女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#1(6)-7

「ボウォォォォォォォーーーーッッ!!」

「ウキョァッ!」「ゴファッ!」「ガオウッ!」

「ち、畜生…!」

ドドブランゴの召還に応じ、ブランゴが壁面を駆けおりてきたり、雪をかき分けて次々と姿を表し、俺たちを取り巻いて睨み付けてくる。
さっきから、このドドブランゴは、次々と配下のブランゴを呼んで、距離を取る俺たちの足を止めようとしているのだ。

「(弾丸が…)」

少なくとも、ドドブランゴはもう1体居る。
あと何体居るかも分からないのに、こんなに雑魚に無駄弾を撃って良いものか…という焦燥が、徐々に胸の内を這い上ってきたのだ。

「何やってる、お前!」

JJの言葉に、ハッとする俺。 
だが、次の瞬間、俺の胸元と顔に、氷混じりの雪玉がぶつけられた。

「うぶっ…!」

距離を取ってると思って、完璧に油断していた。
戦いに興奮したブランゴが、足下の雪を掬って投げてきたのだ。
まさかの雑魚からの遠距離攻撃。

「ゴアアアッ!」

それを見定めたドドブランゴが、一撃を加えんと駆け寄ってくる。 俺は必死に回避しようとしたが、顔にぶつけられた雪で遠近感が掴めず、回避のタイミングがずれ、軌道修正したドドブランゴの突進を喰らってしまった。

「…!!」

凄まじい衝撃と共に、俺は軽々と弾き飛ばされる。
とっさに取った対衝撃の構えなど全くの無意味、意識まで飛びそうな程の強烈なドドブランゴのタックルだった。

俺が装備してたのはG級装備だが、ガンナーの防御力なんて、剣士に比べりゃホント紙屑だ。
体がバラバラに砕けそうな衝撃と、まだ体感すらできていない激痛。
だが俺は雪面を転がり滑りながら、意識を保つ事を必死に試みた。

”いつもみたいに、簡単にオチたらダメだ”
”意識を繋ぎ止めろ、俺…!”
”あいつが見てるぞ。 …JJが”
”年下の前で、無様に倒されるとか、そんな格好悪い真似、できるものか…!”

それに、JJは閃光玉やシビレ罠などの、相手の拘束手段を持っていなかった。
モンスターの動きを止めて、担いで逃げる事は不可能なのだ。
つまり、二人タッグであれ、倒されたらさらに攻撃を喰らう事は間違いない。
無意識の状態で、野生の獣の攻撃を喰ったら、まず間違いなく死ぬか再起不能になる。

”死ぬな、俺! 生き延びろ…!”
”だから、絶対に気絶だけはするんじゃない…!”
”ドドブランゴに追撃される前に、早く起きあがれ…!”

だが、朦朧とした意識の中で、起きあがった俺が見た光景は、追撃しようと俺に襲いかかってくるドドブランゴの姿ではなく、かなり離れた場所でJJとドドブランゴが交戦している光景だった。

JJがターゲットを取って、距離を引き離してくれたのか…?

とにかく助かった、と思った俺は、アイテムポーチから、「いにしえの秘薬」を取り出して飲む。
体力と、戦闘で蓄積した疲労(スタミナ)が、みるみる癒えていくのが分かる。

もうちょっと。

もうちょっと完全に回復するまで、待っていてくれ、JJ。

俺は、沈みかけた死線から脱したのを実感し、安堵のため息を漏らしつつ、その戦いぶりを呆と眺めていた。

距離が離れているのと、JJが銃撃でドドブランゴの気を引き、ターゲットを取っているせいか、敵がこっちに気を回す様子はなかったが、しばらくその戦いぶりを見ているうち、俺は妙な違和感に襲われはじめた。

…あいつ、なんで、戦えてる…?

俺と分断され、1対1の戦いを余儀なくされたJJ。
普通に考えれば、圧倒的不利な強いられるはずだった。
だが、JJの奴はドドブランゴの攻撃を押し返し、今では互角のつばぜり合いにまで持ち込みつつある。

そして、JJが戦局を盛り返した理由もすぐに分かった。
手数が異様に多いのだ。

撃つ、撃つ。 敵がこちらを向く間も撃つ。 
相手がこちらを視認した時だけ射撃を止め、突進にノールックで一撃。
そして振り向きから最速で射撃体制に復帰し、撃つ、撃つ。

「(なんだ、あれ…。)」

攻撃の手は途切れない。
普通なら、リロードで射撃が止む一瞬があるものだが、JJは次から次へと絶える事なく、相手の隙に銃弾の雨を浴びせかける。

ボーンシューターの貧弱な火力を最初こそ苦にもしていなかったドドブランゴだが、俺の見間違いでなければ、今ではその暴風雨のような手数…「弾幕」を、明らかに嫌がっていた。

「グォォオオオォォッ!」

五月蠅い羽虫を押しつぶそうと、ドドブランゴが体ごと襲いかかるが、ナルガXシリーズを着込んでいるJJは、それを最小限の見切りで避け、すかさず綺麗な射撃体制に移行し、嵐のような銃撃を展開する。

「グォ…! オオオッ!!」

もう今では、弾幕が止むのはドドブランゴが攻撃したその一瞬のみで、それ以外の時間は、全てJJの射撃の時間へと変貌していた。

撃つ、撃つ、撃つ、避ける、撃つ、撃つ、撃つ、相手がたまらず怯んだ所に追撃で撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、復帰しても撃つ、攻撃を避けながら撃つ、着地に撃つ、撃つ、撃つ、振り向きに撃つ、撃つ、撃つ、あまりの手数に怯んだ所にさらに撃つ、撃つ、撃つ。

…なんだあれ。 あの、異様なまでに一方的な射撃。

「(…自動装填?  …いや、違う)」

JJの戦い方を子細に観察して、そして俺はようやく気づいた。

…これは、タクティカルリロードだ。

通常、ボウガンのリロードタイミングは「弾薬を撃ちきった時」と思われているが、実際はそうではない。
初心者のように、全弾撃ちきってからリロードするのでは、次のモンスターの隙を見つけるまで弾倉が空のまま行動する事になり、逆に非能率となる。
相手との距離が離れ過ぎる、障害物の陰になる、弾耐性が高い部位に面した時など、戦闘中の様々な状況では、お互いが手が出せず「お見合い」になる一瞬が存在する。
そのタイミングを、ガンナーの間では俗に「デッドポイント」と言うのだが、弾倉が空になる前に、そこでリロードする事…これがタクティカル(戦術的)リロードという。

剣士における「隙」とは、「攻撃できるかできないか」だが、ガンナーにおける「隙」とは「何発銃弾を打ち込めるか」であり、同じ隙でも大小があるのだ。
その「小さな隙」にリロードを行う事で、弾倉を空にする事なく継続的な射撃が可能となる。
事実、上級者のガンナーは、相手の隙に攻撃できないというヘマをする事は、まずもって無い。

この技術は、経験を詰めば、誰もが自然と修得していく技術であるものの、その限界には果てがない。
先も言ったように、デッドポイントは、戦闘中に唐突にやってくる微妙な隙。
それを把握し、生かすためには、膨大な戦闘経験を背景とした予測が必要となる。

リロードこそが、ヘヴィガンナーの醍醐味という、マニアックな言葉があるが…。
津波の如きドドブランゴの攻撃を避け続け、その波間を縫って愛銃に巧く呼吸をさせるJJの姿は、あまりにも流麗に過ぎた。
だが、その動きにしばらく見とれている間に、俺はまたもの違和感に気が付く。

「グォォッ! グルアァッ!」

それは、ドドブランゴの奴が、顔を押さえ、やたら頻繁に怯んでいるのだ。
さっきまで、ドドブランゴは全く怯んでいなかった。
そもそも、よほどの大ダメージを受けないと、こんな事にはならない。
一体何故…と思って注目すると、ドドブランゴの左目周辺が、鮮血で紅に染まっていたのだ。

「(…バカな…?)」

基本的に、高等な知能を持つ生物であるほど、顔や頭に攻撃される事を、極度に嫌う傾向が出てくる。
無論、頭はほぼ全てのモンスターにとっての弱点である事に疑いの余地はないが、全身を鋼の筋肉で覆ったドドブランゴにとって「顔」は唯一、他部位と比べて明瞭な弱点と呼べる場所だった。

だが、戦闘中に激しく動き回るモンスターの弱点を、しかも一点を狙撃する事は、どんなガンナーにとっても難しい。
なのに、JJの奴は、ドドブランゴの弱点「顔」の中の、更なる弱点「眼」を、恐るべき精度の射撃で捉えていたのだ。

もちろん全弾を眼に当てられる訳はないし、よしんば当たったとしても、相手はモンスター、当たった弾丸が致命的な一撃を与える訳でもない。
だが、じわじわと眼にダメージを受け続ける事で、ドドブランゴの本能は、失明の恐怖を感じ始めたのだ。

「(すげぇ…)」
「(俺に、あんな事が可能なのか…?)」

全身が、ぶるりと震えた。

…これが、「A GUNNER」が、言っていた事か。
だから、彼は「アルバレスト改」を使っていたのか。

俺は、既にJJの独壇場となっているその戦闘を眺めながら、ある計算に頭を巡らせていた。

例えば、ここに攻撃力150のボウガンがあったとする。
今目の前のJJのように、立ち回りを磨き、その射撃機会が倍となれば、攻撃力は150×2=300になるのではないか?

また、モンスターには「肉質」なるものが存在する。
ハンターの報告を元に、「ダメージの通り易さ」つまり弱点を、ギルドが分かりやすく数値化したものだ。
俺は弱点なぞ、たまたま視界に収めた時に狙えば良い、と思っていたが、もしそれを恣意的に狙ったとしたら…? 

【ボーンシューター】
攻撃力156×2(手数)×肉質75%(顔)=攻撃力234

【金華】
攻撃力336×1(手数)×肉質40%(胴)=攻撃力134

…待てよ。
本当にこんな事がありえるのかよ…!

だが、こんな机上の計算が現実に可能なのなら、「A GUNNER」が言っていたように、ガンナーにとっては、銃の強弱など無意味に帰するじゃないか。

…いや、俺が知らなかっただけで、ガンナーとは、元々そういう物だったのか…?
立ち回りを磨けば磨くほど、火力は際限なしに上がっていくのか…?

改めてJJの戦いぶりを見れば、JJは…。
リロードのタイミングを、弱点狙撃が可能なポイントの直前に多く置いていた。
それに、気のせいか、JJは射撃への移行速度がやたら早く、リロード速度も心なし早く感じられる。
もちろん、全く隙のない行動を取っているからであろうが、JJの戦い方は、先に述べた「机上の論理」を、あくまでも現実の物として体現せんとしているように見えた。

銃撃を止めたせいで、風雪にさらされたからだろう。
俺の手の中の「金華朧銀の対弩」が、凍り付くほどに冷たい。

対して目の前では、JJが一方的に射撃を続け、奴のボーンシューターは、獲物をしとめんとする大型肉食獣のように、歓喜に吼え猛っている。
バゥン、バゥンという、あのちゃちいマズルファイアが、なんと力強く、頼もしく聞こえる事か…。

「(スゲェ、あいつ…。)」

でも、なんで急に、こんなに戦えるようになったんだ?

それは、俺が最初に感じた違和感。
だが、それを改めて思い返した時、多分真実であろう回答が、心の中でチラリと顔を覗かせた。

”あいつは、ソロリストだと言ってたじゃあないか”

だから?

”タッグは苦手なんだよ。 そもそも誰か、行動予測を不可能にする異物が居たから、JJは弱点を狙えなかったんだろ?”

…異物? 異物って誰だよ。

”言わせんな恥ずかしい。 お前だよ。 お前が邪魔だったんだよ”

俺は、その心の声を黙殺した。

遂に、ドドブランゴは左目をかばい始めた。
これ以上、ダメージを受けたら、左目が見えなくなる、と思ったのだろう。

それを見て、俺の足に力が戻ってきた。
今だ。 あのドドブランゴを倒すなら、今しかねぇ。

”…止めとけよ。 JJに任せきりだったのに、今さら戦線復帰とか、ダサすぎんだろ”

「うるせぇ…。 じゃあやられたまま、地面に座ってろってか? そっちの方が、よほどみっともねぇだろうが…!」

誰に言うともなしに俺はそうつぶやくと、氷柱のように冷たくなった金華を抱え上げる。

「待ってろよ、JJ!」

1対2の方が、1対1よりも絶対に効率的に決まってる。
俺は心の中でそう思いながら、その戦火の輪に近寄ると、火炎弾をいきなりドドブランゴに撃ち込む。

「おい…!」

JJが何事か声を掛けてきたが、俺は聞こえなかったふりをする。
ドドブランゴは俺の銃撃に気づき、視線がこっちに向いた。 

どうだJJ、これでタゲが分散しただろ。 安全になっただろう?

「…ボゥオオオオォォォーーッ!!」

だが、ドドブランゴは攻撃をせず、またも手下を呼ぶための雄叫びをあげた。
…しまった! JJが顔を狙い続けていたのは、怯ませて咆哮を阻止するためでもあったのか…!

「ウキョアッ!」「ホウォッ!」「ゴアッ!」

俺たちを取り囲むように、再度召集に応じる手下たち。

「(ぐ…)」

一瞬の逡巡。
だが、この場を無難に乗り切るにはどうしたら良いか、長年積み上げてきた経験が、苦渋の結論を引き出した。

「JJ! 手下は俺に任せろ!」

俺はもう一度戦闘の外輪に戻ると、JJとドドブランゴの周囲をぐるりと旋回しつつ、ブランゴを駆除する作業に入った。
そして、一度は無惨に綻んだJJとドドブランゴの円舞曲が、多少いびつながらも形を取り戻したのを見て、俺は内心で安堵する。

後で思えば、この時俺は、JJの戦いぶりが元に戻った事よりも、俺が戦いに無事復帰できた格好になったのを、喜んでいただけだったのかもしれない。
だって、この時の俺は、ただ安堵しながらブランゴを片づけていただけだったから。

そして、俺が最後のブランゴへと銃口を向けた時、突如ドドブランゴが、その上にのし掛かるように、勢いよく転がってきた。
JJの銃撃の圧力に耐えられなくなって転倒したのだ。
巨大な質量の下敷きになったブランゴの体内から聞こえる、ボキボキという嫌な音。
転倒に巻き込まれたブランゴは、一瞬空を掻くような動作をして、そのまま息絶えた。

ドドブランゴは、死んだブランゴには目もくれず、俺たち二人を憎々しげに一瞥すると、そのまま足を引きずりながら、逃走に入った。

「おい、JJ!」
「分かっている、追うぞ!」

敵の積極的な逃走は、瀕死のサイン。
エリアチェンジし、休息を取るつもりだ。
この山に生息しているドドブランゴが複数だと分かっている以上、ここで一気に叩くべきなのは間違いない。

だが、モンスターはその巨体ゆえ、歩幅が非常に広く、ただの歩行でもその速度は意外ながらかなり早い。
俺とJJは納銃して追いかけ、崖の壁面を上って逃げようとする所で捕捉したが、ドドブランゴはその跳躍力を生かして俺たちの銃撃をかいくぐり、たちまちのうちに壁を登りきって山の裏側に姿を消した。

「ち…」
「あと一息だったんだが、逃げられたな」
「ああ…。 でもまぁ、あわてる事はねぇよ、JJ」

何故なら、ペイントボールの塗料が点々と崖壁面に残っている。
別エリアに移動して、この独特の香りを放つ、粘性の高い塗料を追跡すれば、ほどなくしてもう一度捕捉できるだろう。

再戦に備えてか、既にJJは視線を手元の愛銃に落とし、異常がないかをチェックしている。

「(…!)」

だがその時、俺は純正のボーンシューターには存在しない、黒い扇状の部品がJJの銃に固定されているのを発見した。
馬車の中でこいつの整備を見た時に、違和感を感じた部品。 それは、照準器だった。

普通、ギルドの純正ボウガンは、凸凹型の照星と照門、いわゆるスクウェアブレードで照準を付けるタイプと、スコープで照準を付けるタイプがある。
一般的なボウガンにおいては、ブレードかスコープ、どちらかしか付いていないのだが、ボーンシューターは(※アルバレスト改も)入門用のせいか、珍しい事にブレードとスコープの併用型になっている。

だが、JJのボーンシューターは、ギルド純正のスコープを取っ払い、「夜砲【黒風】」の高性能照準器をボルトオン(後付け)していたのだ。
普通、同じギルドの製品だからと言っても、別の武器の部品は組み込めない。
そもそも、砲身のサイズ…規格が根本的に違うのだ。
無理に乗せた所で、的が外れまくり、使い物にならないのは火を見るより明らかだ。
だがそれを可能にしているという事は、JJは工房の職人さながらの整備ができるという事であり、また自分でクリティカル距離での零点補正ができる、という事だった。

それだけではなく、JJの全身をくまなく観察すると、膝と肘に、固定用の補助金具があるのを見つけた。
何のためか、もはや問うまでもない。
射撃姿勢の固定のためのものだ。

通常、ボウガンは骨で固定して構えろと言われる。
筋肉によって構えると、微細な振動が銃身に伝わり、照準がブレるからだ。
だがJJの奴は、骨すらも信用していない。
こいつが信用している物は、鋼(はがね)だけだった。

あの正確な狙撃は、もちろん本人の技量にも寄るだろうが、この高性能照準器と、姿勢補助具がその底上げを果たしていたのだ。

”…そこまで、すんのかよ”

自らの追い求める戦闘スタイルのために、いかなる苦労も工夫も厭わない。
この姿勢に、俺は心底驚嘆した。
まだ10代のガキなのに、何でここまでできる?

あの特異な戦闘スタイルを目の当たりにしていなければ、これらの点に俺は気づけなかっただろうが、こんな些細な工夫とて、実戦に持ち込むには、幾度もの試行錯誤を経たはずだ。

もしかしたら師が居るのかもしれない。
だが、こんな事を疑いなく指導し実践する事自体、師も弟子も相当イカレてる。 …もちろん良い意味でだ。

”お前、スゲエな。 本当にスゲエよ。”

俺は心から、そう思った。

「…それにしても、さっきは随分、長い間ぼんやりしてたんだな」

だのに、JJは俺の打ち震える心中などお構いなく、そんな辛辣な一言を浴びせてきた。

…お前の銃撃に見とれてたんだ、などと言えるはずもない。

「骨が折れてないかどうか、確認してたんだよ。 待たせたのは悪かったと思ってる」

つい反射的に、そんな心ない言葉が口をついて出る。
そしてお互い、意味ありげな視線を交わす俺たちだったが、JJがほぅとため息をついて、言う。

「僕の戦う姿を見て、理解したか?」
「…? な、何がだ?」
「僕がソロリストだという事をさ。 二人の時と、戦いぶりが全然違ったろう?」

それは「俺がぼんやり見てた」と言う結論を引き出すための誘導尋問かと一瞬勘ぐったが、俺は素直に答えた。

「ああ、大したモンだったよ、お前、自分で言うだけの事はある」
「…それで、お前との、タッグ戦闘だが…。 さっきの、後半みたいな戦闘なら、僕も助かる」
「…。」

つまり、俺が雑魚掃除で、JJが大型モンスター戦に専念できるような環境の方が望ましい、ってか。

…これは…。 暗に「邪魔だ」と言われていると考えても、間違ってないんだろうな…。

”そうとも”

「うるせぇ…」
「何だと?」
「いや、何でもない、JJ。 今の一言は気にしないでくれ…。 確かに、二人で同じ事やるより、分業した方がいいよな」
「ああ、そうしてくれるとありがたい」

また、ここでもサポート役か…。
いつまで俺は、「いい人」を演じてなきゃならないんだ。

俺の心中でくすぶっていた黒い感情は、喉元まで出かかっていた。 だが、それを俺は飲み下す。
この感情は、あのドドブランゴを倒すための闘志に変えてやろう。 それくらいの心のコントロールはできるつもりだ。

「よし、じゃあ急いで相手を追うぞ、JJ! あのドドブランゴ、あと一息だったからな! ブランゴは任せとけよ!」
「何だ、急に元気になったな」

俺の空威張りを見て、肩をすくめるJJ。

とりあえず、俺たち二人はエリア中央へと戻る。
ここは各エリアの中継地点のため、ここをドドブランゴを通過する(していた)確率はかなり高い。
また、ここの片隅に予備の資材を置いていたので、補給を行う目的もあった。

だが、エリア中央に着いた時、俺たちの思惑とは反対の展開に、お互い顔をしかめざるを得なかった。

「…やられたな」
「…ああ」

確かに、ドドブランゴはここを通過していた。
点々と続くペイントボールの痕跡があったからだ。
だがそれは、広場の途中で忽然と消え失せていたのだ。

<続く>
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*Comment

NoTitle 

丼$魔さんjこんにちは。
ソロリストのくだりすごく面白かったです!
思わずウンウンと頷きながら読ませていただきました。
こういう形で小説に組み込むことができるなんてすごいな~。
  • posted by PECO 
  • URL 
  • 2012.01/11 13:39分 
  • [Edit]

NoTitle 

お久し振りです。
あまりコメントしませんが、毎回読ませてもらってます。
最後の所を読んで、ドドブランゴにはペイントを消す動作があったことを思い出したのですが自分は完全に忘れていたので少し感激(感動?)しましたw
PECOさんも言ってますがパーティーの時の軸合わせは予測と外れやすいのでソロになれてるとやりづらいというところを組み込んでるのもすごいと思いました。
  • posted by ごいち 
  • URL 
  • 2012.01/11 19:29分 
  • [Edit]

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プロフィール

丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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