女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#2(13)

いつも、疑問に思っていた事があった。
人間の「才能」には、何故に差があるのかと。

俺、マルク=ランディッツが、初めてハンターアカデミーに登録し、武器や防具の扱いを学んでいた頃のこと。

あの時の俺は、とにかく希望に燃えていた。
武器を初めて扱った時など、勇名を馳せた狩人たちと自分の姿を重ね合わせ、周囲の迷惑を省みずに武器を振り回しまくって、迷惑を掛けたもんだった。

とにかく、世間知らずの痛い小僧だったのは認める。
だがそれも「俺はこんな田舎でくすぶっている人間じゃない」という思いがあったからだ。

…あぁ「田舎の農夫に向いてないんだから、都会の狩人には向いているはず」って、そういう思考だったんだよ。

でもそこで、非情な現実を俺は知った。


不思議なもんだよな。
同じ武器を扱ってて、何で扱いに差が出るんだろうな。
同じように切ってるつもりなのに、弱点を外す俺と、的確に命中させる奴。
敵の攻撃を受けきれない俺と、元々敵の攻撃に当たらない皆。

他の連中が、俺みたいなポッと出じゃない、全国から選り選られた連中だってのは分かってた。
でも情熱だけなら負けない、そう思ってたんだ。
きっと強くなって、英雄になって、地元に帰って、弟と父ちゃんを見返して、亡くなった母ちゃんに謝らせる。
強くなりたいという理由は沢山あったのに。
俺以外の連中だけが、どんどん上手くなり、教官に誉められ、輝かしいハンターへの道をまっすぐに歩んでいった。

俺が伸び悩んでいた時、人から聞かされた事がある。
狩りの女神様が、ハンター達に賜わす「戦闘の才能」の話。

才能ってのは、その総量こそ平等だが、何の要素にどれだけ振り分けられているのかは分からない。
だからこそ、誰かが何かの才能に目覚めるように、ハンターの武器種はあんなに多いという。

それを探し出す事こそが狩猟者としての人生…。
何の武器使いとして目覚めるのか、それを捜し求める過程もまた一興だ、という話で、俺も自分が何使いとして目覚めるのか、将来に期待していた。

だが一度、うかつにも、あるハンターと酒を飲んでしまった事があった。

「儂の武器の才能は、あの種類の中には無かった。 儂の武器は、なんと『包丁』だったんだ。 儂の料理の腕を見て、酒場を経営しようって言いだした、カミさんの尻に敷かれっ放しさ」

と、苦笑まじりに語ってくれた。
だけど、酒をあおる彼の目尻に涙が浮かんでいたのを、俺は忘れやしない。

「…狩猟の女神様は、残酷だよ。 儂にはついぞ、振り向いてくれさえしなかった」

彼の言うことは彼の中では事実なのだろう。
だけど俺は、こんな敗残者にはならない。
なりたくない。
絶対に、俺の中に眠っているはずの才能を、目覚めさせてやる。

そう誓った俺は、前にもまして、必死に武器の扱いに勤しんだ。 だが、どの武器においても、俺の上達ぶりはイマイチだった。
見る見るうちにカンを掴んでいく連中の姿を横目で見ながら、この時初めて、「もしかして、俺には才能がないのかも」と焦り始めた。

真なる意味での「才能」…。
誰に教えられなくとも、その本質を見極め、体得していく能力。

それはある意味、この世の真理を見極めんとする、錬金術師や哲学者と同じなのだろうが、それが天賦に備わっている人間と、ただの凡人は、これほど違うのか、と。

切ない現実を前にして、くじけそうだった。
ボウガンの事でも、同じ事を何度も教官に聞き返し、ありえないほどに細かい事まで聞いて、ようやく理解できる有様。

その度ごとに罵声を浴びせられた。
「才能なし」「一度で覚えろ」「止めちまえ」「お前、何でハンター続けてるの?」と罵られた事も一度や二度ではない。
その苛烈さのあまり、ボウガンで撃たれて死ぬ夢さえ見た事がある。

だが、今にもたやすく折れそうな自信を、俺は若者にありがちな、根拠のない自信と一丁前の反抗心で、次々と補強していった。

「(見てろテメェ、俺は絶対に死なない。 絶対に、ハンターになってやるんだ…。 きっと俺には才能がある。 何か、誰をも寄せ付けない、無限大の才能がな…)」
「(その暁には、貴様等全員、俺の前に土下座させてやる。 なんせ俺は、あの伝説の黄金のリオレイアを倒して、大金持ちになって、イイ女をはべらかすんだ…)」

無惨で矮小な自分。
その事実を認めたくなくて、こんな低俗な夢ばかり見続けた。
きっと本当の自分がどこかにある、と自分に嘘を付き続けた。

でも、そうしなければ俺は、最低限の誇りすら保てなかったんだ。


  *    *


「ねぇ、マルク、マルク、起きてよぉ…」
「…?」

頭が重い。 なんか脳髄に鈍痛がする。
まるで、銃で頭を打ち抜かれたかのような激痛。
痛みをこらえ、眼をしばたたかせると、そこは知らない天井だった。

…どこだ、ここ。

それに、何か妙な甘い匂いが…。
これ、俺の記憶違いじゃなければ、これは女の匂い、それも体臭だけど、一体何ごと?

「うおっ!?」

俺は、周囲を見回して一瞬驚愕する。
俺のベッド、その両脇に、半裸の女が二人寝ていたからだ。(※インナーだけは装備してる)
しししししかも、両腕に当たってる、この柔らかい感触はどどどどう考えてもおっpppiです、ありがとうございます!!

「…眼ぇ醒めた、マルク?」

俺の左腕側で添い寝してくれてる美女が、そう語り掛けてくれた。
長いウェーブヘアに褐色のエキゾチックな美女、しかも超巨乳の艶っぽいお姿に、脳髄が焼き付きそうになる。

…が、その声と肩口の筋肉には、俺は見覚えがあった。

「(あ、あれ…? ビアン…カ…?)」

「ちょっと、そっちだけじゃなくて、こっちも見てよ」

ぐいと腕を引かれ、またも胸に腕が押し当てられる。
振り向いて見れば、俺の右腕側に添い寝してくれてる女は、銀髪に褐色のコケティッシュな美女。
小柄な割に胸元の主張は結構な物で、その深っかい谷間に、

「うほおっ」

と思わず声が漏れてしまった。

何だこれ。
何かの夢? そういや、さっき、昔の夢…女はべらかす例のアレを見てたような気がするんだけど、俺ついに夢が叶ったの? 叶えてたの?
この二人、俺の彼女? 恋人? 愛人?
もしかして、これ好き放題しちゃって良いんですか?

「ねぇマルク、私とあの人、どっちが素敵?」
「もし、どっちか一人選べ、って言われたら、どっちにすんねん?」

二人が俺の両腕を抱え込んで、顔の両側からそんな質問をしてくる。
おいおい、何だよこの美味し過ぎるシチュエーションは…!?

この腕に伝わる柔らかい感触はあまりにリアルだけど、現実にこんな事はありえねぇ。 
ってことはやっぱコレ、夢の続き?

「ねぇ、どっちなのよ、早く選んでよ」
「ウチに決まってるよな?」
「ね、私よね? ねっ!?」

もう一人の小柄な褐色美女…。
これはビアンカの妹なのだろうか?
二人とも褐色の肌ってのがちょっと俺的にアレだけど、「姉妹丼」というこの伝説のシチュエーション…!
これはまるっと美味しく頂くしかねぇな!夢だけど!

「ねぇ、どっちを選ぶの?」
「そんなの決まってるだろ…!」
「決まってる? ウチよな? ウチの方が色気あるやろ?」
「いいえ私よ! ね、私の方が可愛いよね?」

「バカ、こういう時の選択肢は『両方選ぶ』に決まってるんだ! イヤッホウッ!」

「「きゃあぁぁあーーーっ!?」」

夢の中の俺は、喜びいさんで二人に襲いかかり、とりあえず胸元のインナーをずり下ろそうとした。

俺の予定では、素晴らしき桃源郷が目の前に現れる予定だったのだが、たわわな桃×4の代わりに褐色の鉄拳×2が飛んできて、俺は豪快にベッドから転がり落ちた。


  *    *


「それで、マルク、アンタどっち選ぶねん」
「いや、ほの前に、事情を話へよ、話はほれからだ…ああ、顎が…」

俺のベッドの中に潜り込んでいたビアンカと、この見知らぬ褐色美女は、俺の夢じゃなく本物の女性だった。
夢の続きかと思って、二人に破廉恥な行為を仕掛けた俺は豪快にブン殴られ、それでやっと正しく眼を醒ました。

…のだが、そもそも俺が何故ここに居て、こういうシチュエーションに至っているのか、さっぱり分からない。
俺の中では、ゴッドフリートに銃撃を受けた所までは記憶にあるのだが…。

「ゴッドフリートの奴は倒して、無事にアンタのボウガン取り返してきてやったで」
「え? マジで? それは…サンキュ」
「で、ウチとシャルル、どっちが魅力的? そして、どっちに付いていきたいか、選び」
「だから何で、そんな話になってんだよ! 最初から経緯を説明しろや!」
「シャルル、説明よろしく」
「ええ、また同じ話するの? 今度は貴女が説明してよ、補足だけはするから」
「…。 仕方あれへんな」

渋々、と言った感じで、ビアンカは説明を始めた。

「ここはアラティゴの村、紅龍騎士団の追撃を逃れて、気絶してたアンタを運んできてん。 で、こっちの小娘は、このバルベキア三国最強()の騎士団、黒龍騎士団の団長さん」

その紹介の意味を理解するのに、俺はコンマ数秒を要した。

「え…。 え何ッ、コイツが!? この女が、あの黒龍騎士団の団長だって!? 本当か!?」
「うん、マジで」

この国最強の軍隊、黒龍騎士団。
先のヴェルド軍との紛争でも、その撃退に大きく貢献したのは俺も聞いて知っている。

「『最強』の後の微妙な空白は何よ! あと、貴方も、コイツ呼ばわりしないで!」
「名前は、シャルル=サンドリオン」
「マジかよ…。 まだ若い女…いや、小娘じゃねぇか…」
「ま、ウチには負けるけどな。 実力でも魅力でも」
「ちょっと、貴方たち二人とも、人の話聞いてるの!?」

この、ビアンカの隣に唐突に現れた褐色美女シャルルは、ここ、バルベキア三国の騎士団長らしい。
そして、この国はクーデターの真っ最中。
正当王権は二男のユリウス王子に継承されたのだが、それに異を唱えたクリス王子と、その一派が反乱を起こしたのだという。

だが、この国で正当王権を主張するならば、王家に代々伝わる「黒龍の鎧」なる品物が必要。
俺が右腕に装備しているのがその一部だが、強大な力をもたらす、この鎧の所有権を巡って、長男のクリス王子と二男のユリウス王子…JJの一派が争っている、という図式らしい。

そして、真の黒幕であるイルモード宰相、その部下・ゴッドフリートが、ハンターズギルドの連絡網で俺の居場所を察知し、後を追いかけて来た。

だが、シャルルも同じくして鎧の所在を知り、現場でいろいろあったものの、面識のあったらしいビアンカと一時協力する事で、ここまで逃れてきたとのこと。

「…な、何? 人の顔ジロジロ見て」
「いや、どこかで見た事あるような気が…」
「…私と? 気のせいじゃないかしら?」
「いや、そうだよな…」

…そうだ、似てると思ったら、マナの代わりに出てきたあの金髪女だ。
だが、酒場女と騎士団長が同一人物な訳がない。

「悪い、別人だった。 それにこんな美人、一度見れば忘れないはずだし」
「…。」
「何だよ」
「…。 あ、ありがと」

「…なんや、何このピンク色の空気? 二人ともいやらしいな、あーいやらし」
「いやらしいのはどっちなのよ、あんな作戦考えたくせに!」

そう言って、黒龍騎士団の美人団長さまが、ビアンカに突っかかっていく。
美人というのはリップサービスなのだが、あの『黒龍騎士団』の団長が、こんな小娘だというのにはマジで度肝を抜かれた。 
何度言われても信じられない。
俺より若く、そして可憐な女なのに、騎士団長を勤めている、だなんて…。

「…信じられねぇ」
「何がやねん? クーデターの事か?」
「今までの話は嘘じゃないわよ、天に誓ってもいい」
「あ、スマン。 今のはただの独り言だ」

そして、ビアンカの説明は続いた。

ユリウス王子側であるシャルルは、クーデターで捕らえられたエイグリル将軍を助けだし、王の証である黒龍の鎧を集めて、敵の一派を一掃し、ユリウス王子を次代の王として擁立したい…との事だった。

「そうか…。 JJの奴、本当に、次期国王だったのか」

手配書で見て知ってはいたが、こうして身分の高い人間の口から聞くと、改めて実感するというか、また違った感慨がある。

一国の王子様とパーティ組んで狩りしてたのか、俺…。
あんだけ侮辱しまくったのに、無礼撃ちにならないだけ、良かったのかもしれねぇな…。

「…『JJ』?」
「ユリウス王子が使ってた偽名やねんて」
「そう、ビアンカから聞いたけど、貴方、王子と面識があるという話は本当だったのね」
「ああ、アイツには大変世話になったよ」

だが、それを言った途端、シャルルの奴はどこから持ってきたものか、俺の目の前の床に、ドガッと投げナイフを突き立てやがった。
俺の右腕の『自動防御』が、その迫力に、一瞬だがザワッと反応する。

「言葉には気を付けなさい! 私は貴方の事をよく知らないけど、それでも貴方程度が『アイツ』呼ばわりできるような立場の人間じゃないわよ、ユリウス王子は!」

…JJの奴は、『人の魂に貴賤はない』って言ってたけどな。 ま、俺がそれを言える立場じゃないか。

「オーライ、俺が悪かった。 一緒にハンティングしてた時の呼び名が、そのまま口に出ちまったんだ。 他意がある訳じゃない、勘弁してくれ」

弁明するのが面倒だったので、そのまま謝った。

「分かれば良いのよ。 …もちろん、『JJ』だなんて、あだ名も論外だからね? 相手は王子様なのよ?」
「分かってる、分かってるよ」
「…こりゃ、争わんでも、ウチの勝ちかな」

ビアンカがニヤニヤしながら横槍を入れると、シャルルはしまった、と言いたげに口を閉じた。

「そうだ、何でお前等、あんな姿で俺のベッドに潜り込んでた訳?」

ここまでの話で、軽く2時間近くが経過、深夜12時をとっくに過ぎた。
そしてようやっと、話はあのベッドの中で、半裸状態のまま、俺にどっちを選ぶか…の選択のシーンまで至る訳だ。

「す、好きでやってた訳じゃないんだからねッ!?」

かいつまんで言うと、さっきの話で出たように、俺の持っている鎧は、王位継承にどうしても必要だった。

「マルク、ウチの約束をすっぽかすとは言わんよな?」
「ああ、分かってるよ」

「マルクさん、貴方が装備している右腕は、私達にどうしても必要なものなの! この国の運命が掛かってるの! お願い、一緒に城まで来て、それを譲って頂戴!」
「いや、そんな事言われてもな…」

だが、この通り、ビアンカとシャルルの間で、鎧の処遇…というか、装着者である俺の今後を巡って、異議が出たのだ。

「大体、城に行って本当に鎧が外れるって保証あるん? それに、敵のド真ん中に乗り込むとか、無謀もイイ所やで! ここは別の方法を模索すべきちゃうか? 狩り友として、マルクを危険な目にあわす事はできん」

「彼の装備している鎧は、この国の宝よ! もし、彼が自発的に国宝を返還してくれるのなら、ある程度まで褒美は思いのままだし、そもそも黒龍の鎧の力があれば、大抵の襲撃は弾き返せるわ!」

こんな感じ。
何だか、ビアンカが俺の事を心配して、なおかつ狩り友だなんて言ってくれるのが嘘みたいだが、とにかく、城の『祭壇』でなら、俺の右腕の装備を外せるかもしれないし、クーデターも解決できる、という事らしい。

っていうか、俺が気絶している間に、メチャクチャ話が進展してんな…。

「それでな、ウチとシャルルとで、どっちがマルクを連れていくか、という話になってん」

それで、二人は決闘にて雌雄を決めよう、という事になったらしい。
本当に剣を抜き、弓を構える一触即発の状態にまで至ったそうだが…。

「でも、よく考えたら、マルクの意向を聞かずに、ウチら二人で張り切って喧嘩しても、意味ないって分かって」
「どうしてだよ」

何で俺の意見を聞こうとか、そんな殊勝な話になった?

「だって、マルクが嫌がればそれまでやん? ウチらが無理に言うこと聞かせようとしても、その『自動防御』の前では、シャルルの剣も、ウチの弓も無効化されるやろうし」
「悔しいけど、ビアンカの言う通りだわ」
「という訳で、ここはマルクの意志に従うしかない、って結論になった訳」
「…それで、俺にどっちに付いていくか、選択を迫った訳か。 で、半裸になってたのは何でだよ」
「私は、鎧の重要性とこの国の未来を、マルクさんに真剣に伝えるつもりだったのよ、最初は」

しかし、ビアンカはそんな崇高な目的を全く意に介さなかった。

「アンタは、ご高説を延々と述べて良かったんやで? 正攻法で負けそうだからって、ウチの色気作戦に便乗してくるなんて、あーやらしい」

ビアンカの策略に、自ら敗北を悟ったシャルルは、極めて不本意だが、同じ土俵に乗るしかなかった。
かくして、二人とも半裸となり、色気でどっちか選ばせよう、という冒頭のシチュエーションが出来た訳だ。

「ムリヤリ過ぎるぜ、お前たち…」
「で、どっちにするねん、いい加減に選び!」
「そうよ、貴方自身の事でもあるのよ!」

そうだなぁ…。
このシチュエーションで、ビアンカとどっちを選ぶかとなれば…。


<続く>
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Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

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