女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#3(2)

「畜生…。 俺、まだ、こんな所で死にたくねぇ…。 まだ、やりたい事沢山あるのによ…」

絶望のあまり、そんな言葉が漏れた。

「バカ、そんな事を考えるんじゃない! 生きるんだ! 生き延びる方法を考えろ! 方法は必ず、きっとある!」
「だって…。 だってよう、もう詰んでるじゃねぇか、俺…。 俺の人生、もう終わりだ…」
「自分から心を折るな! 思い出せ! やりたいこと、沢山あるんだろう!? 家族や、恋人や、友人! それを思い出せ! お前は、まだここで死ぬ訳には行かないはずだ!」

それを聞いて、俺はその的外れさに思わず失笑してしまう。
だって、恋人とか家庭とか、そんな人間としてまっとうな物から、俺は最も縁遠い存在だからだ。
彼女の励ましが親身かつ真剣だっただけに、余計やるせなかった。

ヤケクソになった俺は、もう自分の中のドロドロした物を全て吐き出したい気分になり、シャルルの奴に言ってやった。

「違ぇよ!! 俺はな、単に強くなりてぇんだよ! そして英雄になって、有名になって、それで金持ちになってな、美味い料理沢山食べて、美女に囲まれて暮らしてぇんだよぉぉ!!」

そう叫んだら、シャルルの奴は、鳩が豆鉄砲喰らったような顔してた。

「そ、そう…。 な、何だか低俗過ぎる理由だけど、よ、要は強くなりたいの?」
「そうだよ! 強ぇハンターになりゃ、何でも手に入るだろうが! それを何も味わってないうちに、死ねるかよ!」

だが、俺がそう言い返すと、シャルルは微妙な笑みを浮かべた。

「まぁ、そうかもしれないけど…。 必ずしも、強者が全てを持っているとは限らないわよ」
「悪いがな、『強者の理屈』は聞く気ねーぜ。 人はパンのみで生くるにあらず、されどパンが無ければ生きてはいけぬ! 俺たち持たざる者に必要なのは、強さ、金、飯! どんな御託を並べようが、まずはそれなんだよ!」

俺はそう鼻息荒く答えたが、シャルルはため息を一つ付くと、俺に質問をしてきた。

「じゃあ、聞くけど…『強さ』って、何だと思う?」



「知らねぇ。 てか、今それを探してる最中だし、質問が漠然とし過ぎだろ」
「そうね、じゃあ、もっと焦点を絞るわ。 強者と弱者の一番の違い、って何だと思う?」
「違い、か…?」

そう問い直され、俺はかつてのハンターアカデミーの事を回想する。
俺を置き去りにしていく同期の連中、苛烈だった師、嫁の尻に敷かれた、負け犬の包丁ハンター…。
それらの事を総括するに、強者と弱者の違いをまとめるならば…

「才能、かな。 やっぱり、出来る連中ってのは、上達の速度が違う」
「ブブー、間違いでーす」

俺がそう返事すると、シャルルは「想像どおりね」と言わんばかりに、間髪入れずダメ出ししてきた。

「強さには、才能は無関係よ」
「ンな訳ねぇだろ! あるよ、大有りだよ! ギルドのハンター連中見てみろよ、才能に裏打ちされた天才って奴がゴロゴロ居るからよ!」

そう言って、俺はハンターアカデミーの話をした。
俺の長年の体験談を聞けば、シャルルとて納得するだろう。 そう思ったのだが、

「才能の多寡なんて、結果を省みれば、ほんの僅かなものよ。 積み重ねた『努力』の前には、そんなもの一要素にしか過ぎないわ」

と一蹴された。

…何だ、努力が全て、って言いたいのか?
だけど、それは無いだろ。
むしろ「才能がある奴が努力する」からこそ、BAD=KINGや、JJみたいな奴が生まれるんじゃねーか。
やっぱり才能ありき、のはずだ。

「でもね、人の能力は、基本的に平等よ? どんな人にだって、何かの才能が必ずあるわ」
「その話は良く聞くがよ、必ずしも全ての人が、自分の才能を見いだせるとは限らない」

自分の天性に気づける人間は、本当にごく希だ。
だからこそ、才能のありなしなんて話が出てくる。
俺は自信満々でそう返答したのだが、

「だったら、貴方の才能を見つけてもらえば良いじゃない」

という、予想外の一言で、俺は固まった。
才能を、見つけてもらう…?
自分で見つけるのはなく、か?

すると、シャルルは居住まいを正し、真正面から俺に向かって話しかけてきた。
いや、俺の中に居る、クリス王子に語りかけるかのように。

「正直、『強さとは何か』ってのは、私にも良く分からないわ…。 貴方と同じく、道の途中。 でも、強さを求める、効果的な方法は教えて頂いたわ」
「な、何だよ、それ」
「『時間』よ」

…『時間』?
何だそれ?
JJの超連射とか、ビアンカの足捌きみたいな、無駄のない行動とか、そんなの?

「違うわよ、もっと地味な話。 時間を掛けて練習すれば、どんな才能ある人間にも勝てる、って事よ」
「…何だよ、昔話の『ウサギとカメ』かよ!」

…あのな、だから、現実にはウサギさんが「俺、超足早いんですけどwwwwすげえwwww」って、居眠りせずに頑張ってるから追いつけないんじゃねーかよ。

「じゃ、質問。 才能ある人間が3時間練習するのと、才能ない人間が6時間練習するのじゃ、どっちが成果あると思う?」

それは…。
微妙だが、悪王みたいな才能ある奴なら、3時間の方が成果が上がるんじゃないのか?

「才能の差にもよりけりだが、3時間もあり、だ」
「なるほどね、では質問2。 才能ある方が3時間、ない人が12時間の場合は?」
「まぁ…。 それは流石に12時間の方だろ。っていうか」

さっきも言ったが、才能ある奴は、基本的に何事も上手く行く。
なので物事に楽しく取り組む事ができ、時間を掛ける事も苦にならない。
実際、悪王とて、日常を殆ど実践狩猟で過ごしていると聞いてる。
才能ある奴がみっちり練習しているのに、俺ら凡人が勝てるはずがない。
そういう現実を無視した問答とか、無意味だろ。

「そうね、じゃあ質問3。 才能ある人が12時間練習しているのに対し、才能ない人が48時間練習した場合は?」
「死んじゃうよ!」

話の前提がおかしいとか思う前に、思わずツッコんでしまった。
いやいや、48時間とか、それありえねーし。
どこからどう論破したもんか、と俺が躊躇している間に、シャルルが次の質問を提示してきた。

「では、質問4。 才能ある人が12時間の練習、才能ない人が、良い師匠の力添えを得て、4倍の効率で12時間の練習をした場合は?」

…え?
4倍の効率?
もしかして、4倍×12時間で、48時間って言いたいワケ?

そう俺が返事すると、シャルルは愉快そうに笑った。

「最強の狩人が、常に最良の講師とは限らない…。 そう思わない?」

それは、まぁ、確かに…。
最良の講師と言えば、有名なハンター訓練所「ウィンストンハンター学院」の学長が最初に思い浮かぶ。
確か、ソルトとかいう名前だったが、彼はハンターとしてはそれほど有名じゃなかったはずだ。

「悪いけど、あなたが通ったハンターアカデミー、その教官さんは、ボウガンには不慣れだったようね」

そう言われて、俺は愕然とした。
確かに、シャルルの言うとおりかもしれない。
教官ってだけで、あらゆる武器…当然ボウガンも使いこなせるもの、と信じていたのだ。
だが、今思い返せば、彼は太刀とか双剣とか、俺の苦手な武器が得意だったような気がする…。

…じ、じゃあ、俺の人生って、一体…。

「そして私も、あの方から才能を見い出して貰わなければ、きっと凡人のままだったわ」
「…あんたが? …黒龍騎士のあんたが、凡人? …誰だ、あんたの才能を発見したのは」
「エイグリル将軍よ」

エイグリル将軍。
ノーブル城に囚われた、シャルルが救出の目的としている相手で、前黒鳥騎士団長の、ガンランス使い。

「私は、師であるエイグリル将軍から、教え導かれて、今ここにあるの。 あの方は、自身も強いハンターだけど、それ以上に凄い…いや、素晴らしいのは、観察力にすぐれ、識見深く、卓越した知恵をお持ちである事ね」
「…じゃあ、エイグリル将軍に診断してもらえば、俺の才能も見抜いてもらえる、ってことか?」
「ええ、多分。 将軍は、ハンターズギルド運営の中で、数多くの狩人と関わってこられたからね」
「マジかよ…」

あ、そういえば、とシャルルが思い出したように言い、続けた言葉は、

「ユリウス王子の銃の素質を見抜き、育てたのもエイグリル将軍よ」
「何ッ!?」

それは、俺にとって聞き逃せない一言だった。

「ちょっと待て…。 それは、本当か!? JJ…いや、ユリウス王子を鍛えたのが、エイグリル将軍!?」

じゃあ、その効率的な特訓とやらで、JJを育てたのか。
だからアイツは、あんなに強いのか。

「…4倍の効率で特訓とか、本当に、そんな事ができるのか!?」
「4倍ってのは物の例えよ」

そう避わされて、俺はズッコケた。
まぁ、そんな超訓練があるワケねーよな。

「でも、それに近い事は実現可能よ。 貴方は、『ゴーケン』と呼ばれた片手剣使いの事、知ってる?」
「『ゴーケン』? …何だっけ、聞いたことあるような」
「老剣士ズィーガーと、その2代目」
「ああ、知ってる知ってる、それ! 『剛剣』ジェットさんの事だな!?」

確か、俺の記憶では、ジェットさんは片手剣使いにしては異色のパワーファイターだ。

神速の飛び込みと、強烈な大上段からの剣撃。
それは一撃で兜や鎧を変形させる、とてつもない破壊力だが、本当に恐ろしいのは、それでいて「連打が得意」という事だ。
彼の剣戟を一言で表現するなら、名前のとおりの「爆風」で、人間相手なら、盾を砕かれてボコられる。
モンスター相手なら、装甲を砕かれて倒されるという、まさに恐怖の片手剣使いだ。

「で、彼がどうしたんだよ。 彼こそ、才能がある人間の筆頭じゃないのか」
「ところが、実際はそうじゃなかったのよね。 私が将軍から聞いた話では、彼は貴方と同様に、働きながらハンターアカデミーに通っていたのよ」
「ジェットさんがか!?」
「彼は木こりをやってたんだけど、木こりって重労働じゃない? 疲れきった状態じゃ、剣なんてまともに扱えなかったらしいわ」
「そりゃそうだろ。 だけど、それが何で、あの強烈な剣を養うに至ったんだよ」


シャルル曰く、そのハンターアカデミーでは、家具や薪などの生活用品も販売していた。
老剣士ズィーガーが、そこに暖炉の薪を買いに来た時、きこりとして働いていたジェットを見つけた。
彼の素質を一目で見抜いたズィーガーは「力が欲しくないか」と、彼を門下生にすべく誘ったらしい。

「でも、ジェットさんは、仕事をしないと生活できなかったのよ。 だから断った」

「あれっ? 弟子入り、断ってんの!? じゃあ、どうやってズィーガー翁はジェットさんを指導したんだよ」
「指導というか、ズィーガー翁は、木こりの仕事を、剣の訓練に置き換えたのよ」
「どういう事だよ」
「貴方、薪を割る時は、どんな感じで割る?」

…どんな感じって、そりゃ、まず斧で軽く薪を叩いて刃をめり込ませ、薪をくっつけたまま振りかぶり、枕木に叩きつけて割る。

昔話とかでは、巨体の木こりが力まかせに上からパッカンパッカン割ってる絵が載ってたりするが、あれはない。
実際にそんな力任せな薪割りをやると、危ない事この上ないのだ。
薪が針葉樹なら分からんでもないが、木目が入り組んだ広葉樹なら、変な割れ方をするので、斧があらぬ方向に逸れてケガをしやすい。
実際の薪割りは、もっと地味なのだ。

「で、ズィーガー翁は、ジェットさんに、『ジャンプ切り』で薪を割るように命じたのよ」

「…危ねぇだろ、それ!」
「片手剣使いにとっては、弱点を狙う事は火力を上げるために必須なんだけど」
「それが、どうしたよ」
「リーチがないから、弱点に肉薄するためには、一瞬で正確に飛び込む必要があるの」
「ああ、それは、確かに…。 そのためのジャンプ切り薪割り、か?」
「貴方の言うとおり、そんな薪割りの仕方は、確かに大怪我をしかねない。 だからこそ、ジェットさんは真剣に薪割りに取り組んだ。 最後の頃には、木目を決して外さない、正確な飛び込みが出来るようになったらしいわ」

なるほど…。
多分、薪を置くための枕木は、破片が飛び散らないように工夫してるんだろうけど、変な切り方すれば大怪我必至だけに、真剣に取り組まなければならないってのも分かる。
にしても、毎回ジャンプ切りでの薪割りとか。

「効率悪そうだな」
「…そうね、ズィーガー翁は、割った薪も手押し車じゃなくて、手で運ばせてたらしいわ」
「何で!?」
「手押し車を使って運ぶと、下半身のパワーは増すけど、スピードが落ちるから」
「…なるほど。 足の速さは、片手剣使いの要だもんな」
「ズィーガー翁の指導を受けると、極端に仕事の効率が落ちるから、ジェットさんは相当に焦ったそうよ。 仕事をこなすため、涙目で何度もかけずり回ったらしいわ」
「むろん、ズィーガー翁はそれを…」
「トレーニングの目的は、ちゃんとジェットさんにも説明してたわよ。 雑木を伐採する時も、斧じゃなくて剣で伐採させてたし」
「剣で!? 木が切れるのか?」
「最初は手間がかかったらしいけど、徐々に切れるようになっていったらしいわ」
「マジかよ、信じられねぇ」
「そうね、普通、木を切り倒すには、刃にかなりの重量が必要だもの。 でも、彼はスピードとパワー、そして正確さでそれを補った」
「うーむ…」

俺も、12歳を越えた頃から、親父に命令されて、弟と二人で裏山の間伐をさせられていた経験がある。
斧を使っても、雑木を切り倒すのは相当な時間が掛かり、人間の胴体くらいもある太さの木だと、酷く萎えたものだ。
アレに、剣で左右からの一撃を繰り返し続けるのか、と思うと、気が遠くなった。

「でも、ズィーガー翁もね、そんな彼に協力したのよ」
「…どんな」
「結局、ジェットさんは個人指導をして貰う事になって、月謝を払ってたんだけど、ズィーガー翁は、それを全額、ジェットさんの勤めるハンターアカデミーに納めてたのよ」
「…はぁ? 何のために、そんな事を?」
「仕事の能率が落ちたのもそうだけど、訓練の役に立たない枝打ちや下草払いを、そのお金で別の人の仕事に回してもらってたの。 損害が出ないなら、アカデミー側も文句の付けようがないからね」

…って事は、ジェットさんは、仕事の時間中はずっと「ジャンプ薪割り」と「剣での樹木伐採」ばっかりやってたのか。

「そして、木こりの仕事が終わった後に、訓練が始まる」
「そんなヘロヘロで、どんな訓練したんだよ」
「型と連続技の反復よ。 疲れきった状態だと、無駄な力が入らない分、より自然に体が動かせるらしいわ」
「…」
「こうして、彼は毎日8時間の労働、4時間の訓練をして、残る時間はゆっくり寝てたんだけど、実際には毎日12時間の訓練をしてた事になる訳」
「…」
「やがて、ズィーガー翁が課した訓練は、その成果を出し始めた。 ジェットさんの仕事の能率が上がるにつれて、彼のジャンプ切りと、左右の薙ぎ払いを止められる相手は減っていった」
「…」
「そして、彼の剣を止められる人間が一人もいなくなった頃、彼は遂にモンスターを相手にし始めたの」
「それが、『剛剣』ジェットさんの伝説の幕開け、って訳か」
「そういうこと」
「…なるほどな、よく分かったぜ」
「彼らの師弟関係は、その後も続くんだけど、まさに理想の関係ね。 ジェットさんも、事あるごとに、師への感謝を口にしてたわ」
「はぁ、なるほどな…。 努力が大事、っていう意味、分かった気がする」

確かにそれなら、自分で自分の才能を見いだす必要などない。
シャルルもそうだが、JJも、エイグリル将軍との良好な師弟関係を築いて、それで切磋琢磨していったのだろう。

ただ、この話、俺にとっては「努力」というより、人間関係という「環境」が、強さに大きく寄与しているような気はする。
全ての人に何かの才能が眠っていたとしても、それを目覚めさせるには、やはり運が絡むのではなかろうか。

「そうね、努力が全て報われるとは限らない。 でも、正しい方向を向いた努力は、必ず何かの形で報われる、と将軍は常々仰ってたわ」

正しい方向を向いた努力、か…。
じゃあ、俺にとってそれは何なんだろうな。

脳裏に、JJの姿が思い浮かぶ。
モンスターに正面から立ち向かう勇気。
敵の弱点を徹底して狙う正確さとクレバーさ。
武器に習熟する事から生まれる、嵐のような超連射。

間違いなく、アイツのスタイルがそうだろうな。
どれも、俺には決定的に欠けている要素だし。

俺は奴と分かれた後、あのスタイルを真似てみたが、上手くはいかなかった。
でも、シャルルの発言が正しいのなら、それは俺が「正しい方向を向いた努力」をしていなかったから、という事になる。
もっと、あのスタイルを修得するための、適切な練習方法があるって事か。
ま、どっちにせよ、基礎の肝心な何かが分かっていないって事には変わりはない。

「エイグリル将軍は、ボウガンを扱う時に、何が重要だと仰ってたか、覚えてないか」
「申し訳ないけど、私は知らないわ」
「そうかぁ…」

剣士だもんな、こりゃ知らなくても仕方ない。

「ただ、エイグリル将軍に見ていただければ、確実にステップアップになると思うわよ。 将軍のボウガンへの造形は、そんじょそこらのハンターの比じゃないからね」
「? 彼はガンランス使いだろ? ボウガンの事にそんな詳しいのか?」

俺がそう疑問を呈すると、何故かシャルルは自慢げに胸を反らした。

「ええ、貴方、『ミドルボウガン』って知ってる?」
「『ミドルボウガン』…? ライトやヘヴィじゃなくて? 何だ、それ」
「砂漠の街ロックラックで流行しているボウガンなの。 フレーム、バレル、ストックの3部品に分かれてて、組み合わせできるのが特徴なのよ」
「へぇ、なんでまたそんな面倒な作りに」
「最初は、銃身に砂が詰まらないようにするための苦肉の策だったんだと思う」
「バラしてメンテできるように、か。 でもそれだと、扱うパーツが多すぎて、訳が分からなくなりそうだな」
「ところが、規格を統一した事で、部品の流用が可能になったのよ。 カスタムできるようになったことで、自分の理想のボウガンを作るのが流行してるらしいわ」
「ほう、自分だけのボウガン…。 そりゃ面白いな」

その後しばらく、シャルルは、エイグリル将軍(とその周辺)がどれだけボウガンに傾倒しているのかを熱く語ってくれた。

まず、モンスターそれぞれに対応したボウガンを作成することが流行したこと。
そのうち、各自の個性に特化したボウガンを「我が愛銃」として、「銘」を付ける慣習ができたこと。
将軍が銘名した、中折れ式ミドルボウガン「華鳥鳳炎」は、火炎弾、鉄甲榴弾、拡散弾の運用に特化させた、まさに「火力」重視のボウガンであること。
それらの研究を、将軍の知己である傭兵集団「砂塵の嵐」と行い、実地で運用していたこと。
そしてその「砂塵の嵐」メンバーの絢爛たる個性派ぶり、などなど…。

シャルルがあまりに目を輝かせて喋るので、俺はしばらくその話を聞いていたが、いい加減長くなってきたので、折を見て話に割り込んだ。

「あら、ごめんなさい…。 寝ようとしてたのに、つい熱くなり過ぎてしまったわね」
「いや、おかげで気が紛れた。 なんか、上手く誘導された感があるけど、エイグリル将軍に出会って、俺の素質を見いだして欲しい、って気分になったよ」
「でしょう? 是非協力してね」
「ビアンカを無事助け出して、人探しが終わってからな」
「ふふ、それじゃお互い、2日後は絶対に死ねないわね」
「ああ、何としても生き延びてやる」

俺の気のせいだろうか。
屈託無く話す、この時のシャルルはとても美しく見えた。
話を続けていると、彼女の笑顔に引き込まれそうになるので、俺は改めて仮眠を取る事にした。

「おやすみ、マルク。 きっといい策を考えてみせるわ」
「期待せずに待ってるぜ。 お休み、シャルル」

もう、恐怖感はない。
どういう結果になれど、彼女を信じよう。
絶対に生き延びて、強くなるんだ。
そう決心すると、俺は不思議と安堵し、安らかな眠りへと落ちていった。

<続く>
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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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