女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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Ein Liebeslied(4)-2

キャミノ達の馬車がドンドルマの都心部に着くころ、既に日はとっぷりと暮れていた。
オンラインのギルド集会所に、2人して普段着で乗り込み、ギルドマネージャーから話を伺う。

「~という事なんですよ」
「なるほど~、それで『霞龍の塵酒』が欲しいって訳ね~、分かったわ~」
「え! じゃ、じゃあ、在庫あるんですか!?」
「ないわよ」

あっさり。

「残念だけど~、『霞龍の塵酒』は、市場には出回らない一品なの。 知ってるとは思うけど~、そこのユーフィアさんに渡したのが最後の1個よ~」
「ほら、キャミさん私が言ったとおりだったでしょ!」
「そ、そうですか…。 でも、市場に出回らないって言うのは、どういう事なんですか? 作る事は可能なんですよね?」
「うふふ」

そういうと、竜人族のギルドマネージャーは、まるで生徒を丁寧に教えるかのように話を続ける。

「ハチミツが何故~、市場で売買してないのか、ご存じ?」

…キャミノとユーフィアは、2人して顔を見合わせる。
ハチミツは、採集すれば簡単に手に入る資材だ。
だが、それにも関わらず、彼女らはハチミツを購入したことはない。
彼女の言うとおり、ハチミツは売ってないからだ。
ドンドルマの定期交易船で、時々販売しているってのを聞いた事がある程度だ。

「それはね、ハチミツを売りに出す人が居ないからよ」
「大抵のハンターにとって、ハチミツは調合素材として、多くの薬に使用されるわ~。 嗜好品としても好きな人は多いしね~」
「大量に入手できても、売る気がなければ、市場に出ない。よって、売買できない。簡単な理屈よ~」

…確かに、言われてみれば、キャミノとユーフィアですら、ハチミツは売った事がない。
他の資材はお金に困った時、売った経験があるが、ハチミツは後回しだった。
そして、熟練のハンターでない彼女達ですら、百個単位でハチミツを城に保存している。

「そうよ、聞いた話では、万単位でハチミツを持ってるハンターも居るって話よ~」
「万単位!? そんなに溜めこんで、何に使う気なんですかッ!?」
「さぁ~、お菓子の家でも作りたいんじゃないのかしら~。 でも、まぁ、そういう理由で、ハチミツは売ってないのよ~」
「…何かもう気前よく、ドバッと売ってくれれば良いのに。もしくはあたしにプレゼントするとか」
「無茶言わない、ユーさん」

「同じ話は、『霞龍の宝玉』にも言えるわ~。希少価値…レア度の高いアイテムほど、ハンターとしては売りたくないわよね~?」
「ですね」

「雌火竜の鱗」と「雌火竜の上鱗」があったら、先に普通の鱗から売る。
その理屈はキャミノもユーフィアも同意できる。
と言う事は…。

「そう、よっぽど金銭的に切羽詰まった状態のハンターでもないと、『霞龍の宝玉』は売りに出ないのよ~」
「なるほど…。あの、もう一つ、質問良いですか」
「どうぞ~」

「『霞龍の塵酒』があんな高いのは何故なんですか」
「『モンスターの体液』の売却価格は、ご存じ?」
「500zです」
「御名答。では、購入した時の金額は?」
「5000zです」
「後はもう説明しなくても分かると思うので省くわよ~。原材料費に加え、手間賃及びレア度合わせて100万z、ってとこね~」
「(…ボッタクリだわ)」
「何か~?」
「いえ、ありがとうございます」

じゃあ、霞龍の塵酒を作るには…、「霞龍の宝玉」を直接手に入れて、加工するしかないのか。
だが、それは必然として、オオナズチを討伐しなければならないということになる。

しかし、キャミノは、オオナズチの討伐経験がほとんどない。
下位で数度、上位で1~2度と言った程度だ。
もちろん、霞龍の宝玉なんて持ってない。
確かあのアイテムは、老成した個体…最低でも上位からでないと出ないはずだ。

「あの…上位のオオナズチのクエスト、今、ありますか?」
「残念ながら、ないわね~」

そう、古龍は元々生息数が少ない。
しかもオオナズチは例の不可視の能力のため、目撃例そのものが極端に少ないのだ。
だけど…そんな敵を相手に、1週間後までに「霞龍の宝玉」を入手できるのか?

「どうしよう…」
「…G級の個体なら、老成したものが殆どだから、それを討伐すれば宝玉入手の可能性は激増するわよ~」
「なるほど! じゃあ、そのクエスト、ありますか!?」
「ちょ、ちょっと待って下さい、キャミさん! あたし達、HR7なんですよ!? G級古龍はHR9からです!」
「あ、そ、そっか…。」

ギルドマネージャーは、柔らかい微笑みを浮かべて言った。

「まぁ、HR7でも…G級古龍と戦う方法はなくもないわよ」
「へ?」
「…知らなかったって後で言われても困るから、一応全て説明するわね~」

空気が変わり、ギルドマネージャーから発せられる雰囲気が、厳格なものになる。

「…お二人は、『G級特例申請』って、ご存じ?」
「いいえ」
「いいえ」
「じゃあ、ハンターランク制度は?」
「いや、それくらいはさすがに知ってますけど…。 それが?」

「HR制度はね、ハンター達の命を守るために、無茶なクエスト受注を制限するものだけど、同時に救出料、支給用資材が無駄になるのを防止するシステムでもあるの」

「つまり、HR制度は、ギルド側の損害を抑えるための制度でもある。だから、人の多い都市部での試験はより煩雑で厳しいわ」

「でも、これは裏を返せば、『ギルドに迷惑をかけないなら、どんな無謀な挑戦をしたっていい』って事なの」

…ここで、ようやっと二人も、ギルドマネージャーの言わんとすることが飲み込めてきた。
つまり、ギルドに属さない密漁者と同様、全てを自己責任で負うならば、何をしても良いということか。
想像が付くものとして、クエストの送り迎え、支給品の準備がなされない事は当然。
そして、力尽きた時の、救出行為…。

力尽きた後に、モンスターの目の前で放置される。
相手がティガみたいな肉食獣なら、それはすなわち死を意味する。

「まぁ、おおよそその通りよ。ただし、狩猟資源の管理があるから、クエストの送迎だけはさせてもらってるわ」
「…『G級特例申請』、早い話が、ギルド公式の密漁、って言ってもいいかしら。 命のやりとりになるけど、見返りも大きいわよ~。あなたたちが仮に見つけられなくても、その後ギルド側が検分して見つけたものを渡すことも可能だけど、どう?」

…どう、って言われても…。
あまりに過酷な話だ。
上位のオオナズチですら、こないだ苦戦したばかりなのに、それを飛び越えてG級の相手だなんて。
一人でだったら、逆立ちしても勝てっこない。
まさに自殺行為だ。

「勘違いしないでね、ギルドマネージャーとして、私は可能性を全て伝えただけ…。選ぶのは貴女よ、キャミノ=フェルプンクト」


…長い沈黙のあと、キャミノは、絞り出すように声を出した。

「…ユーさん、ごめん」
「キャミさん!?」

「G級申請、するわ…。 歌い手にとって、声は命…。 一生声が出ないのは、命を絶たれるに等しいことだもの」
「ごめん、なんて言うからびっくりしましたよ! やっぱり行くんですよね!?」

「うん、ごめん…ユーさん」
「何ですか?」
「…一緒に、付いてきてくれる?」
「もちろん一緒に行きますよ!! やだなー、そんなの分かってるじゃないですか!」
「ありがとう、ユーさん…」

<続く>
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モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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