し終えた女性は、インナー姿となった所で、再度周囲に誰もいない事を確認する。

…そうした所で、女性は、今度は、自分のインナー、ミナガルベストのボタンに手をかけた。
ボタンを外すと、ベストの中から、レースのあしらわれた可愛らしい下着が姿を見せる。
彼女は背中に手を回し、下着を脱ぐと、そこに隠された白い双丘が露わになる。

彼女は無意識に胸元を片手で隠しつつ、残った片手でスカートに手を掛ける。
するするとスカートを下ろしていくと、小さな下着を残して、その肢体も露わとなる。
実に女性らしい、柔らかな丸みとふくよかさを合わせもった体つき。
それだけではなく、ハンター業で鍛えられたのだろう、足腰は十分な肉感があり、ウエストも十分に絞られていた。

だが、ほぼ全裸になった彼女の全身には、まるで鞭で打たれたような痣があった。
首筋、背中、大腿部…。

赤く腫れあがったそれらの傷を自分で見ながら、彼女は顔をしかめる。
そして、湖の水の冷たさを確認すると、湖に入るため、彼女は、残った下着に手をかけて…

-----------------------------------------------

「おごはぁ!!」
「誰がエロ話をしろって言ったんですか!? 誰がッ!?」

派手な打撃音とともに、中年男が床にひっ転がった。
転がった男を見下しているのは、10代後半の、短い黒髪の小柄な女性。
息を切らしている彼女が持っているのは、男が室内のインテリアに飾っていた、ラージャンの彫像だった。
それで、床に転がっている中年男性をぶん殴ったらしい。

「痛ぇ…。 な、殴らなくったっていいじゃない、リン…」
「殴りますよッ! 個人授業をして頂けるって聞いていたのに、何言わせようってしてるんですか! 悪ふざけにもほどがあります!」

ここは、ドンドルマ中央街に存在する「ウィンストンハンター学院」の、学長の私室。
そして、目の前に居る2人は、その先生と生徒。
学長でもある、「ウィンストン・ソルト・チャーチル」と、その生徒の「リン」だった。

「ば、バッカお前、これ悪ふざけじゃないっつーの! ちゃんとした授業なんだから!」
「嘘言わないで下さい! そんないやらしい話を音読させようだなんて、信じられないですよ! この変態!」
「変態だとッ!? もっと言って!! …じゃない、君は、先生に対して、なんて事を言うんだ! 僕は、まがりなりにも、学長だよッ!?」
「そ、それは、分かってるんですけど…」


読者諸氏のために、まず説明をさせて頂きたい。
この男「ウィンストン・ソルト・チャーチル」は、話の流れで察せられる通り、「ウィンストンハンター学院」の学長である。
背は180㎝を超える巨漢で、体格は非常に良い。
顔のつくりは美形というより、眼鼻立ちのしっかりした顔であったが、眼元は柔和で人懐こい印象を受ける。
オールバックにした髪と、特注品のスーツとベスト、そして何よりも本人から放たれる雰囲気は、まだ彼が30代という年齢でありながらも、学長と呼ばせるに遜色ない風格を与えていた。

もっとも、結構後退している髪の生え際と、いい食生活でたるんだお腹が、彼をもっと年上に見せることは少なくないのだが…。

「だから、さぁ! ほら!僕の後に従って、歌ってみたまえ! 『彼女は、残った下着に手を掛けて…』」
「いやぁ、近寄らないで、このゲリョ助!! 近くにくると、おでこの油が光ってピカピカ眩しいのッ!」
「誰がゲリョスやねん、コラッ! ほら、リピートアフタミー!! レッツ授業ッ!!」
「…この人、全然話聞いてない~!!」

舞台となっている学長室は、旧王朝の様式を模した、いわゆるヘッドロココ調の調度品と家具で揃えられ、実に豪奢な作りになっている。
広い室内には、壁際に暖炉、そして中央にも円形の暖炉がそなえられており、西方から購入したと思われる分厚い絨毯がしきつめられ、その周りを寝っ転がれそうなソファーが3つ並んでいる。

さらには、奥には大量の書籍棚があり、楽器、絵画がきちんと並んでおり、奥には天蓋付きのダブルベッドがあった。
オーケストラでも見たことが無いような、超高級品の蓄音器もしつらえられており、甘い匂いの香が焚かれていた。

…あまり、授業をすると言えるような環境ではなく、明らかに、何かの目的をもって「くつろぐ」ための作りの部屋だった。

対面のソファに座っているソルトの粘っこい視線が、ホーミング性能を伴って、リンの胸元や太腿にぎゅんぎゅん注がれる。
見られてるはずはないのに、リンは思わず胸を隠し、足を閉じてしまう。

「(う、うかつだったわ…。ママから、あれほど怪しい人には注意しなさいって言われてたのに…。)」
「(まさか、引退したハンターが…、学長みたいな、身分のある人が…)」
「(現役のギャルハンターだったなんて…)」

そう、現在は完全に引退しているが、ソルトはかつて、超一流のハンターだった。
見た目からはあまりそうは思えないかもしれないが、この世界に数万人…数十万登録されていると言われるハンターのうち、ほんのごく一握り、一流中の一流のみが挑むことを許される、ギルドが課する最高峰の試練クエスト…「武神闘宴」すらをも、単騎突破している猛者だった。

…だが意外な事に、彼には元々、ハンターとしての才能はなかった。

狩人は、誰もが最初に、数ある武器の中から、いろいろ試してみて、「自分の武器」を選ぶ。
それは、闘いの女神がその人に与えた戦闘の才能であり、狩人としての素質でもある。

だが、ソルトは武器を一通りかじってみても、「これ」と思える武器がなかった。
どの武器も、イマイチしっくり来なかったので、最初は基本の片手剣を使っていた。
しかし、ガノトトスが倒せなくて、次に弓を使い始めた。
そして、弓の火力が低いと思い始めた彼は、大剣を使い、太刀を使い…と、いろいろな武器を改めて齧ってみた。

それでも、彼は手持ちの得物が「自分の武器」という実感を得る事はなかった。

そのうち、段々彼は、この世界の、ハンター業というシステムに、不満を持ち始めた。
訓練所はかなりぞんざいというか、教官のスパルタ方式だったため、付いていけなかったし、世間の狩人達は、自分の武器については詳しいものの、他の武器については疎かった。

数多くの武器を操る彼は、それぞれの武器に対する、正確な知識を欲した。
いろんな武器をかじりながら、武器の扱いを、専門に扱う人に聞くようになり、試行錯誤をするようになった。
人に聞くにはまず自分から…って事で、自分の狩猟歴をメモに取って人に見せるようにした。
彼は、他の狩人から学んだことをメモに取り、やがて技術を体系化し、自分の戦闘方法に組み入れ、実力を伸ばしながら、さらに多くのハンターと交流するようになった。

闘いの女神は彼に微笑まなかったが、彼は割と恵まれた体躯、そして努力と研鑽を続ける事で、地味に実力を養成していった。
彼が、自分の武器…ハンマーに目覚めたのは、ギルドの最終要請クエスト「絶対零度」を終えた後の話だった。
それがごく平凡なハンター「ウィンストン・ソルト・チャーチル」だった。

だが、彼の「本物の才能」はそこではなかった。
彼は戦闘の才能には恵まれなかったが、商売の才能には長けていた。

当時、ハンターという職業が、命を落としかねないほどの危険と隣り合わせの職業でありながら、そのモンスターとの戦闘方法については、口伝が主で、たいていのハンターは実践にいきなり放り込まれるという劣悪な環境であり、運よく訓練場に行けたとしても、教官のスパルタにめげて行かなくなるものが殆ど。

モンスターには様々な種類がある。武器の扱いも様々。
なのに教え方があんな雑じゃ、ハンター業は絶対続かないよな。
誰かが武器の扱いを、丁寧に教えないといけないんじゃね?

…そんな思いを抱いた彼が立ち上げた「ソルトの狩人教室」は大反響を呼んだ。
今の「ウィンストンハンター学院」の前身である。

彼に狩りの才能が無かったことが逆に幸いし、特定の武器に偏らない、誰にも分かりやすい教室となった。
その体系化された技術と講話は、評判に評判を呼び、狩人志望の新人たちにとって、「ウィンストン・ソルト・チャーチル」の名前は、手の届かない伝説の英雄たちより、ずっと身近な、リアルな目標として存在し続けることとなった。

彼は養蜂や交易にも手を出し、今やその資産と名声は、狩人の中では有数のものとなり、この世界で最も有名なハンター「キャミノ・フェルプンクト」には及ばないものの、その次に有名…とも言える存在となっていった。

…だが、彼が多忙を極めるとともに、狩場も円熟化してくる。
円熟化に伴い、ハンターもやがて狩り場から離れてくる。

そこで、次に彼が眼を付けたのは、歌だった。
狩り場が盛況を迎える中で生まれた、様々な英雄たち。
その存在は、ソルトも知らぬ所ではない。
市井に演劇と歌劇を合体させた娯楽「戯曲」が生まれたのを知ったソルトは、その事業にも手を出した。
酒場や劇場で、歌に乗せて寸劇を踊りながら、英雄譚を披露する…。
これはビジネスチャンスだ、と思ったソルトは、狩猟笛科の中に、歌姫養成コースを創設した。

その中の生徒が、今ここに居る黒髪の少女「リン」だった。
ソルトは、彼女に対し、前途有望だと眼を付け、個人授業をするから学長室に来なさい、と誘ったのだった。

「いや! 近寄らないで、この変態!」
「バッカ、肌が密着するほど接近しないと、音が聞こえなくて曲が教えられないじゃん!? 戯曲って音程が大事だから!」
「そこに居てもちゃんと聞こえます! きゃっ、やめて、触らないで! 何が戯曲を教える、ですか! このスケベ!」

…個人授業とは名ばかりの、明らかなセクハラだった。

「ちげーよ! お前は戯曲ってもんが分かってないよ! そう、この話を聞けばなー、ガンナーは全員涙うるうる、酒場で大ヒット間違いなしだっつの!」

ソルトがふん、と鼻を鳴らして意気込む。

「そんな都合よく、お涙頂戴できる話がある訳ないじゃないですか! ガンナー全員うるうるだなんて、信じられないですよ!」

だが、ソルトは顔の前で指を左右に振る。

「これはだねー、実在する…いや、実在した狩人の話を元にした戯曲なんだよ。つまり『事実』を元にした話な訳だ」
「そして、その狩人は『伝説のガンナー』と言われてて、彼に憧れてガンナーを志した人は数多い…。」
「だから、生粋のガンナーは誰でもこの話を知ってるんだよ」

…本当なのか? 歌姫の華やかな世界に憧れるだけの少女・リンには、ソルトの話の真偽が測れなかった。
…いや、違う。明らかに、違うと言いきれる箇所がある。

「そんな訳ないじゃないですか! 何で、伝説のガンナーの話なのに、そんな女性のお色気描写だけが妙にリアルなんですか!?」
「うぐっ…! い、いや、事実って大概地味だからさ、多分、後世の作家が、付けたして創作したんだと思う…。」
「じゃあ、そんなフィクション部分いらないですよ! 事実をきちんと歌った方が良いじゃないですか!」
「バカ! これもお約束なんだよ! エンタテイメントには、そういう要素が必要なの!」
「何でです!?」
「最初に喰いついてもらえないと、その曲って大抵全部スルーされるから! ツカミ、すっごく大事!」
「だからって、そんないやらしい話で、興味を引くことないじゃないですか!」

だが、それを聞いたソルトは、一息つくと、まるで南国の太陽のような情熱とともに、大いに断言した。

「だからこそ大事なんだよ! 可愛らしい女性が、その口でお色気シーンを語るッ!! これ以上人を惹きつけるものが、他にあるかッ!? エロい、いや、エロ過ぎるだろう!? 君が、この作中の女性の口マネをしても良いくらいだッ!!」

どん引きです…。

「さぁ、言って! 早く! 早くッ! 『おっぱい気持ちいい』って言って!」
「そんなセリフ、さっきの話のどこにありましたかッ!!」

リンはラージャンの調度品をひっ掴むと、再度ソルトをぶん殴った。

<続く>
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  • posted by  
  •  
  • 2010.04/04 13:39分 
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スター 

ソルトって日本語にすると・・・塩・・・

MHP3やってみたいの人とかぶってるのは偶然だ。いや、塩さんはシモネタに走らないとはいいきれないれど・・
  • posted by  
  • URL 
  • 2010.04/04 16:32分 
  • [Edit]

NoTitle 

教え方があんな雑じゃ、ハンター業は絶対続かない

>ぶっちゃけ教えられてどうにかなるものでは本来ないですからね。武器の扱い方も基本操作を覚えるのが前提で、その後は自己研鑽、というかタイミングは指先(体)で覚えないとどうしようもないという…自分はゲーム相手に何リアルに語っているんだろう…
  • posted by イクバク 
  • URL 
  • 2010.04/04 17:00分 
  • [Edit]

NoTitle 

塩さんと凛子KITAAAAAAA!

すいません、なんかせかしちゃったみたいで^^;

いや~、思わず腹かかえて笑ってしまいましたw
塩さんのキャラが想像してた以上のエロ・・・ゲフンゲフン

しかし、いつもながら丼$魔さんの小説を書く手腕には感服いたしますね。
モンハンの世界観を損なわずそれでいて、塩さんのキャラクター性も生かす書き方は、すごいの一言ですよ^^

第2話以降のお話楽しみにしていますが、無理せず、自分のペースで更新してってくださいね^^

ではでは^^ノシノシ
  • posted by neko飯 
  • URL 
  • 2010.04/04 21:37分 
  • [Edit]

NoTitle 

ソwwwルwwwトwww

これはまたおもしろい話がw

あのブログが、うまいことモンハンチックな説明になってていいですねぇ^^

・・でもあの人ってこんなセクハラ大好きなエロ人でしたっけ?^^
  • posted by 者武 
  • URL 
  • 2010.04/04 23:50分 
  • [Edit]

NoTitle 

これはもしや・・・?
いや、そんなはずはっ!?
自分がこんな変態のはずがないっ!

でも、続きが楽しみです^^
  • posted by 塩 
  • URL 
  • 2010.04/05 03:19分 
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おぉっ!? 

久しぶりにコメントさせていただきます。
出だしはどんな耽美小説かと思いましたが、続くソルト学長とリンちゃんの漫才で思いっきり笑わせていただきました。電車のなかで読んでいたのですが、吹き出さないように我慢していたので周囲からは怪しい人に見えたことでしょう。
これから第2話を読みます。とても楽しみです!
  • posted by Momo 
  • URL 
  • 2010.04/05 17:33分 
  • [Edit]

こんにちは 

ソルト・・・初めはあまり違和感がありませんでしたが・・・
>しかし、ガノトトスが倒せなくて、次に弓を使い始めた。
ここら辺から、「あれ?リアルにこんな人いなかったか?」となりトドメに
>彼が、自分の武器…ハンマーに目覚めたのは、ギルドの最終要請クエスト「絶対零度」を終えた後の話だった。
フムフム・・・元の人を理解してしまいましたねwww
いや、でも本当にあの人が元にされてるなら、
・・・・・・多分、最後はとてもいい話になる気がしますね♪(何

さて、私も小説書いてきますかな!
  • posted by 姫神 
  • URL 
  • 2010.04/06 13:19分 
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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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