女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#2(7)-3

隣の席の若いハンター二人が「笹神龍心」についての話題を続ける。
それが気になって、俺もちょっと耳を傍立てていたが…。

「ま、『千人射抜き』は当然として、『兄弟国』や『鉄槌と岩山』くらいの逸話は、できれば知ってて欲しいところだな」
「お前、どんだけ笹神マニアだよ」

連中、自分でマニアとか言ってるが、戦記物語に掲載されている、割と普通めのエピソードを、さも凄そうにご披露している。

「でだ、笹神龍心は、一騎打ちをしている二人の国王の武器を、弓矢で同時に打ち砕いたんだよ」
「嘘付け、二つの武器を別々、かつ同時に打ち砕ける訳ねーだろ! それ、凄い神業じゃねーか」
「笹神龍心なら、それをやってもおかしくないんだよ。 なんせ、世に聞こえた『弓皇翁』だからな」

俺は連中の話を聞いて、苦笑する。
若い奴らが、偉大なる先人・笹神龍心に興味を持つってのは微笑ましくもあったが、せめてマニアを自称するなら、戦記物語に載っていない「神風奉君(しんぷうほうくん)」「彼岸問答(ひがんもんどう)」くらい調べてから蘊蓄を垂れて欲しいもんだな。
「兄弟国」くらい、俺に言わせりゃ基本中の基本だ。

まぁ結局の所、そいつらが見た笹神は別人らしい。
話は笹神のトンデモエピソードに移行したため、こいつらの話は聞く価値なし、と判断した俺は、耳を傾けるのを止め、酒席に戻ろうとしたのだが…。

その瞬間、目の前の光景の素晴らしさに、一瞬視線を釘付けにされてしまった。

おっぱい!

脳内に反射的にそんな単語が響きわたる。
俺の目の前に釣り下げられていたのは、そりゃもうなんともすばらしい、実に健康そうな褐色の乳房。
おっぱい様が「もう、ここ、せまい!」とばかりに、狩人Tシャツの中にムリヤリ詰め込まれ、胸元から必死に逃げ出そうとしている、その尋常ならぬ光景に俺の視線は固まる。

…いやホントでかい。
キングサイズ、金冠確定じゃねぇのかこれ!?

しかも、胸の大きさに布地を喰われてずりあがり、ちらちら見えるセクシーおへそと、椅子に横掛けする見事なまでの肢体。
装備が、股ぐりギリギリまでカットされたショートパンツと、ピンクの縞々ニーソックスなので、下半身のスタイルも十分に想像できる。
安産型の腰にすらっとした美脚、エロさとエレガントさを兼ね備えたおみ脚だ。

そのボンバーおっぱい様は、俺と同じように隣のハンター二人の話に耳を傾けていたみたいなのだが

「ふん…。 別々の武器を同時に撃ち抜ける訳ないやん。 鍔迫り合いになる一瞬を狙った、っての分からんのかな」

と、そんな聞き捨てならぬ事を口走った。
よく見れば、すぐ傍に「パワーハンターボウ2」が置いてある。 このおっぱい様、弓師か。
しかも今の話、「兄弟国」の事だろう。
もしかして笹神のファンかな?

だがそこで、彼女は俺の異様すぎる視線に気づいたか、こちらに向き直ると、もの凄い勢いで睨んできた。

「何? アンタ、何ウチの事、ジロジロ見てんの?」

…流暢な共用語だけど、もの凄い東方訛りだ。

「ああいや! 珍しいな、って思ってね! 『兄弟国』のエピソード知ってるなんて、君、笹神龍心に詳しいんだなーと」

それを聞くと、彼女はちょっと驚いたように目を丸くする。

…おお、こうして正面から向き合えば、かなりの美女だ。
褐色の肌に整った顔立ちは、南国の姫様っぽくて、ちょっとした気品すら感じる。
長く美しい、黒艶の長髪はポッケ編みでまとめられ、粗野な出で立ちに、清楚な雰囲気を加味している。

「弓を持ってる所を見ると、笹神龍心のファンかな? にしても、さっきの話、鍔迫り合いの一瞬を狙ったって解釈、斬新だったな! いや、スゴく納得したよ!」
「え、ああ? あ、まぁ、それは伝え聞いたってゆうか、なんというか…」

エロい目で見てたんじゃなくて、笹神龍心に興味があったから君を見てたんだよ、と速攻で話題をすり替えつつ、俺は彼女をさらに視k…いや、観察する。
幸いな事に、そういうケシカラン気持ちは、彼女を子細に観察するうち、あっと言う間に消えていった。

その隙のない佇まい…さっき俺を睨んだ時、一瞬放たれた猛烈な怒気もそうだが、何よりその鍛え込まれたガウシカの如き脚は、長きに渡って狩り場を駆け続けてきた、練達の弓師である証明。
セクシーおへその周囲にチラチラ覗く、女性とは思えないほどに鍛え込まれた腹筋も、それを証明している。

「(…イケる。 こいつ、結構な弓師じゃね?)」

ただ気になるのは、雰囲気は間違いなくG級なのだが、装備がパワーハンターボウ2に狩人Tシャツと、いささか軽装過ぎること。

「しかしさぁ、あの英雄はガンナーのモンハン…いや、模範たるべき存在だよな」

だが、笹神龍心を目標にしているなら、弓師としての腕はそれなりにあろう。
俺のクエストの都合もある事だし、ここはその実力を見極めさせてもらいたい。
G級ハンターなら、十分に合格だ。
そう思った俺は、矢継ぎ早に質問を浴びせかけていく。

「君も弓師だから、笹神龍心を尊敬しているんだろ? 俺もライトガンナーだけど、彼の事尊敬してるんだよ! 『神風奉君』とか、知ってる?」
「ああ、まぁ知ってる。 けど、アンタこそ良う知ってるな、そんな話…。 こっちの国では『神風奉君』とか伝わってないかって思ってた」
「一人でリーヴェル軍を追い返した話だから、か? でも、ヴェルドではデカい図書館でなら読めるぜ」

速射で放つ俺の適当なお世辞に、その娘は、綺麗な琥珀色の瞳を丸く見開いて感嘆する。
心なし、俺に感じていた警戒感が消え、興味が湧いてきたような表情になってきたような気さえする。

「ちょっと意外やなー、爺…いや、笹神さんを知ってる人がこんな多いってのは」
「ああ、彼、どういう訳か賞金首になってるからな」
「うっそ、マジで!? どういう事やねん、それ!?」

おっと、ご存じなかったのか。
俺は壁に張ってある彼の手配書を指さし、簡単に説明してやる。

賞金首、笹神龍心。 重犯罪者にて、討伐した者はバルベキア三国首都・ノーブル城まで来城されたし。
標的の生死は問わず。

「…なぁ、あれで『笹神龍心』って書いてあるん?」
「いや、誤訳だろ? 俺にも『ササミ=リュシェン』としか読めない」

罪状はテロリスト、懸賞金は破格の140万z。

「だからか…。 こないに知ってる人が多いの、おかしいって思ったんよなぁ…」
「まぁ、その影響も否定できないけど、この土地は元々ガンナー多いから、笹神さんを知ってる人は少なからず居るぜ」
「ふーん、そかそか」

俺はさっきの若者ハンター二人を指す仕草をする。

「でも、ニワカも多いのに閉口してんだよ…。 だからこんな所で、本当に話の合う人間に逢えたなんてラッキーだ!」
「はは、サンキューな」
「そういや、アンタ…名前聞いてなかったな? 弓を使ってるからには、ハンターだろ?」
「悪い、自己紹介まだやってんな? ウチ、ビアンカって言うねん。 姓はない。 で、アンタさんの名前は?」
「俺はマルク。 マルク=ランディッツ、ヴェルドのメリーランド出身なんだ。 HRは9」

俺はそこで、ギルドカードを見せようとしたが、担保に預けていたのを思いだし、慌てて思いとどまる。

「で、アンタのハンターランクは?」
「ウチか? ウチはHR…4になるのかな。 つい先日、上位になったばかりやねん」

な ん だ と

「おいおい、どうしてんアンタ、いきなりガッカリして」
「いや、ちょっと予想外っていうか…。 笹神龍心にそれだけ詳しいのに、たったHR4なのか? 強そうな雰囲気あるのに、たったそれだけなのかよ?」
「たった言うなや! ウチはな、HR4であっても、別にそこらの連中には絶対負けへんはずや! …と、思うで」
「いきなり弱気だな」
「ハンターとしての訓練はたっぷり積んできてんけど、まぁ最近、ちょっとショックな事あってな…」
「何だよ」
「ウチ、井の中の蛙だったのかなー、って思い直してんねん…」

そこで彼女は、ふーっとため息をつくと、頭を振って言った。

「自分では、もうちょい強いかなーと思っててんけど」
「けど?」
「まぁ、変な女に相当に食い下がられて…。 爺ちゃんの言うてたとおり、世界は広いわ」

俺はそこで、なんとなくJJの奴の事を思い出した。

「ああ、まあ分かる。 どういう訳か、ハンター連中の中には、常識じゃ計れないほど異様な強さを持った奴が居るよなぁ…」
「全くやわ、今まで必死こいて特訓してきたのは何やってん、って自信なくすわー」
「俺も俺も。 全くだよなぁ、ははは。 それで…」

俺はようやく本題に切り込む。

「で、実は俺さ、ガノトトスのクエストを依頼してるんだけど、どう?」

すると、彼女の眼が、途端に剣呑な光を帯びた。

「ガノトトス? どう、って?」
「いや、君の都合はどうかな、と」

俺は自分が交付したクエストのポスターを剥がして持ってきて、彼女に説明してやる。

「俺、実はこんなクエスト依頼してんだけど、こいつが上位とは思えないほどに強いらしくて…。 で、腕の立つ弓師を探してたんだよ」
「へぇ」
「それでさ…」

俺は、狩人の魂の深部を、ちらりと逆撫でする。

「君、どう? 自信ある? …あ、やっぱ上位になりたてじゃ無理かな? ああいや! ダメだと思ったら、遠慮なく拒否して良いんだよ! 誰だって命は大事だし!」

相手を気遣うように見せかけながら、その実は「お前もしかして弱くね?」と相手を煽る台詞。
これがハンターを挑発する時には一番効く。

「いやぁ、ガノトトスくらい、楽勝やないの? ウチ弓師やし」

…と、案の定乗ってきた。
しかし、まだ餌をつつかれた程度だ。
こっからの駆け引きが重要。

「だけどな、これ、俺が仲介を依頼されたんだけど、上位でも、かなりの腕前じゃないと無理みたいだよなぁ…。 君が弓師って言っても、それパワーハンターボウ2だろ? 貫通弓持ってる人とか、貫通特化のヘヴィやライトの知り合いは居ないか?」

「弓より、ボウガンの方が役に立つ」と、暗に含ませる。
相手の武器をけなすのも、ハンターを激怒させる方法の一つだ。 昔は「超絶ないんですか!?」という挑発も良くあったと聞いている。

「なんやそれ、ウチの腕前を疑ってるん?」
「いやいや、そういう訳じゃないって! あくまでも俺は、万全の準備を以て行きたいんだよ! でも君の装備は、客観的に見れば力不足かな、って思ったんだけさ。 もちろん君が、それを補うだけの実力を持っていれば問題ないけど」
「ガノトトスくらい、G級でも全く問題ないわ!」

お、言ったね、言いましたねー。
実際の所はどうか分からん、というか、パワーハンターボウ2でG級ガノトトスは結構忍耐を強いられるはず。
だがまぁ、実際に上位のガノトトスであれば、彼女単独でも全く問題ないだろう。

…何せ俺は全く、戦力としてカウントできないからな。

「まぁ、君がそこまで言うなら、参加をお願いしても良いかい? 飯くらいは奢るからさ」

それを聞くと、彼女はちょっと冷静になったか、ハッとした顔になる。 自分が景気よく釣りあげられた事に気づいたようだ。

「あ、ああ…。 まぁええやろ、ガノトトスくらいパッパと終わるし…。 任務地は、ここから近いん?」
「ああ、かなり近いぞ、南湾の郊外だから、馬車で往復2日だな」
「…2日か」
「何だ、何かあるのか?」

彼女は、しばらく腕組みをしつつ考えていたが…。

「一つ、頼まれたい事があるんやけど、ええ?」
「用件によりけりだけど、どうぞ」
「人探しをお願いしたいねん。 誰を探すのかは、後で話すわ」
「おいおい、それ俺にできるのか? 元傭兵の犯罪者とかはゴメンだぞ?」
「大丈夫やて、途中まででええから」

途中まで、って事はやはり危険な相手なんだな。
ま、面倒な話になったら速攻バックレれば問題あるまい。
なんせ、俺としては金策が最優先であり、慈善事業に費やしている暇なんてないからな。

「…OK、まぁいいや。 だがその代わり、ガノトトスの狩猟はよろしく頼むぜ」
「任せとき、じゃあさっさと準備しよか? 時間ないねんから」
「お、気が合うな。 兵は神速を尊ぶ、だしな」


<続く>
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Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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