女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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Ende der welt(7)-2

「お前のくだらねぇ喋りに付き合うのはおしまいだ。経験ねぇなら、俺達が『初めて』になってやるよ」

その瞬間、今度は地面ではなく、アスカの脚が血しぶきと共に爆ぜた。

「…あああぁっ!!」

むき出しの脚に、老山龍砲の通常弾が撃ち込まれたのだ。

「あう、ぐうっ…、はぅ、あああぁぁ…!!!」

「(ご主人ッ…!)」
リュウは思わず、声を上げそうになった。
脚に銃撃を受け、糸が切れた人形のように、頭から地面に突っ伏すアスカ。
しかし、それでもアスカはリュウを一瞬みて、視線だけで「動くな」と言った。

「(何…、何なんだニャ!? 一体、そこまでされて、逆転の秘策が何か…本当にあるのかニャ!?)」

アスカの脚は、所々が裂け、肉がむき出しになり血まみれになっている。
将来、傷も残る酷さだろう。
リュウは、そうされてもなお耐える、そして彼に動かさせないご主人を、狂おしいまでの感情とともに見ていた。
見るしかなかった。

「その傷じゃ、もう飛んだり跳ねたりできないな…。 脚が血まみれなのは興ざめだが、まずは胸からゆっくりと拝ませてもらおうか」
「…そんなに、そんなに、あたしの裸、見たいの…?」
「ああ。大切なものを全て曝して、スイマセンでしたって謝れば、俺たちの気持ちも少しはスカッとするはずだったがな」
「っそう…。 でも、あたしの胸よりも、もっと見るものが、あるんじゃない…?」
「はぁ? 何訳の分からないこと言ってやがる?」

アスカは、倒れこんだまま、泥のついた顔で男たちを見上げた。
だけど、その顔に浮かぶのは、勝利を確信した、笑み…?

「…例えば、アンタ達の影が、二つになっていることとか、気にならないの…?」

…足元を見れば、確かに男たちの影は二つになっていた。
普通に、太陽を受けて伸びる影とは別に、薄くて、しかもゆらめいている、もう一つの影。
影が、二つ…?

「ま、まさかっ!?」

仮面の男たちは、背後の空を見上げた。
そこにあったのは、蒼天に輝く太陽とは別にもう一つ…。

牙を持つ太陽、テオ・テスカトルの羽ばたく姿だった。

業炎の塊が、ゆっくりと地に落ちる。
ズシンと地響きを立てて、ジャンプテオの巨体が、30メートルほど先に降り立った。
テオの体の傷はある程度癒え、頭冠の角も復活していた。
火口で火薬岩を食べて体力を回復したのだ。

「て、てめぇッ…!!」

アスカを見る白い仮面の男の声が、激しい怒りで震える。

「俺たちの言う通りに脱いだのも…。そのくだらねぇ喋りも…、全部、このための時間稼ぎだったのかッッ!!」
「そうよ、今頃気づいたの…?」
「…てめぇ殺す!間違いなく殺してやるッ!!」
「…で、どうする? あたしから先に殺す?」

しかし、男たちはその選択肢を採らなかった。
彼らは、2人してジャンプテオに向きなおった。

「デコーイ! 先にテオを狩るぞッ!閃光玉を準備しろッ!!」
「分かったフス! 閃光…あれ、兄貴…!?」
「どうしたッ! さっさと投げろッ!」
「せ、閃光玉が!」
「どうした! さっさと投げろと言ってるだろうがッ!!」
「…閃光玉が、ない…。」
「何だと!?」

気付けば、緑の仮面の男はおろか、白い仮面の男のアイテムポーチにも、閃光玉がなかった。
のみならず、素材の光蟲までもが無くなっていた。

「何だこりゃ!? 一体…!」
「おあいにく様、それは僕が全部盗ませてもらったニャ」

見れば、さっき銃撃したはずのネコがいつの間にか回復し、閃光玉の素材を全部盗み取っていた。

絶句する2人の前で、素材を全部溶岩の中に投げ込むネコ。
そして、ネコは傷だらけの主人に寄り添い、薬を飲ませ始めた。
いにしえの秘薬を。

「ほれほれ、こっち見てる場合じゃないニャ、さっさとお前らの相手に向き合うニャ」

2人が振り向くと、それをテオは待っていたかのように、全身を大きく震わせた。
鱗から飛び散る可燃性の粉塵が大気を舞い、ジャンプテオの全身を、業火の鎧で包み込んだ。

「ウォ、ギャオオオオオーーーーッ!!!」

「うおっ!?」
「わぁッ!」

魂斬る咆哮と、古龍の全身から噴出する覇気が、男たちを畏怖させ押し飛ばす。

「ひ、ひぃ…兄貴、閃光玉ないと無理フス…。ここは逃げようフス…。」
「馬鹿言えッ! 俺達には老山龍砲があるだろうがッ!! これさえあれば、どんな敵でも倒せるって言ったろうがッ! さっさと撃ちこめッ!」
「わ、分かったよ、兄貴ッ!」

ジャンプテオが、轟く地響きとともに、2人目がけて突進してくる。
それと止めようとして、通常弾をジャンプテオに撃ち込んだ瞬間、2人は信じられない物をみた。

業火の鎧に、弾が弾かれたのだ。

「なッ…!?」

あっけに取られる仮面の男たち。
そこに、ジャンプテオが機関車の如く突進してきて、2人を跳ね飛ばした。

「ぐああっ!」
「ぎゃッフス!」

2人を跳ね飛ばしたテオは、さらに向き直ると、またその仮面の男たちに向かって突進していった。

「ま、またかフス!? あんな攻撃避けられないフスッ!」
「くそがッ…、前転で安全地帯にとどかねぇってのがあるかよ! このハメ野郎がッ!」

「…あのねぇ、湾曲突進は、テオが真正面以外でタゲを取った時のみに出してくる攻撃なの。だから、それに注目して軸を外しておけば、ヘヴィボウガンでも避けられるんだけど。 ま、ジャンプテオはデカ過ぎて厳しいけどね」

傷を治したアスカが、リュウとともに、少し離れた場所でその光景を見ながらつぶやいた。

「か、勝てねぇっ! あ、兄貴、助け…!!」
「うおおっ! こ、このクソ野郎がッ…!!」

突進で倒れた二人が無様にのたうち回っている。
その起き上がりに、ジャンプテオが怒りの炎ブレスを重ねてきた。
それは、まるで太陽のプロミネンスを思わせる業火の奔流だった。

「ぎゃーーーーっっ!!!」

【デコーイは力尽きました】

緑の仮面の男が真っ黒になって力尽きた。
白い仮面の男は…納銃して、ダイブ回避で攻撃を避けたようだ。

「く、くそ野郎がッ…覚えてろ! いつか殺す!絶対殺してやるからなッ!!」
「で、そんな威勢の良いあんたは逃げるの?」
「!?」

ハメなしのヘヴィでは、勝てないと悟った白い仮面の男は、納銃して逃げようとしていたが…。
その行動を事前に察知していたかのように、アスカが、火口近くの広場の出入り口の所で待ち構えていた。
手に、ドラゴンブレイカーGを持って。

「よくもまぁ、好き勝手やってくれたわね…。この代償は、相当高く付くわよ?」
「…て、テメェッ!!! よくも、よくもG級ハンターの俺達にこんな事を…!」
「何がG級ハンターよ。単なる寄生虫のくせに、調子乗らないでよね」
「な、何だとッ…!」

その時、白い仮面の男が、ヘヴィボウガンを展開しようとしたが、

「遅いわよ。いくらハンマーが遅いって言っても、ヘヴィの銃展開より早いし、さすがに丸腰の相手に遅れは取らないわよ」

アスカのドラゴンブレイカーGが唸りを上げ、男の仮面と、老山龍砲・極を粉々に砕きながら、天高く男を吹き飛ばした。
空に遠ざかっていく悲鳴を聞きながら、アスカはひとりごちた。

「やれやれだわ」


数刻後。

「あんたって、紳士ね…。こっちが、着替え終わるまで、待っててくれたの?」

ラヴァXを装備し終えたアスカが、何故か大人しくしていた、テオ・テスカトル相手に話しかける。
テオは、アスカたちの数メートル先に居て、何をするでもなく、じっとアスカとリュウを見つめていた。

「…で、どうする? 戦いの続き、やる?」

アスカは、ドラゴンブレイカーGを掲げ、視線でテオに問いかけた。
…しかし、テオは自分の脇腹に顔を埋めると、何かを口にくわえ、むしり取った。
そして、自分の体から剥ぎ取ったそれを、アスカの前に置く。

【獄炎の厚龍鱗を入手しました】

「…。 何これ? 敗北宣言?」

アスカが苦笑とともにテオに向かってそう問うと、テオは…。
ゆっくりと口を曲げ、まるで笑っているような表情を作った。

「…。」
「…。」

王者が見せた微笑みに、ちょっと気を抜かれた二人。
その間に、偉大なる炎王龍は、きびすを返すと翼を広げ、大空に舞い上がり、まるで生まれた寝床を探しに行くように、火口へと飛び去って行った。


さらに数刻後、ギルドが用意した馬車に乗って、帰路につく2人。

「あーあ…。結局、ギルドからはジャンプテオを討伐したって認められなかったなぁ…。」
「いや…。でも、あの二人の邪魔がなくても、ご主人は多分テオを倒していたニャ」
「そう? そう思う?」
「もちろんニャ。アレを見てた僕だけじゃニャくて、肝心の相手…ジャンプテオも、それを認めてるニャ」

そういうと、リュウはアスカの目の前に、通常のものとはふた周りほども大きい「獄炎の厚龍鱗」を掲げた。
心なしか、今でも中に炎が宿っているかのように、ほんのりと熱く、そして赤かった。

「そうね…まぁ、良いかな。金に困ってる訳じゃなし。にしても、あのハンターたち、何者だったんだろうね」
「そ、そうだニャ…。何者だったんだろうニャ…。 で、でも、ご主人、よくまぁ奴らに勝ったニャ」
「まぁねー。最初から、あいつら寄生ハンターだって分かったからね」
「?」

何故?
ご主人と奴らは、あの時点で初対面だったはずだ。
それで、奴らを寄生と見抜くなんて、そんな事ができるのか?
素直な疑問をご主人にぶつけてみると、アスカは、ちょっとバツが悪そうに、ぺろっと舌を出して答えた。

「実はね…。あたしもやった事あるんだ、あのハメ」
「そ、そうなんだニャ!?」
「うん。でもね、ラオートでテオ相手だと、使える弾がかなり限られるから、どうしても途中で弾切れを起こすの。それに、通常弾は炎の鎧に弾かれがちだしね」
「うん」
「だから、テオに挑む時は、貫通弾をメインにしたボウガンを持っていくのがセオリーなのよ。ガチでも、ハメに失敗した時でも、貫通弾主体のボウガンの方が役に立つわ」
「なるほど、だから…」
「そう、テオ相手にラオートを持ってきた奴らは、ソロでテオと戦った事がないって分かる訳」
「だから寄生ハンターだと…。あとは、閃光玉さえ封じれば、奴らには勝ち目なくなる訳ニャ」
「そう。でも、相手が寄生だって言っても、ハンマーでボウガン使いには絶対かなわないわ…。だから、なんとかして視線を逸らす必要があったんだけど、思ったより上手くいったわ。ヤバイかなーっても思ったけど」
「もう、ホント僕、途中までご主人の意図が全然わかんなくて、メチャクチャ混乱したニャ」
「その割にはしっかり仕事してくれたじゃない、ありがと。 でも…」
「でも?」
「男って、何であんなに女性の裸に食いつくのかしらね~」

その瞬間、リュウにはピンと来るものがあった。
以前なら、「知らんニャ! アイルーの僕に、人間の美的感覚なんて分かる訳ないニャ」と返事していたであろうが、ここになってまた、ご主人の意図が、より深く分かるようになった。
ご主人は、多分、「ある返事」を期待して話を振ってきている。
だけど、それはベタすぎる答え。

でも、言う?
言っちゃうか?
そんなこと、言っちゃう?

でも、リュウが自問自答するより早く、その口から答えが飛び出ていた。

「そりゃ、ご主人が絶世の美少女だからニャ。どんな男も喰いついて当然ニャ」
「でしょ~、リュウ分かってる~♪」

<続く>
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Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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