女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」#1(6)-2

雪山の寒村、テネス村へ向かう馬車の中、俺は依頼主から、クエストの情報を聞き出そうとしていた。
だが、この依頼主…幼い兄弟は、ハンターを連れ出すために、嘘の条件を付いていた。

「申し訳ありません…。 隠すつもりじゃなかったんですけど、相手の猿は、どうも2体以上かも、しれないんです…」

「(なんだと…?)」

喉元まで出掛かった言葉を、俺はすんでの所で飲み込んだ。 
何故なら、後ろで同じ事を聞いていたはずのJJは、なんら動じた様子がなかったからだ。 

「それはマジか? そのデケェ猿が、何体も居るってのか?」

「僕が見た時は、1体だけで行動してたんですけど、他の人たちの中には、複数で行動してるのを見た、って…」

「…そ、そうか、分かった…。」



正直、なんだテメェこのバカヤロウ、ガキのくせに騙してんじゃねーぞ、とか叫びたかったが、それはできなかった。
年下…JJの前で、みっともなく慌てふためく事なんてできない。
なので、俺はいかめしく腕組みしながら、ワザと独り言を呟いた。

「やべぇな…。 ドドブランゴが2頭以上…? それじゃ、複数で襲いかかられたら、マジでヤバいじゃねぇか…」

相手が上位でも、乱戦になれば、危険度はG級単体よりも跳ね上がる。
…これは、現地でクエストを確定させるための、情報収集が絶対必要になる。

というか、この独り言は、さっきの話がJJには聞こえてなかったのかもしれないと思っての行動なのだが、肝心のJJからは何のリアクションもなかった。

「(畜生…)」

お前、本当に強いハンター?
もしかして、俺の見立てが間違ってただけで、只の馬鹿?
いくら強いハンターだとしても、もしG級同時複数とかになったら、死ぬしかねーぞ。
ってか、ボーンシューターとかでどうすんだよ。

しかし、心の中で毒づいた所で、もはやどうしようもない。
俺は、にが虫を噛み潰したような顔のまま、馬車に揺られ続けていた。


----------------------------------------------


ここで、場面は少し前の「雲龍の宴」亭に戻る。

新規でハンター登録をしようとしていた「ビアンカ」なる女性弓師の素性が怪しいとにらんだリズ…シャルルは、その実力を確かめるべく、武器を没収する代わりに、試験を受ける事を言い渡した。

「で、何なん、その試験て」
「それはですねぇ…」
「うん」

「私と狩りに行くことです!」

…と言いたかったが、それは無理だった。
この目で実力を見れれば一目瞭然なのだが、受付嬢と一緒にクエストとかありえない。 
店外デートという奥の手も、相手が女性だから使えないし。

本来、今も尖塔で責め苦を負わされているエイグリルの事を思えば、速攻でこの人物の素性を明かしたい。
だが、急いては事を仕損じる。
周囲に怪しまれるのは禁忌である今、多少時間はかかろうと、ごく自然に振る舞い続けるのがベストだ、と信じているのだ。

ガンナー向けで、G級かどうかの実力を推し量れるモンスターと言えば…


「じゃあアカムで」
「ハードル高ッ! あんた、それ、マジで言うてんの!?」
「マジですけど…ダメ?」
「あんた、アホか!? それ、ルーキーにやらせる相手ちゃうやろ!?」
「…そういえばそうですね」
「せやろ」

覇竜アカムトルムを知っている事自体、既にルーキーじゃない事の証明なのだが、不幸かそれとも幸いか、この二人とも、この時点ではお互いその事実に気づかずスルーしていた。

「んじゃ、思いっきりハードルを下げて『異常震域』でお願いします。 雪山のティガ2頭同時」
「…どこが下がっとんねん、姉ちゃん」
「下がってますよー。 上位クエだし、集会所ですから、一人じゃなくて、4人パーティで行けますよ」
「だ か ら、ウチは今ハンター登録した所やで!? 一人で行け言うてるやん、それ!」
「いえいえ~、私が責任持ってお仲間を斡旋しちゃいますよ(はぁと)」
「はぁ?」

ビアンカがポカーンとしている間に、シャルルはそこらへんのG級っぽさそうなハンターに声を掛ける。
入店した時から、シャルルに目を付けているハンターは結構居たのだが、貴族をボコってからリピーターが異様に増えたので、そいつら相手に可愛く頼めば一発だった。

こうして、急拵えの4人パーティが完成した。
女性はビアンカ一人、男性は彼女居なさそうな、ムサい男が3人のパーティ。

「…このクエスト、リタイヤできひんの」
「それはハンター登録もリタイヤと同義ですから」
「クエスト始まる前から、さぶいぼ立ってんねんけど」
「きっと武者震いですよ」
「あんた鬼か」
「ときどき言われます」

実際、幼い頃のクリス王子からはそう言われてた。
えっへん(ぉ

半ば渋々ながらも、ビアンカは指示に従う。
ハンターズギルドが管轄する、道具屋の場所を聞き出すと、そこにホットドリンクや回復薬を一人調達に出かけた。

それを確認した所で、シャルルは3人の男性ハンターを呼び集める。

「ちょっとちょっと」
「なんですか、リズ姉さん」
「あの、みんなにお願いがあるんだけど」

シャルルは、残った3人のムサいハンター達に、極秘で指示を出す。
…これが、無茶振りの本当の目的。

「実は、あの人ね、結構強い弓師らしいの」
「ほぅ」
「ろくすっぽタメもせずにピュンピュン打つ輩ではないと」
「いや、そんな初歩的なレベルじゃなくて、もっともーっとハイレベルな…。 十分に『練気』ができるレベル。 多分」
「ほほー」

そう言うと、ムサいG級3人の顔が「そいつぁ面白い」という表情になる。

ハンターが扱う武器の中でも、弓はとりわけ「火力が低い」と認識されている。
戦場においては、ボウガンが弓を駆逐し、その姿を消滅に至らしめたのは記憶に新しい。

だが、1対1、しかもモンスターをの戦闘を目的とする「狩場」では、その限りではない。
基本的に、「弓」の火力は練気の量と、射撃の精度の合力になる。 
習熟すればするほど、対モンスターにおける弓の火力は無尽蔵に上がり、最終的にはあらゆる武器の頂点に立つ、ともまことしやかに言われている。
それが、今なお狩人の手から、原初の狩猟道具…弓が淘汰されない理由だった。

だが、そこまでの域に至る者は極まれであり、ベテランのG級弓師であっても、他の武器と遜色ない火力を引き出すのがせいぜいだ。

「面白い。 あの姉ちゃんがどれほどの物か、拙者達に見極めろ、という訳でござるな、ニンニン」
「フ…、『神の碧眼、悪魔の紅眼』の異名を持つ俺様にかかれば、どんな奴だろうと見事実力を見抜いてみせよう!」
「じゃあ僕たちはとりあえず、適当に様子を見ていれば良い、って訳かにゃん?」

「わー、貴方達に、彼女居ない理由が分かるような気がするわー(小声)」

「なんですと?」
「なんでも。 それよりも、彼女の実力見極めお願いね。 それと、彼女良いところの人っぽいから、変な事考えないでね?」
「うお、マジですか!? …意外と好みだったんですが濃…。 惜しい濃…。 じゃ、クエストクリアの暁には、リズ殿の、ビッグスノーマウンテンパフェの『あーん』の約束、お忘れなきように」
「この俺様もだ」
「僕もにゃん」
「分かってるわよー。 じゃあ、よろしくね♪」
「あらほらさっさー!」

ビアンカの後を追いかけて、クエスト「異常震域」に出掛けた3人のムサいハンターの背中を見て、シャルルはふ、と笑った。

…受付嬢、いつ辞めようかな。


<続く>
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*Comment

 

シャルルちゃんはいつからネタキャラに・・・笑
  • posted by 秋 
  • URL 
  • 2011.11/17 17:53分 
  • [Edit]

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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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