女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#2(7)-1

それは、15年前の事になる。

俺がハンターになりたての頃、試験場で初めて構えたヘヴィボウガン「アルバレスト改」。
あの伝説のガンナー、「A GUNNER」が担いでいた武器を自分も手にして、内心抑え切れぬほどの感動と、こみ上げてくる武者震いを止められなかったものだ。
それで

「俺はこれでモンスターハンターの世界を切り開いていくんだ!」

と大層無謀な事を考えたものだが、その時は右も左も分からない14歳だったので仕方ない。
実際イャンクックにボコボコにされ、試験管と同僚…ゴッドフリートの奴に嘲笑された事で、俺にはヘヴィガンナーの適性がないな、とすぐに悟ったのだから、調子こいてたのは勘弁してほしい。

恵まれないハンター人生ではあったが、それなりに楽しかった。
自分には何の武器が向いているのかを試行錯誤し、武器や防具を強化して、周囲の人の頼みを言われるがまま聞いてやり、モンスターと闘い続ける日々。

あの頃の生活には、感動があった。楽しみがあった。喜びがあった。
何より、俺は強くなるんだ、という希望があった。
それこそが、俺をつき動かした原動力だろう。

いつか、歴史に名を連ねるようなハンターになりたい…。

それが俺の望みだったから。

  *      *

「げぇっぷ…。」

ノーブル城下の、裏街道のなんとも知れぬ居酒屋で、安酒を飲んでいた俺は、うたた寝しつつゲップしていた。
酔漢としての態度は最悪だが、正直そんな事には気を使っていられない。
このまま寝屁でもたれて、周囲の奴らをドン引きさせてやろうかと思うくらい、俺は捨て鉢な気分だった。

…正直、マジで人生最悪の大ピンチだ。

俺がテネス村で目覚めた時、眼前にはゴッドフリート率いる、「紅龍騎士団」の連中が、血塗れになって倒れていた。
最初は信じられなかったが、この状況、全身に浴びた返り血から、それは俺がやったものだと理解せざるを得なかった。
村人から疫病神扱いされた俺は、外に係留されていたガウシカのソリ(紅龍騎士団が移動に使っていたと思われるもの)を一台失敬して、まさに飛ぶように城下に逃げ帰ってきた。

この状況で俺がやる事は一つしかない。 国外逃亡、だ。

あのボコボコになった連中の中に、ゴッドフリートは居なかった。
という事は、奴は生きており、次は確実に俺を狙ってくるだろう。

俺はそこで、自分の右腕に目を落とすと、もう一度深くため息をつく。

なんせそこには、どうやっても右腕から外れてくれない「呪われし王者の小手」があったからだ。
どういう構造でこうなっているのか分からないが、まるで右腕と一体化しているかの如く、どうやっても外れない。
思いっきりはずそうとした時に、右肘が抜けかけて諦めた。

ゴッドフリートの目的は、この鎧だった。
たしか国宝、とか言ってたっけな。
という事は、少なくともこれが外れない限り、俺は奴の追跡から逃れられない。
それに、テネス村でのあの惨劇…。
状況を鑑みるに、連中を半死半生にしたのは間違いなく俺だから、兵士達に対する傷害致死罪…いや、死んではいないと信じたいが…。
それらを総合するに、俺は良くて無期懲役、悪くて…。 いや多分、ゴッドフリートの奴が圧力を掛けてくるだろうから、十中八九死刑だ。

なら、奴に捕まる前に逃げちまえ、と考えたのだが、既に状況が激変していた。

第一に、金がない。
JJの奴に馬車や資材を仕立ててやったせいだ。
マナにあれこれ投資してたからじゃない。
あと酒のせいでもない。

…金に困ってるのに酒飲んでんじゃねーよ、ってツッコむの禁止。このショッキングな状況に酒なしで耐えられるもんか。

とにかく、身を隠して国境を越えるには、関所の連中を丸め込むために、かなりの金額(賄賂)が要る。
今、例の王位継承問題で、国境警備はかなり厳しくなっているから、6桁は用意しておかないと、俺は身の安全を保証したまま国外に逃亡できないだろう。

しかしどういうことか、俺が持ってる手持ちの路銀は、5桁に近い4桁だった。
普通、ハンターでなら、ここでモンスターを狩ってお金を稼ぐところ。 
俺だってそうしようと思ったのだ。
だが、困った事に…。

「金華朧銀の対弩」が無くなっていたのだ。
俺をブン殴ったヘルシャフトって奴の傍には落ちていなかったので、多分騎士団の連中が既に回収しちまったのだろう。

これが…。 超絶に痛かった。

「金華」は俺のメイン武装、正直これさえあれば他のボウガンは要らなかったので、売って金に変えていた。
しかし、メイン武器が無くなった今、俺は店売りの武器に手を伸ばさざるを得なくなった。

言うまでもない。
今、店売りでもっとも強力なボウガンと言えば、「チェーンブリッツ」だった。

攻撃力はなんと驚異の108。
しかも速射が通常弾Lv1の、お得感満載の一丁だ。

「…ふざけてんじゃねぇぞ、ちくしょう…」

引継ぎなしで最初からプレイするとか、ダルいだけじゃねぇか…。
また、俺は14歳からの道程を繰り返すのか?
G級になるのに、数年以上かかった、あの苦行をか?

そんな悠長な事はやってられない。
なんとかして金銭を工面し、武器を都合した上で、国外に逃亡しなければいけない。
さもなくば、待ち受けるのは(ゴッドフリートに捕らえられての)死、だ。

「冗談じゃねぇ…」

幸いにして、ギルドカードは紛失せず持っていたから、G級クエストは受注できる。
ならば手段はたった一つ、他のG級ハンターにお願いして寄生させてもらい、それによって得られた素材で新しくG級装備を作る。
ここバルベキア三国は、ラティオ活火山地帯に属し、ヴォルガノスやショウグンギザミ、ガノトトスの生息報告が多い。
ならば、「金華」の代わりになりそうなものと言えば、ヴォルガノスのライトボウガン「ラヴァシュトローム」だろうか。

…いや、まぁとりあえずは、採取で作れる「S・クロスボウガン」あるいは「ハイチェーンブリッツ」で妥協すべきか?
そのためには、採取ツアーに一人で出かけなくてはならないが…。
ただ、採取といえど、そこにはG級モンスターが出る。 チェーンブリッツで戦うのは無謀の極みだ。
仲間を頼む? だが、仲間を頼むならば、採取ツアーなどには同行してくれないだろう。 それ以上の手間賃を要求される事必至だ。
それに、仲間が居るなら、最初からラヴァシュトロームを狙った方が良い。 その場合、手間賃は結局踏み倒す事になるんだろうな…。

そんな悪辣な考えがいろいろと頭をよぎっていくが、これ、と言った回答は出ない。
しかし悠長にしている暇もない、と分かっていた俺は、とりあえず冷水を飲んで頭をシャキッとさせると、バーカウンターの傍に目を向ける。

そこでは、掲示板を見ながら、何のクエストに行こうか、と検討しているハンターの一団が居る。
奴らだ。とりあえず、G級でも上位でも良い。連中に寄生させてもらって、金を稼ごう。
そう思った俺は、特上の笑顔を浮かべつつ、奴らに向かっていく。

「なぁ、君たち何人組? 何のクエスト受けるの? よかったら、俺も混ぜてくれない?」

フレンドリーに語り掛けた俺の言葉を、怪訝そうな表情で返す、青年ハンター2人+女性ハンター1人組。
だが、連中の目は俺様の「チェーンブリッツ」を見つけるやいなや、

「いや、僕たちこれからフレに呼ばれるんで…」

と、まるで不審者を見るような表情で、そそくさと去って行った。
俺はその後も、しつこく掲示板を眺める連中に声を掛けたが、

「あっ、君一人? 良かったら、俺も同行しようか? 一人より、二人の方が心強くない?」
「いや、俺ソロ専門なんで」
「そっか、ソロ専なんだ、ごめんな、もし機会があったらまたよろしくね!(どうせテメェ、偏屈者のぼっちなんだろうがよッ!)」

「なぁ、良かったら、一緒に採取ツアー行かない? 俺と一緒に鉱石掘りに行こうよ」
「採取ツアーくらい一人で行け情弱乙」

最後のが何故「情弱乙」と言われなければならないのか釈然としなかったが、とにかく断られ続けた。
その原因が、俺の持つ武器…。 チェーンブリッツだった事は明白だ。

G級ハンターなのに、下位武器。
自分で言うのもなんだが、こんな奴、どう見ても地雷にしか思えない。
俺とてこんな奴を集会所で見かけたら、適当な事を言って関わるのを避けるだろう。

しかしどうしたもんか…。
元々、俺もあまり人付き合いは上手くない方だが、この状態を続けると詰む。
寄生がダメならば、もう一つの可能性を追おう。

俺はこの酒場…「潮騒の入江」亭のマスターに、クエストを依頼して良いもんかどうか聞いた。
ハンターがダメなら、依頼人としてクエストを交付し、素材だけ持ってきてもらおう、そう思ったのだ。

「オヤジ、ヴォルガノスのクエストを依頼したいんだけど…いいか? 2頭クエストとかあれば、なお良いんだが」
「『燃えさかる大河』か? 構わんが、依頼料はあるのか?」
「多少は。 いくらだ?」

オヤジは、にこやかな笑顔と共に返事した。

「72000z」
「は?」

そういや、すっかり忘れていたが、クエストの依頼料は、報酬の3倍が相場だった。
「燃えさかる大河」の報奨金は24000zなので、その準備費用には3倍の額、72000zが必要なのだった…。

「ぐむむ」

このオヤジの笑顔には悪意はない。
72000zごとき、現役ハンターだったらどうとでも工面のつく額だ。
しかし俺の手持ちは4桁、はっきり言って全く払える額じゃない。
しかも連戦しないと、素材の集まり的に、ラヴァシュトロームは作成できない。
ダメだ、どう工面しようと、ラヴァシュトロームは作れない…!


 *     *

「オヤジ、ホピ酒もう一杯」
「あいよー」

人の都合も知らず、カウンターのオヤジが景気のいい声を返してくる。 こっちゃ既に煮詰まってる、ってのに。
その後、俺は背中のチェーンブリッツを、ハイチェーンブリッツだとごまかしてG級クエストに同行させてもらおうと思ったが、悉く断られた。
どうやら下位武器だから、という訳ではないらしい。

「もしかして…」

「(チェーンブリッツだからダメなの…?)」

おいおい、それちょっと切ねぇだろうが…。
俺、案外好きな武器なのに…。
通常弾Lv1が5速射なんだぞ。

どっちにせよ、もうまともな方法では金稼ぎは不可能。
再びチェーンブリッツでハンター街道を昇ろうとしても、先にゴッドフリートの奴に見つかっちまう。

ならもう、非合法な方法しか、生き残る手段はない。
ハンターにとって、非合法ったら、アレに決まってる。

…密猟、だ。

<続く>
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Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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