女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#1(6)-3


テネス山の中腹、ちょうど谷間の盆地に、目的の村はあった。
山岳の中に、こんな盆地があるのは珍しい。 
雪解け水が、水や泥を永い時に渡って運び、山の谷間に上手い具合に堆積してできたものなのだろう。

今は初冬であるが、標高の高いこの村ではとっくに冬が到来しており、降りしきる雪は既に白く村々を覆い隠している。
寒さを凌ぐように盆地の中央に固まった家々、そして郊外をぐるりと巡る柵、中にポポが居るのとそうでないのがあるという事は、おそらくは農業と遊牧で生計を立てている村。

…その姿に、俺はどことなく「銃の英雄」のセレス村の事を連想する。 
まぁ、あんな感じの村、どこにでもあるのだろうが、それがとみに懐かしく感じるのは、俺が生まれ故郷を捨てているからなのだろうか。


馬車は既に途中で山を登れず置いてきたので、そこからは徒歩でここに来た。 
兄妹の案内で村に到着し、まるで死火山の火口のような、だが壮麗な盆地の村を見下ろしている時に、雪山草摘みなのか、雪焼けで顔真っ赤の老人に出会った。

カインとシェリーは老人に声を掛けると、老人は近くに居たのであろう、野草摘みの仲間達を呼んだ。

「おおい、皆、来てくれ! カインとシェリーが、無事にハンターを連れてきてくれたぞ! しかも、二人も!」
「おおー! やったな、カイン! シェリー! これで、我が村も安泰だ! 本当に良かった!」
「ありがたやありがたや…。 これで、無事にこの冬を越せそうじゃわい…。 本当にありがたい…」

「えへへー、このお兄ちゃんのおかげなんだよ! このお兄ちゃんが、猿とかバンバーンって、たおしてくれるって、言ってくれたの!」

そう言って、シェリーはJJにしがみつく。

「こら、シェリー、マルクさんの協力もあってこそだろ。 失礼な事言うんじゃない」

そう言って、カインが軽くシェリーの頭を叩き、申し訳なさそうにこちらを見る。

…普段なら「そりゃあんな只同然の金額で、ハンターを二人もゲットできれば嬉しいよな」とでも皮肉を言いたい所だが、そんな心の余裕はない。

俺は早く、この村の村長や事情を知っている人物から、クエストの全体像を聞き出したい、と焦っているのだ。
相手はドドブランゴで間違いないのか、本当に複数なのか、その、「複数」の方も本当にドドブランゴなのか…。
不安ばかりが、心の中で繰り返し響く。

なので、「あんたは強いのか?」「どこでどんなモンスターを狩ってきたのか?」という村人達の質問は相当うっとおしかった。
それを適当にいなしながら、俺たちは村長宅へと向かい、まずクエストの細かい情報を得ることにする。

だが…。
その不安は、最も望ましくない形で結実した。


「じゃあ、あんたらも、状況を正確には把握してないって事か?」
「す、すいません…。 ただ、ドドブランゴが複数、って事には間違いないと思います」
「最大で何匹なんだ!?」

村長宅、俺たちは大きい丸テーブルを挟んで村長と役員の面々と話をしていた。
そして野次馬で集まって来た面々の中で、今回のクエストに対する契約と、資材の援助を求める傍ら、相手の情報を聞き出そうとしたのだ。
一応、報奨金は5000zから、9000zにまで増え、それを契約として、書面で確約させた。 
資材も弾丸だけだったが、いくらか補充できた。

だが、村人達でまともにモンスターと交戦したものは殆どいないらしく、何を問うても満足いく返事はない。

「逃げるのに必死だったからなぁ…」
「裏のニコルさんが、大人2頭がノシノシ歩くのを見た、って言ってたど」
「山菜摘みのワギャ爺さんは、何体も見たって言ってたが、ボケ入ってるからなぁ…」

結局、村人の情報を総合しても、依頼人の少年・カインが言った情報と、さほど変わる事はなかった。
ドドブランゴの目撃例は、大抵の場合1体。
これは大抵の村人の目撃例なのだが、まれに2体、さらに時々複数が確認されていた。

「…。」

そして、このクエストを以前に請けた地方のハンターも、やはり居た。
それなりのランクだったらしいのだが、雪山に入ったまま今も下山してこないそうだ。 
誰も何も言わなかったが、もう死んでいるのは容易に想像できた。

多分、深追いして、隠れていたもう一体、あるいは複数に取り囲まれて挟撃された…そういう失敗パターンだろう。
クエスト達成には、全部の個体を探し出して、個別に討伐する必要がある。

そこまで考えて、思わずため息が出る。
こういう時こそ、ギルドの助力が欲しかった。
ドドブランゴの生態に合わせて、どこにどれだけの戦力があるのか、事前に調べておいてくれるから。

基本的に、ギルドが斡旋するドドブランゴのクエストとしては、下位を除けば、

(1)集会所G級「雪山の主、ドドブランゴ」(単体)
(2)集会所上位「雪獅子、二重の咆哮」(ニ体同時)
(3)集会所上位「集いし白獅子」(連続狩猟)
(4)村上位  「ドドドドブランゴ!」(連続狩猟)

の4つとなる。

単体はないという話だから、おそらくは「二重の咆哮」か、「集いし」「ドドドド」のどちらかに近い形態だろう。
成熟した雄同士の縄張り争いの中に乱入するか、やんちゃな暴れん坊の子供達をまとめて相手するか。

もちろん、それ以外の可能性も捨てきれないが、それこそ現地で調査しないと分からない。 
考えただけで萎えそうだが、いずれにしても要求されるのは、慎重な行動だ。

「お飲み物どうぞ」

俺が腕組みをして考え込んでいると、村一番の器量よし…の若奥様が、俺たち二人に、飲み物を注いでくれる。 
七色たんぽぽの根出し珈琲だ。

「…ありがとう」俺。
「ありがとうございます」JJ。

華油で、表面が虹色に輝く珈琲を一気にすすり込むと、ホッと体に暖かさが戻ってくる。

「つまらない物しかなくて、申し訳ございません…。 でも、私どもにできる事は何でもしますので、食べたい物などありましたら、遠慮なくお申し付け下さいね」

そう言って、その若奥様は微笑んでくれた。
年に似合わない、可愛らしい無邪気な笑顔。
俺たちが、モンスターを見事狩ってくれるものと、期待してるんだろうな…。

「それで、出発はいつ頃に?」
「今から出発する。 資材も補充させて頂いたし、もう十分だ」

それを聞いて、俺は口に含んでいだ珈琲を噴き出しそうになった。 

おいおい、到着してすぐ行くのかよ! 
ここまで登山道を強行軍で来たんだぞ、ちょっとくらい休ませろよ!

「ただ、出発する前に、聞きたい事がある」
「…? 何ですかな?」

俺はもっと休ませろジェスチャーを送っていたのだが、JJはそれに気づく様子は全くなく、背負っていたナップザックから、何か黒い物体を取り出した。

「…何ですか、これは?」

JJがナップザックから取り出したもの…。
それは、一対の真っ黒な手甲だった。
偉く刺々しい意匠をしており、装甲は分厚く、かなりの重量と防御力がありそうに思える。 

モンスターの素材を使ってるっぽいので、狩人装備だというのは分かるのだが、G級ハンターである俺ですら、そのデザインには記憶がない。
ガンナーじゃなく、剣士用のアームだろうか?
でも何で、そんな物をコイツが持っている?

「誰か、この鎧の素性を知る者は居ないか?」

そう言って、JJは村長と役員の前に、その手甲を見せつける。

「何か、凄そうな物ですな…。 もっと、よく見せて頂いても良いですか?」
「構わんが、触るのは許可しない」

何故、という驚きの表情が村長と役員に浮いたのを見て、JJは説明を付け足す。

「この鎧は…。 真の王者だけが身につけられる品物だ。 そうでない人間だと、触れただけで呪われて、たちまちその身を食い尽くされる、と聞いている」

ほぉー、というため息が周囲から漏れる。
野次馬集団が、我も我もと、その「呪われし王者の小手」を見にテーブルに寄ってくるが…。

「…どうじゃ、誰か、この小手が何なのか、知っている者はおらんか」

だが、その質問に答えられる者は居なかった。

「申し訳ございません…。 我らの間に、その小手の素性を知るものはおらんようです」

一瞬、失望の色を浮かべたJJだったが、次の瞬間には気を取り直すと、勢いよく席を立ち、小手をナップザックにしまった。

「構わない。 他の所でも散々聞いてきたが、分かる者は居なかった。 気にしないでくれ」
「お心遣い、痛みいります」
「こちらこそ、礼を言う。 資金と食料を頂いて、随分助かった」

おいおい、まだクエスト終わってないぞ。 今からだぞ。

「この件、俺に任せて欲しい。 俺の銃に叶う相手など、どこにも存在しない」

安心させるつもりなのか、JJがそう言いきると、周囲の皆が歓喜と期待でワッと沸く。
だが、皆の歓喜とは裏腹に、俺は不安で一杯だった。

…知らぬが仏とはまさにこの事。
JJの背中に担がれているものが、最弱のボウガン「ボーンシューター」である事に気づく村人は、幸か不幸か、ここには誰も居なかった。


----------------------------------------------


ここで、場面は「雲龍の宴」亭に戻る。

「ただいまでござる…」
「この俺様が、何も手中に収められず、天を仰ぎ見る事になろうとは…!」
「なんだかなぁにゃん」

「あ、お帰り~、結構早かったね! どうだった?」

給仕嬢リズ…シャルルが無茶振りした、謎の弓師…ビアンカの実力を試すためのクエスト「異常震域」。
補助という名目で、実際は偵察役のG級ハンター3人を同行させたのだが、さてビアンカの戦いぶりはどんな結果だったやらと、意気込んで結末を聞いてみた。

「なんというか、普通だったでござる」
「俺様の神眼にかかれば、誰であれ、その虚飾の仮面をはがされるのに…!」
「特に、これと言って目立った所はなかったにゃん」

「…は? 普通?」

そんな訳ねーじゃん。
だって、いかにもデキそうな雰囲気あったのに。

…コイツら、超使えねぇ。

「うぉ、その表情は何でござるか! 人を小馬鹿にするのは止めるでござる! 拙者達は人一倍ナイーヴなんでござるからな!」
「俺の魂が、貴様の悪意の波動で生まれたての小鳥のように震えている…!」
「それ感じ悪いよ、リズにゃん」

「あ、ご、ごめぇん♪(はぁと) てか、あの人本当に強い弓師だって聞いてるのよ? アンタ達、あの人が美人だったからって、張りきってサポートし過ぎたんじゃないの?」

「それはないでござる」
「俺様はそのような度し難い愚か者ではない」
「ちゃんと、付かず離れずで戦ってたよ? 僕らだってれっきとした、G級ハンターなんだから」

とりあえず、この3人には分かっていなくても、自分が聞けば何か分かる事があるかもしれないと思い、シャルルは事細かに詳細を聞き出し始めた。

…が、シャルルが聞いても、特にこれと言って妙な点はない。 

ティガレックスと戦ったビアンカの立ち回りは、それほど磨き抜かれたものではなさそうだったが、戦闘に慣れてくるうちに動きは鋭さを増し、ティガの突進の途中や回転尻尾攻撃の際にも、見事な一撃を喰らわせてティガを怯ませた、という。

「あの柔軟性っていうか、反応の良さは凄かったでござる」
「初見では、なかなかあそこまで、ティガの動きに慣れるものではない…。 経験者か、あるいは天才かのどちらかだ」
「でも、普通のG級ハンターの域は出てなかったね」

そう、結局の所、結論はそこに至る。
この3人も、ビアンカがパワーハンターボウⅡ…上位装備を携えていたものの、動く相手の細かい隙に当てきるエイミング能力から、実力はG級クラスだとすぐに見抜いていた。

…ただ、それ以上の要素を、どこにも見いだす事ができなかったのだ。

「ねぇ、もう一度聞くけど、『練気』はどうだったの? 凄くなかった?」

「普通」
「普通」
「普通」

「えぇ…」

肝心要の「練気」についても、特筆すべき点はなかった。
練気のタメ速度も、弓を構える仕草も、ごく普通だったらしい。
それに、ここまで喋れば、この3人もしっかりした実力者であり、発言にも十分な説得力がある事が分かる。
残念ながら、彼らの言う事はかなり正確だと認めざるを得ない。

「何よ、それじゃ無駄骨だったじゃない…」

「まぁ、リズ殿の期待しすぎだったという事でござるよ」
「全くもってその通りだ」
「そうだよ、大人しく僕らにパフェ奢ってにゃん」

「うぅ…」

そんな訳ないんだけどなぁ…。
黒龍騎士団で鍛えに鍛えた自分が、自分と同じ種族の匂いを、嗅ぎ間違えるとは思えないんだけど…。

「まぁ、拙者には、気になる部分が、あると言えばあるような気がしたがな」

「な、何それ! 教えて! 何なの!?」

「教えるのは構わないでござるが、決して笑ったり、馬鹿にしたりしない、という約束をしてほしいでござる」
「…まさか、お前も感じてたのか? アレを…。 大いなる時空を司る意思を…」
「時空? …あ、その違和感感じてたの、僕だけじゃなかったんだにゃん」

「いや、何でも良いから教えて、何なの!?」

…そのムサいハンター3人が、最後までその違和感を口にしなかったのは、別にもったいぶっていたからではない。

「いや、そんな大した事ではないのでござる。 つまり…」

単純に、それが彼らのハンター経験と照らしあわせても、前例のない事だからだった。

「え…。 何それ、どういう事?」

その答えは、シャルルにとっても、聞いた事がない要素だった。
復唱を求めると、偵察に同行したハンターは困った表情を浮かべつつ、もう一度言葉を選ぶ。

「まぁ、さっき言った通りでござるけど…。 なんというか、より正確に表現すれば…」


「彼女は一人、『別の時間の流れの中に居た』のでござる」


<続く>

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*Comment

 

面白いでござる。
続きを待ってにゃんにゃにゃにゃー。
失礼つかまつる
  • posted by ゆうた 
  • URL 
  • 2011.11/18 12:10分 
  • [Edit]

 

リズにゃん…w
何と言いますか、今作では濃いぃ男キャラばっか出てきますねw
  • posted by 634 
  • URL 
  • 2011.11/18 19:30分 
  • [Edit]

 

お久しぶりです。
jetです。(覚えててくれてるか心配)

いつも楽しく読ませてもらってます。

読んでて気になったのですが弓師の女の子ってもしかして
は○めの一○のあのキャラがモデルになってるんですかね?

違う時間~のところでふと思ったのですが?
  • posted by jet 
  • URL 
  • 2011.11/19 18:27分 
  • [Edit]

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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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