女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「GUNNER'S HEAVEN」#2(6)-4

ここで場面は、ほんの少し時間を遡り、場所は「雲龍の宴」亭へと移る。
紅龍騎士団三番隊【エルムザ】隊長、ヴォーデン・マクステリオンは、手配書の羊皮紙を高く掲げながら問うた。

「再度、傾聴せよ! この顔立ちの者に見覚えはないかッ! 同じく国家反逆罪と殺人罪で逃亡中、賞金は400万zの女だッ!」

それを見て、シャルルは驚愕に戦慄した。
だが、戦慄したのは、シャルルだけではない。
手配書に描かれた、愛くるしい大きな瞳と整った顔立ち…。

長い銀髪こそ違うが、それは、この店の出自不明の用心棒「リズ」に酷似していたからだ。
酒場の給仕嬢の視線が、一斉に自分に注がれたのを、確認せずとも察知できていた。

「名前は黒龍騎士団団長『シャルル=サンドリオン』! この酒場近辺に潜伏しているという情報を得て、本日20時より、本隊が徹底的に調査を行う事になったッ! 全員、両手を後頭部に! 膝を折って床に伏せッ!」


ざわわ、という声が酒場に蔓延する。
場は騒然とした異様な雰囲気に飲まれ、次々と床に伏せていく。

「な、なんで、楽しく酒飲んでただけなのに、俺たちがこんな目に…」

そう言いながら、皆と同様にうつ伏せる客たち。
シャルルもうつ伏せながら、敵の状態を把握する。

…敵隊の人数は、ヴォーデンを含めて総勢14人。
ヴォーデン含め片手剣所持者が10名、ボウガン4名。

「黙れぁッ! 従わねぇ奴ぁ速攻殺すぞッ、ぐるぁッ!」

髪を尖らせた、細身で長身の男が叫ぶ。
威圧のつもりか、わざわざ片手剣の刀身をペロリと舐めるという、児戯じみた仕草をするが、こういう何をするか分からない連中だと、案外本気かもしれないから質が悪い。

「よぉぉし! ユリウスってガキとシャルルってアマが居ねぇかどうか、今から逐一確認してっからなぁ! 手ぇ煩わせたら、その場で殺すからな、動くんじゃねぇぞ!」
「おい、お前たち! ここで人殺しをしたら、軍規によって裁かれる事は忘れるな!」
「うるせぇよ、ヴォーデン! そりゃ成り行きだろうが! おめぇは報告と金だけ出してりゃいいんだよ!」

ヴォーデンが隊長らしく指導するが、部下は指示を全く聞こうとせず、逆に嘲笑を返される始末。

「貴様ら、隊長殿の指示に従い、速やかに任務を開始しろ」

だが、ヴォーデンの脇に、無言で佇んでいた、禿頭の巨漢…。
さっき、手に持つ棘付き棍棒のような片手剣で、酔漢を瞬時に無力化せしめた男がぼそりとそう呟くと、他の兵士達は不満も露わなものの、大人しく指示に従う。

あっちの男の方が格上なのか。
そう思って子細に観察した瞬間、シャルルはその巨漢の事をうっすら思い出す。
隆々とした筋肉、そして岩の如くゴツゴツした顔に、魚のような、小さな赤い目…。
名前は思い出せないが、確か重大な軍規違反で独房に入れられた元兵士だった。

そう言えば、他の連中も書類でだけは見覚えがある。
全員が全員、犯罪者だ。
しかもその殆どが、殺人や強盗の常習犯、とりわけ凶悪な連中ばかり…!

「(じゃあ、こいつらは正規の軍隊じゃなく、恩赦によって放たれた、犯罪者の連中…?)」

チンピラ然とした団の一人が、片手剣をブラブラさせながら、列の一番端…。
床に伏せたヘヴィガンナーに寄っていく。

「おう、テメェ、いいボウガン持ってんな、貰っていくぜ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ…! それは、僕が苦労して作った『ガイアイーター』…!」
「うるっせぇんだよ、僕ちゃんがッ! てめぇはユリウスか!? ユリウスだろうがッ! だからンな事囁いてんのかッ!?」

チンピラの片手剣が躊躇なくガンナーの頭に降りおろされ、全員が息を飲む。
そんな暴挙があるのか、とシャルルも思ったが、流石に逆刃になっていたようで、そのガンナーは気絶するだけに留まった。

「おう、隊長よ! ボウガンは全部巻き上げれば良いんだろ!?」
「巻き上げる、ではない! 治安維持のための一時的徴発だ! 騎士ならば言葉を誤るなッ!」
「うるせぇ! どうせ俺らの装備品にしちまうんだろうが! カッコイイ事だけ言ってんじゃねぇよ、クソがッ!」
「何だとッ…!」

まともな理性を持つ人間の会話になっていない。
あまりの程度の低さに内心で絶句しつつ、だがシャルルは打開策を探る。

入口の扉側には、兵士達が群になっている。
多分、裏口もある程度の兵が固まっているだろう。
黒龍の鎧と王子の片手剣は、二階の自室にある。
この袋小路を脱出する方法は二つ。

(1)隙を見て二階の自室へ飛び込み、黒龍の鎧を装備して、窓を蹴破って逃げ出す

(2)別人を装ってこのままスルーする

しかし、どちらの方法も即断できない理由があった。

(1)の場合、自分だけが逃げても、この犯罪者連中を野放しにしていたら、残った酒場の皆がどうなるか分からない。 なんせ「違反者は極刑」の軍規を振りかざしても、制御し切れぬ連中なのだ。

(2)の場合、ヴォーデンは初見では、自分の存在に気がつかなかった。 それほどまでに、今の自分の姿は「シャルル=サンドリオン」からはかけ離れている。
だが、給仕嬢の皆は、多分自分がシャルルだという事を疑っているに違いない。 誰かがそれを申告すれば、自分はたちまち拘束される。

同じく酒場で働いてきた皆を裏切るか、信じるか。
限界でのニ択にまたも悩まされるシャルルだが、結局、彼女は(2)を選択する事になる。

「うへぇぇ、いいなこの女…。 なぁ、後でこの女、持ち帰っても良いだろ?」
「いやぁ、やめてバカぁッ! やめてよぉっ…!」

「おいお前、ユリウスか? 顔ォ見せろォ!」
「ち、違います、全然年だって違うし…」
「るっせぁッ! 口答えすんなオラッ!」
「ぐあっ!」

紅龍騎士団の兵士達が、給仕嬢を始め、酒場の一般客にまで乱暴狼藉を始めたのだ。

それを見て、シャルルの思惑は決まった。
自国の領地内で、こんな蛮行を許しておける訳がない。
幼い頃、男に襲われかけた記憶と心の傷、それが彼女の心中に、猛々しい程の怒りの炎を灯す。

この場の皆を見捨てて行くことは絶対にできない。
もし、ヴォーデンが皆を統率できず、この場が地獄となろうものなら、例え素手であろうと、相打ち覚悟で全員を叩き伏せる。
そんな無謀な覚悟をシャルルが内心で固めると、紅龍騎士団の面々が捜索を行う中、なんとヴォーデン本人が、まっすぐシャルルの元にやってくる。
そして、床に伏せたシャルルの顔を、靴でゴリッと横に向けた。

「あっ…!」

内心の怒りを押し殺し、普段よりやや高めの声で、か弱く自堕落な、夜の女を必死に演じるシャルル。
剣呑な表情のヴォーデンは、しばらくまじまじとシャルルの顔を見ていたが…。

「ふん…。 似ていると思ったが、違ったか…。 貴様、名は」

なんとヴォーデンは、シャルルの正体を見逃した。
それはシャルル当人にとっても驚きの出来事であったが、マナの演出過剰なメイクが、彼女を完全に別人に見せていた、としか言いようがないだろう。
シャルルは、別人の素振りを続けたまま、質問に答える。

「リズ…。 エリザベス=レジーナ…。」
「出身は」
「め、メリーランドです…。 家が小作農家で、貧しくて…」

シャルルは、「平等の家」の時代の、少ない女友達の事を思い出しながら、嘘の名前と逸話を話す。
ヴォーデンはオネスト地方の地主の孫だったから、万が一にも、本物のリズと接点があるはずはない。

「それで夜の女に身を落としたか? どうだ、今は稼げるか? 男にかしづく気分はどうだ?」
「…?」

この場にそぐわぬ問いを投げられ、実は未だ半信半疑なのか、と身を固くするシャルル。

「俺たちの上官はな、女のくせに、男の夢である軍の頂点に立ち、多大な権力を振るっていたよ…。 さっき見せたろうが、あいつだ」
「うぐっ…!」

さらに靴でゴリッと顔を踏まれ曲げられ、俯いたまま首が上向くような無理な体勢になる。

「お前、本当に似ているよ、あの女に…。 ふふ、あのシャルル将軍を越えられる日など、永遠に来ないと思っていたのにな」

ギリギリと、シャルルの顔を踏む足に力が籠もる。
なんとも奇妙な話だったが、ヴォーデンはよく似た別人(だが本人)を踏みつけて、鬱積を晴らしていたのだ。

「ご、ご無体を…」

そう許しを希いつつ、機会を伺うシャルル。
酒場の中は、悲鳴や乱暴の音でごった返し始めていた。
統率が乱れつつある今なら、誰かの武器…。全員片手剣なのが惜しいが、武器を何とかして奪い取り、叩きつぶす機会が、そろそろ訪れるはず。
その時を逃さず待つのだ。

「やはり、女はこうして…男に足蹴にされているぐらいが丁度良い。 男の上に立つなど、もっての他だ」

ギリギリと、シャルルの顔にヴォーデンの体重がかかる。

「ああっ…!」

だが、その時、上から降ってくる声が増えた。

「なぁよぉ、俺にもやらしてくれよ、その女いい感じじゃねぇか」
「ビッグス…。 殺さないようにしろよ」
「誰が殺すかよ、こんな良い女だったら、もっと楽しい使い道があるだろ」

そう言うと、ヴォーデンと交代したらしいその男…ビッグスという巨漢は、うつ伏せになったシャルルの腰を抱えたまま、力任せにスカートをビリビリとはぎ取った。

「きゃぁああっっ!」

インナーが露出し、思わず本気の悲鳴が口から飛び出てしまう。
反射的に振り向いて男を押し飛ばそうとするが、羞恥のあまり「練気」を忘れたシャルルの筋力は、成人男性を多少上回る程度でしかない。
もみ合いは単純な腕力勝負、必死に抵抗はしたものの、すぐ巨漢に後ろ手を取られる。

「おっ、なんだテメェ、亀みたいに固まってんじゃねぇよ、クヒヒヒ」
「あううっ!」

あられもない姿を見られまいと、体を丸めるシャルル。
だがビッグスは、後ろ手を引っ張りつつ立ち上がる。
肩関節が無理な方向に曲げられ激痛が走り、それでシャルルも吊られて立たされる。

「(しまった…。何で、「練気」を忘れてるの、私…!!)」

「クヒヒヒ、いい体してんじゃねぇの、オラオラ」

心を落ち着け、「練気」のために導引の気法を行おうとしたシャルルだったが、ビッグスは片手でシャルルの腰を固定し、自分の腰をすり付ける仕草をしてくる。

その破廉恥な動作に、激しい怒りと羞恥心を覚えたシャルルは、思わず荒く息をつき、調息を千々に乱してしまう。

「ぐ…やめて、やめてよ…!」
「誰がやめるかよ、バーカ」

後ろ手に拘束されたまま、自分の体をまさぐる手に、もはや本音か演技か分からない声を漏らしながら、許しを乞う仕草をするシャルル。

「オウルァッ! てめェ、顔見せろァコラッ!」
「ぐわっ…!」

「おう、これも貰ってくぞ! 文句ネェな!」
「お、俺のボウガン…!」

「お前、顔見せてみろ! シャルルかお前!?」
「髪は止めてっ! …い、痛ぁい!」

混乱は加速してゆき、酒場内は既に、悪漢達が思うままに蹂躙する所となっていた。

「どうだ、ユリウス王子とシャルル将軍は見つかったか!?」
「…いねぇぞ、見つからねぇ。 大体、こんな酒場に居るって話自体、本当なのかよ…」
「そんなすぐに発見できれば苦労はしない! 探せッ!」「どこかに隠れて、機を伺っているかもしれん! 奇襲には十分気をつけろ!」
「2階の捜索に、誰か行ってこい!」

状況が混乱を極め、阿鼻叫喚の様相までをも呈し始めた時、ようやく転機は訪れた。

「隊長ッ、大変です、ありましたッ! 『黒龍の鎧』の脚部分です! 片手剣も見つかりました、間違いありません!」

二階の捜索に行った兵士が、階段の上から、シャルルが奪った鎧の両脚と、剣を両手高く掲げる。
混乱と動揺を含んだどよめきの声が、酒場中を掛け巡る。

「何ッ…!?」

その報告を受け、逆に驚くヴォーデン。

「あの貴族の報告が、本当だっただと…!? ではここに、本当にシャルル将軍が!?」

酒場の中に居た全員が、黒龍の鎧を持つ兵士を一斉に見ていた。 ビッグスも、惚けたようにそっちを見ていた。

「おい、オーナー、どこだ! シャルル将軍をどこに匿っ…」

辺りを見回し、そして唐突に思い至った様子のヴォーデン。

「…いや、違う! まさか、さっきの女が!?」


「ぐももおぉおっ!!」

ぐちゃ、という音と共に、シャルルの後ろで卑猥な、しかし隙だらけの行動を取っていたビッグスが、股間を押さえて崩れ落ちる。

シャルルは、はぎ取られたスカートを腰に巻き付けると、後ろ踵蹴りを食らって悶絶し、白目を向いて舌を飛び出させたビッグスが舌を噛みきらないように、口を開けて舌を押し込んでやる。

「貴様、こっちを向けッ!」ヴォーデンが叫ぶ。

シャルルはビッグスの腰から、ベルトに差してあるだけの片手剣を悠々と奪い取った。
そして悠然と佇立すると、手の中にある剣を、愛おしそうに眺める。

鋼の冷たさと静かな輝きは、破廉恥な行為で傷つけられたシャルルの心を清らかに慰撫し、鋼の重量感と鋭角な造形は、彼女の心に無限の勇気を与えてくれた。

剣の柄を通して、実感できるこの感覚。

自分は…。 
そう、格闘士でも、用心棒でも、まして夜の女でもない。
シャルル=サンドリオンという名前の、この自分。
自分はやはり、「剣士」なのだ。

そう再確認した時には、あれほど乱れた心もすっかり落ち着き、ほぼ無意識に、導引の気法へと呼吸を移行できた。

「なんだッ、てめぇ! 俺たちに刃向かう気あぁッ、ゴラァッ!!」
「仲間を良くもやってくれたな、テメ死ぬぞッ! その服ひん剥いて、死ぬまでズタズタに…」

だが、兵士達の雑言は、シャルルのヒュヒュンという、剣の風切り音だけで静かになった。
いや、その何千回、何万回と繰り返され、洗練された剣撃の威圧感によってか。

「貴様、本当に…!?」

ヴォーデンが、膝を震わせながらシャルルを見ている。
だが返事はしない。
どうせ、この後の剣技を見れば分かること。

「…正直、いろいろ隙だらけで、本当に助かったわ…」

「おめぇが、シャルルくぁあっ!」

騎士団のチンピラ連中は、人質を取る事も忘れて、奇声を上げながらこちらに向かってくる。
構えは素人、しかも陣刑の概念もないのか、全員が一気にシャルルに殺到して、おしくら饅頭の状態になりバランスを崩す。

「てめぇ、退け!」
「うるせぇ、400万zは俺のモンだッ!」

まるで、モンスターを同時に攻撃しようとする、素人パーティ同然の行為。
勝手に作ってくれた隙を最大限に生かすべく、シャルルはダッシュで連中の中へと切り込み、文字通り段違いの速度で剣を振るう。
素手なので、剣盾コンボは封じられているし、殺さぬよう剣を逆刃に持っているが、練気によって十分に気を込めたシャルルの片手剣は、巨大棍棒級の破壊力を有する。

見かけだけ豪華な紅い鎧など、シャルルにとっては何の意味もない。
鎧兜の上から、力任せに頭を叩き腕を折り、暴風の如き剣舞で、瞬く間に団子状態の7人を叩き伏せた。

「な、何だと…!」

敵に動揺が走った瞬間、シャルルは素早く指示を飛ばす。

「ヤチヨ! ディル! フレンディ! 皆を守って、二階の連中を退治して! 早く! それと、あの鎧だけは取り逃さないで!」

「せ、拙者達でござるかーッ!?」
「ぬう、わ、我々は一介のハンターで、傭兵経験は全く…!」
「り、リズにゃん、アンタ本当に、黒龍騎士…」
「ごちゃごちゃうっさーい! さっさとやんないと、アンタ達、後でガチの軍法会議に掛けるわよッ!」

「「「アラホラサッサー!」!」!」

シャルルの激に尻を叩かれ、片手剣のヤチヨと弓師のフレンディはコンビを組んで二階の兵士に突撃していく。
ディルガーウェンは酒場の客を指揮し、隅に皆を固まらせる。 

「貴様たちはこっちだ! おい、盾を持つ物は、流れ弾を防ぐために、前に出ろッ!」
「お、おい、良いのかよ、これ…! 無理に戦わされて、後で懲罰とか御免だぞ…!」
「皆の身を護るだけだ、どっちにも加担しなければ問題はない!」

確かに、この状態を外から見れば、紅龍騎士団と黒龍騎士団という、軍の派閥での小競り合いに見えるのかもしれない。
客中に居る他のハンターも、戦力にはならなさそうだが、無駄に蜂起されて展開が読めなくよりは良いだろう。

そこまでを確認し、シャルルは再び騎士団の連中へと向きなおる。
残ったのは、ヴォーデンと護衛の禿頭の大男、そしてボウガン隊の4人。

ボウガン隊がリロードするのを見て、シャルルは鋭い舌峰を浴びせる。

「あなた達、ここで撃つ気!? 流れ弾が民間人に当たりでもしたら、軍規の元に裁かれるのは覚悟しなさい!」

すると、全員はリロードこそやめなかったものの、動揺する雰囲気が見えた。
ボウガンは脳筋武器ではないだけに、ある程度話の通じる連中も多い、という事か。
…いや、こいつらだけは本物の兵士なのかもしれない。

シャルルの舌峰を聞いた禿頭の巨漢が、ヴォーデンに何事かを確認する。

「隊長、あいつが、本当に?」
「ああ…。 もう間違いない」

そして、ヴォーデンは、シャルルを見て、信じられないような表情で、ぼそぼそと呟く。

「シャルル将軍…。 まがりなりにも騎士団長の貴女が、まさかそんな淫猥な格好をして、市井にこれほど完璧にとけ込んでいるとは、正直、想像もできませんでしたよ…。 本当に見分けがつかなかった…。 いや、女は本当に恐ろしい」
「…私も、結局はこうなったにせよ、最初見逃されるとは、正直驚いたわ。 人の顔を覚えられないようじゃ、貴方には隊長職はまだ早そうね、ヴォーデン」

ヴォーデンの顔が、かあっと紅に染まる。

「おい、隊長! 奴は…!」

禿頭の巨漢が、小さい瞳に獰猛な眼光を湛え、何事かを促す。

「…よかろう、やれ! 奴は貴様にふさわしい相手、かの『黒鳥騎士団』の後継者だ! 奴を倒せば、賞金とは別に、量刑の減免を50年分嘆願してやる! 殺せ、『バック・スタブ』!」


<続く>
スポンサーサイト

*Comment

 

昼休みの、憩いです。
次が気になります。
  • posted by ゆうた 
  • URL 
  • 2012.09/10 13:06分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

最近の記事

月別アーカイブ

FC2カウンター

右サイドメニュー

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。