女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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GUNNER'S HEAVEN(14)-1

「最後に、シャルルの様子はどうだ?」

ノーブル城の王室、玉座でワインを飲んでいるイルモードは、彼直属の偵察兵から、ユリウス、エイグリル、砂塵の嵐など、警戒対象の報告を受けていた。 直近のシャルルの動向も、報告事項の一つである。

「特に変わった様子はございません」
「もっと些細な変化でもよい。 シャルルは普段、何をしている?」
「普段、ですか? シャルル将軍は、最近、日がな一日を殆ど訓練と警備に充ててらっしゃいます」
「訓練? 兵をか」
「いえ、ご自身のでございます」
「警備は城内か?」
「え? いえ、シャルル将軍は、今は城内は全くされずに、城外の警備ばかりでございます」
「…そうか」

イルモードは、偵察兵の報告から、シャルルの思惑を探る。
彼女が訓練と警備を繰り返しているのは、それとなしに「城の外」に居られるように、であろう。

あの「笹神龍心」あてへの手紙…。 エイグリルとシャルルが出した手紙は、ほぼ間違いなく救援を依頼するものに違いない。
もし、あの手紙がエイグリルが正気を失った結果、出された物であるのなら、シャルルの行動に、こんな急な変化は起こり得ない。
また、彼女が以前、城内警備を担当していたのは、エイグリルの安否を確認するためであったが、今はそれをやっていないという…。
城内の兵士たちのローテーションすら確認しようとしないのは、明らかに城の「内」よりも「外」に用事があるからだ。

また、あの手紙が救援を依頼するものであった場合、集合する時間も場所も書いていなかったのであろう。
もしも手紙に集合場所が書いてあるなら、日常をいつもどおり過ごして、いざ指定の時間に城を抜け出すか、連絡の使者を使わすのが最上の手段。

シキ国からバルベキアまでは、陸路で10日、海路で5日。 
最短は海路の往復、だが手紙を到着してその日のうちに出発があったとしても10日はかかる。

エイグリルとシャルルが手紙を出してから、ちょうど10日が経つ。 
笹神龍心が海路で来ていたら、「ガンナー狩り」をさせている、国境警備隊やオネスト群県周辺の兵たちから、そろそろそれらしき人物が報告に上がる頃だが、まだそのような報告はない。
つまり、笹神龍心なる人物は、まだバルベキアには到着していないはず。

「シャルルが、訓練を始めたのはいつだ」
「はっきりとは分かりませんが、およそ5日前からだと記憶しております」
「…?」

その報告を聞いて、イルモードは片眉を動かす。
5日前は早すぎる。 
それは、手紙がシキ国に付いた頃だ。 
陸路であれ海路であれ、それ以上の短縮はかなり難しい。
シキ国ではなく、もっと近辺の国に笹神が居るのでない限りは、今日あたりから行動を始めるのが最も自然なはずだ。

「5日前からというのは、本当にか?」
「1日ほどの誤差はあるかもですが、おそらくその頃です」

シャルルの行動に些細な違和感はあったが、まだ彼女がこの城に居て、「砂塵の嵐」に動きがなく、衛兵たちから報告がないのであれば、彼女の試みはまだ結実していないはず。

「(…後で、カルネラの奴に、進捗状況を聞いておかねばな)」

シャルルを罠に陥れる件については、カルネラ大臣に一任している。 
身動きしない獲物を罠に掛けるのは難しいものだが、今、獲物は巣を出ようとしている。
こちらも動きを起こすべきであろう。

「…ふん、それ以外に怪しい所は?」
「申し訳ございませんが、特にはございません」

そこまで報告してから、偵察兵の青年は慌てて思い出したように付け加える。

「…あ、いえ、ございます。 直接、シャルル将軍の事ではないのですが、昨日、クリス王子が、シャルル将軍に…。 その…。」
「どうした、報告は的確簡潔に述べろ」
「…。 私の印象で申し訳ございませんが、王子が将軍に…。 求婚してらっしゃるように見えました」

その報告を聞くと、イルモードは目を剥いて偵察兵を見る。

「こんな時に女か? のん気な物だな、あの王子も」

正式に王権を継いでしまえば、正室を揃えるなどの題目の元、女などいくらでも調達できる。
現状、政権が不安定なのは、王子も理解しているはず。
今は色気に走る時ではない事くらい、分かっていようはずだが。

「そう…でございますよね、私も正直、王子の印象の違いに戸惑いました」

偵察兵にそう言われて、イルモードはふと気が付く。
多分、王子は「鎧」に精神までをも侵食されつつあるのだろう。
自らの欲望を抑えようとしても、もはや自分の意志だけではどうにもならない段階に差し掛かりつつあるのかもしれない。

「それと、もう一つ気になる事としては、クリス王子どのが、宰相様が『国を乗っ取ろうとしている』と仰られたのですが…」

そう言って、兵はクリス王子の暴言を、一言一句違わずにイルモードに伝える。
だが、イルモードはそれを聞くと、呵々大笑した。

「ははは、それも年若い王子にはそう見えるかもしれんな! だが何、それは単なる誤解よ。私は王子が正式に玉座を引き継ぐまで、不届き者がこの椅子に座らぬよう、番をしているだけの事よ!」
「そ、そうでございますよね」
「無論。 私が仮に、その不届き者だとしよう。だが、クリス王子と戦って、勝てると思うか? 王子が本気を出せば、私を挽き肉にする事など造作もないのだ」
「ふ、不愉快な報告を致しまして、申し訳ございません」
「良い良い、報告はそなたの言うように、正確かつ率直であればあるほど良い。 …また頼むぞ」
「御意に」


偵察兵が去った部屋の中で、イルモードは、先ほどの報告を元に、再び思索を巡らせ始めた。

シャルルが既に行動を起こしているのは多少気になる所ではあったが、既に数日を無為に過ごしている所からして、綿密に練られた作戦とは思いがたい。
正気であるはずのエイグリルは、自分達の周囲に罠が張り巡らされているのも先刻承知なのだろう。
必要最小限の情報だけを渡し、後は相手任せの臨機応変な作戦である可能性は高い。

「(…しかし)」

クリス王子が、こちらの思惑…。
王権奪取に気づいているとは、正直想定外だった。
というより、王子をあまり舐め過ぎていたか。

だが、王権奪取に気づいていながら、身動きを起こさないと言うことは、クリス王子自身も、我々の利用価値を認めているのだろう。
自分の国を作るためには、手を噛まれる危険があっても、我々を使わざるを得ない、と理解しているのだ。

「ふふ…」

イルモードの口の端に、僅かに笑みが浮かぶ。

クリス王子がユリウス親派の大臣達を皆殺しにした時、同時にイルモードの政敵も一掃された。
好機到来と直感し、動くべきは今、と強引に剣を抜いた。

状況に対し唯一顔色を変えなかったエイグリル将軍を、首謀者と目して拘束し、動揺している全員を一喝して、式典を継続し、嫡男であるクリス王子こそが正しい王権継承者である、と宣言した。

クリス王子が目覚めた時、そこには、仮にではあるが、彼の望む、彼の王国があった。

王としての心構え、帝王学や経済学をいくら先王から学んでいたとしても、このような派閥に対する工作は、経験だけがなせるもの。 
それは温室育ちのお坊っちゃんである、クリス王子には到底不可能なこと。
それに、ハンターズギルドの仕事など、彼には何一つ分かるまい。 
鎧の力を鎮める「古龍の血」は、ギルドマスターの地位にある彼だけが調達可能なのだ。
一時的な感情で鎧の力を使っても、使えば鎧に我が身を食らわれ、差し違えになるのは分かっていよう。

クリス王子にも、自分が首輪を付けられた猟犬だという自覚は、まだあるらしい。
それに…。
こちらには、犬を躾る「鞭」があるのだ。

イルモードは、王室の本棚へと向かうと、本を抜き取り、手を突っ込んでなにやら仕掛けを作動させる。
すると、本棚が自動で反転して、そこから、白銀の鎧武者が姿を表した。

…いや、頭の部分だけが違う。
猛く狂々しい角が生えた、異形の兜。

それは、バルベキア三国王が代々継承する「黒龍の兜」…。
地下神殿にあるそれを、全く同じ形のレプリカを作らせて、すり替えた「本物」だ。

この「黒龍の鎧」は、「黒龍の神官」であるイェルザレム王族が装着すると、体が鎧と一体化し、絶大な力と引き替えに、決して脱げなくなるという。

しかし、装着者が王族でなくても、それなりの力を引き出す事ができる事を、イルモードは知っていた。
しかも、その場合は、条件さえ満たせば脱着可能なのだ。

一度だけ試してみたが、頭部を襲う激痛の後、筋力、瞬発力ともに大幅に増大し、兜から伸びた「棘」が、異常な防御力を発揮した。
あの時の自分は、世界最強の存在だと実感する事ができた。

しかし、時間が経つほどに、狂おしい欲望と飢餓感に襲われ、その欲求を抑える事ができず、近くにいた下女たちを、瞬く間に肉塊に変えてしまった。
その血をすすり浴びた事で、鎧はその欲望を鎮め、首に絡み付いていた棘が、ようやく引っ込んで、兜を外す事ができたのだ。

クリス王子は、自分が「鎧の事は何も知らない」と思っているようだが、本当はどうやら。
仮にクリス王子に襲われ、全員が皆殺しになっても、自分はこの兜があれば、なんとか持ちこたえられるはず。

「ふふ…。 いかに武名に優れようと、結局最後に物を言うのは、策と知謀よ…。 待ち遠しいぞ、この手に覇権を掴む時が」

その漆黒に光る兜を見ながら、イルモードは呟いた。


ここで、時刻は半日ほど進み、場面は変わる。
シャルルが、クリス王子からの求婚を受けた翌日の夕方、ノーブル城周辺。

シャルルは、城周辺を警備しながら、兵の様子を見ていた。
時刻は既に、太陽が山の稜線に差し掛かろうという所で、後1、2時間ほどで夜が来る。

先日の合戦以降、ヴェルド軍に動きはなかったが、奇襲に備えて、夜警は普段よりも入念に行われ、今は城の周辺にあるかがり火の台に、薪をくべる準備を行っている。

その様子を見ながら、シャルルは、警備兵たちに近寄って声を掛けた。
いつものように、できるだけ自然に。

「ごくろうさま、諸君! 特に異変はないか!?」
「お疲れ様です、シャルル将軍!」
「お疲れさまです! 特に問題ないでーす!」

そこに、警備兵長のヴォーデンがシャルルの近くに寄ってきて、丁寧に一礼をすると、若い青年によく似合う、屈託のない笑顔で報告をしてきた。

「シャルル将軍、わざわざのお気遣い、ありがとうございます! 現在、夜警の準備をしている所です!」
「そうか、夜を徹しての作業は辛いと思うが、頑張ってくれ」
「ええ、宰相からも、ヴェルドやリーヴェルの奇襲があるかもしれないとの話を聞いておりますので、皆その心構えでおります!」

そう言うと、ヴォーデンは小さく肩をすくめ、警備兵の皆を見やって付け足す。

「…まぁ、天覆う雪神が日毎に近づいてきてますんで、夜が相当冷えるのだけが困り物なのですが」
「うむ、今年の冬は寒い、と占いに出ているらしいからな」
「おかげで、夜は皆、警備だってのに、隙を見ては篝火の周りで暖を取る始末ですよ…。 まぁ、寒い代わりに、ウォーミル麦の出来が良くなれば良いですけどね」

そう言ってぼやくヴォーデンに対し、苦笑しながらもシャルルは上司らしく指導を行う。

「ヴォーデン、兵士たちには、ちゃんと警備するよう伝えておいてくれ…。 その代わり、ヴェルドが完全に撤退した事が確認できたなら、皆にビールでも振る舞おう」
「おっ、本当ですか!? いやぁ、おねだりしたつもりはなかったのですが、ありがとうございます、シャルル将軍! 了解いたしました! 警備の方、頑張ります!」
「頑張ってくれよ、ヴォーデン」

こうして、シャルルは、警備兵に声を掛けつつ、自らも怪しい人物が居ないかどうかを、城をゆっくり一周しながら確認していった。

というのも、昨日、エミネムから聞かされた、笹神の手紙の内容…。
イルモードに露見しないようにと、既にエミネムが処分してしまったが、その手紙は、シャルルにとって、まさに希望そのものだった。

「手紙の方、確かに受け取りました。 私は、近く供を連れて、内密にエイグリル殿のいらっしゃる城を訪れようと思います。
 ただし、私が何者であるかを、決してその時まで悟られよう、細心の注意を払うつもりですので、見た目違和感があるかもしれません。
 ですが、私が『弓の英雄』である証明として、無事出会えた暁には、貴方から頂いた手紙をお見せしたいと考えております。  笹神龍心」

自分たちの手紙は、きちんと「弓皇翁」に届いていた。
それが分かっただけでも、随分と心が軽くなった。
あと数日…。 
遅くとも、二週間くらいで、こちらに来てくれたら嬉しい。

エイグリルの手紙は、相手にのみ伝わる暗号で書いてあったため、シャルルにも内容が掴めなかったのだが、救援の手紙である事はきちんと伝わっているらしいし、直接城に来てくれるという。

しかも、目印として、手紙も持ってきてくれると…。
エイグリルの手紙を筆耕したのは自分だ。
他人が偽造しようとも、自分の字は簡単に判別が付く。
これならば、笹神がどんな人物であっても、間違う事はないはずだ。

後は、笹神龍心と接触するために、訓練や警備と称して、城周辺を周回していれば、いずれ邂逅する事となろう。
救援の連絡が来た事を、イルモードが嗅ぎつける前に、なんとしても笹神と逢うのだ…!

彼女は、周囲の気配に最大限に気を配りながら、警備を続ける。
どんな些細な違和感でも見逃さないよう、「練気」によって、五感を最大限まで鋭く研ぎ、小動物の呼吸すらも感知していた。

あと1時間ほどで日も沈む。
そうなれば、相手としてもこちらを探す事は難しいはず…と思っていた矢先、彼女は異臭に気がついた。

城の裏手、奥の森の中から漂う、甘く生臭い匂い。

城内ではおよそ嗅ぐ事のない、あまりにも懐かしいその香りは、ずっと風呂に入らずに汚れきった、浮浪者特有の体臭。
誰かが近くに居る。

「(まさか、笹神龍心…。 あるいは、その使者か?)」

しかし、笹神龍心に手紙を出してから、まだちょうど10日しか経たない。 海路を通れば、10日で到着の可能性はあるが、それは準備に全くの無駄のない、最速の場合だ。

「おい、誰か…。 誰か、居るのか?」

匂いは、城裏手の、森の奥から薫ってくる。
幼い日を共に過ごしていた彼女の仲間たちは、皆この香りだった。
だが、この甘臭い匂いは、おそらくどこか体を病んでいる。 
そしてその仲間たちは、長くせずして亡くなる事が殆どだった。

…「笹神龍心」とは、こんな半病人なのか?
それとも、何らかの間違いで城に入り込んできた、行き倒れの浮浪者か?

「…おい、誰か…。 …誰か居るのか! …居るなら、姿を見せろ!」

他の兵に聞かれぬように、静かに声を掛ける。

…笹神龍心は…。 本当に、もう来ているのか?

彼女がそう思った瞬間、草むらから、小柄な人影が、ぬっと無造作に立ち上がった。

「あなたは…誰?」

しかし、その人物は、シャルルの質問には答えず、懐から手紙らしき物を差し出し、こちらへ近寄ってきた。

その風体を見て、一瞬シャルルは怯む。
確かに「見た目違和感はある」と手紙に断り書きはあったが、シャルルが見る限り、この人物は本物の浮浪者だった。

髪、髭は汚れたままの延び放題で、浅黒く痩せこけた顔の初老の男性。
川に身を清めに行くこともないのか、股間からは尿臭すら漂う上に、全身の垢が塊になって、白いかさぶたのようにあちこちから剥がれようとしている。

これが偽装だとしたら、あまりにも完璧だろう。
どう見ても、そこらへんの浮浪者をひっぱって来たとしか思えない。
だが、その人物が渡した手紙には、「焼鉄の黒翼」を示す、鴉の翼をデザインした刻印がある。
慌てて手紙を受け取り、中身を見れば、それは間違いなく自分が書いた手紙だった。

「(…間違いない、この人は笹神龍心ゆかりの人物だ!)」

最速の10日で、しかも詳しい情報もなしに、この城にたどり着くとは…。
使者に浮浪者を装わせてとはいえ、シャルルは笹神龍心という人物の、周到かつ迅速な行動に、内心舌を巻いた。
流石に、エイグリル将軍の既知だけある、と痛感した。

「あ、ありがとうございます…! 貴方が、笹神さま…。あるいは、使者の方なのでございますでしょうか?」

だが、その男は、返事をしない。
にへら、と笑った口は、食べ物の滓で恐ろしく汚れており、黄ばんだ乱喰歯が2~3本程度しかない。

「…っちゃ  …しぁ」

何かを言っているようだが、歯がない上に、吃音が酷くて全く聞き取れない。
薄笑いを浮かべたまま、その男は、もう一つの手紙を差し出す。
慌てて中身を開くと、そこには恐るべき内容が記載されていた。

「親愛なる同志よ、今から3日後の夜、満月の輪が火竜座の尾の星に差し掛かる時刻、救出作戦を決行します。
 ノーブル城、東門前にて『砂塵の嵐』及び『ヴェルド軍』の旧友の面々とともに突撃し、クリストフ王、イルモード宰相を抹殺する予定です。
その時、貴方には、我々を入城させる手引きをお願いしたい。 笹神龍心」

…これは、笹神龍心が持ってきた、救出計画の手引き!

遂に来た助けの手に、逸る気持ちを抑えつつ、読みにくい字で書かれた文面を何度も読み返す。
だがそのうち、シャルルは妙な違和感に捕らわれ始めた。

「(クリストフ王、イルモード宰相を抹殺します…?)」

何か、おかしい。
彼女の本能が、危険を予感した。
何がおかしいのかを必死で考え、やがて彼女は結論に達した。

…この手紙の主は、あまりにも内情を知りすぎている。

外部からは、先王死去の後、クリス王子が次世代の国王となった事は知れている。
だが、その際にあったトラブル…。
長男であるクリス王子に継承されるはずだった王権は、ユリウス王子に譲られた。 
だが、その場で突発的に発生したクーデターによって、クリス王子に王権が戻ったのだ。

これは外から見れば、順当に第一王子が王権を継いだ、としか見えないはず。
そのいきさつを、エイグリル将軍の暗号文だけで、果たしてこれほど詳細に理解できるのか?
仮に、内密に入国して情報を仕入れたにせよ、あまりに早すぎないか?

それに、砂塵の嵐はともかく、ヴェルド軍にまで救出を頼むとなれば、これは状況によっては、後日、戦争の火種になりかねない…。

「うぅ~! あぇ~、うぁ~!」

突如、その浮浪者が、シャルルの腕を掴むと、何かを寄越せ、というように、空いた左手を差し出して来る。

「あぁ~! あぅ~あ~!」

その表情には、なんとなく覚えがある。
長く孤児だった彼女には、その浮浪者の歪んだ表情が意味する所が、なんとなく…。 
いや、ほぼ確実に理解できていた。

…彼は、酒か金を要求していた。
この人物は、笹神龍心ゆかりの人物などでは、ない!

「(…これは、罠だ!)」

だが、彼女がこの状況を罠と悟ると同時に、見計らったように周囲から十字槍を構えた警備兵がバラバラと出てきた。

「そこで何をしているッ!」

<続く>
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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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