女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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GUNNER'S HEAVEN(9)

先王崩御から2週間、クーデターにてバルベキア三国を掌握したイルモード副将軍は、この国の宰相となっていた。

ただ、この国の王の証であり、外交における対外的圧力として不可欠な要素である「黒龍の鎧」は、クーデターで逃亡した第二王子のユリウスが、その一部を持っている。

ユリウスを逃がした、政敵・エイグリル将軍を国家反逆罪で捕らえ、第二王子の行き先を聞き出そうとして拷問にかけるも、まだエイグリルは平然としているという。

その状況報告に、イルモードは違和感を感じた。
エイグリルには、一日やっと生き延びられるだけの食事しか与えていないのに、衰弱の仕方が遅すぎる。

数多くの人間を責め殺してきた経験のあるイルモードにとっては、それは誰か外部から、栄養のある物を持ってきている人間が居るとしか考えられなかった。

「誰か、貴様等以外で、尖塔に来る人間を見かけた事はないか?」
「いえ、誰も…。 特に怪しい人間は見かけておりませんが」
「身内でも誰でも良い。 純粋に、貴様等以外の誰か、ではどうだ?」
「あ、それなら…」
「誰だ。 心当たりがあるのか」

「シャルル将軍です」

「…シャルル、がか」
「はっ! 私の責めが甘いと、将軍ご自身からご指導頂きました!」

イルモードはその報告を聞いて小さく呻くと、気を改め、玉座に座り直す。

「それで、貴様はその後どうした」
「はっ! シャルル将軍より、ボサッとするな、と哨戒を命じられました!」

「…誰か、シャルルから、エイグリルの拷問について、その後の成果を聞き出せた者は居るか?」

イルモードは、その場の大臣たちを見回し聞いてみたが、大臣も兵たちも、お互い顔を見合わせ、首を小さく振るばかりだった。

…この愚鈍どもが。

イルモードは心中で部下たちを罵倒し、だが口に出すのも面倒なのか、表情も変えず考え込む。

エイグリル将軍を死刑にまで持っていけなかったのは、ユリウスを逃がされたのが大きい。
今のクリス王子に、単身で叶う人間など誰も存在しないが、万一、ユリウスが「黒龍の鎧」の力を使えるのなら、戦力は互角となる。

それにエイグリルと、彼を慕う黒龍騎士団の面々…。
シャルル、ウィル、カッツェが加われば、クーデターにて掌握したこの政権が、再度取り返されないとも限らない。

先王が、何故後継者にユリウスを選んだのかは不明だが、嫡男が王権を継承するという、国家の道理はこちらにある。

だからこそ、事態を完全に掌握できていない黒龍騎士団の三騎士たちも、表だっては反逆していない。
しかし、安易にエイグリルを殺してしまい、黒龍騎士団の面々が彼の死に殉じ、命と引き替えにクリストフ王子ごと自分たちを征伐しよう、と思い至られても困る。

エイグリルには、このまま人質として、無力な老人になるまで尖塔に居てもらうのがベスト。
だが、彼を救出しようとする気運が高まるのは困る。
何せエイグリルには、騎士団の連中や、私設軍隊「砂塵の嵐」の存在がある。 
彼がまだ自由に使える軍事力を有している今、用心を重ね過ぎるという事はない。

「…シャルルの奴は、エイグリルと通じている、と疑ってかかった方が良さそうだな」
「そ、そうですな」
「…無念だ。 全く残念だ」

そして、イルモードは、中空を見上げながら言った。

「…あの美貌が、もう見られないとはな」

そのイルモードの言葉を聞いて、腹心たちは心胆が寒くなるような感覚を覚えた。
イルモードは、エイグリル将軍の救出網を根絶するために、この国の忠臣であった三騎士を、一人一人始末していく気だ。
ウィルとカッツェの不在時に、シャルルを何かの罪状…。
おそらくはエイグリルと同じ、国家反逆罪をでっちあげて、即座に処刑するつもりなのだろう、という予感が全員に走る。

「…多少、攻め手を厳しくするか。 エイグリルの奴、僭王擁立を画策しておきながら、まだ反省が足りんと見える」


ここで場面は代わり、バルベキアの西部に位置するセクメーア砂漠へと移る。

シュゲール平原におけるヴェルド軍との激突から5日後、カッツェとウィルは、深夜の砂漠において、炎妃龍「ナナ=テスカトリ」と戦っていた。

「ウィル、攻撃を捌くのは任せるぜ! 俺は後ろから狙う!」
「任せられた」

輝く月の光を浴びて、巨大な群青の体躯が躍動する。
それを捌き、受けるのは槍を携えた二人の美丈夫。

長髪を後ろでまとめた金髪、その容貌は少し甘く、やんちゃ坊主のような印象のランサーが、シュバルツェ・カッツェ。
青み掛かった銀髪に涼やかな声、凛とした空気をまとい、ナナ=テスカトリの攻撃を華麗に捌くランサーが、ウィルフィー・ドルカーン。

相手のナナ=テスカトリは、十分に成熟した、村上位クラスの相手だったが、カッツェとウィルは、それぞれがバトルSやギアノスUシリーズという、安価な防具で挑んでいた。

炎妃龍の名にふさわしく、ナナ=テスカトリは、炎を操るという特殊能力を持つ。
近くに寄るだけで、どんな兵士も狩人も「炎の鎧」で焼き尽くしてしまう、まさに生態系を外れた存在…「古龍」を体現するモンスターの代表格だが、カッツェとウィルは、そのナナ=テスカトリを、完全に子供扱いしていた。

特に、ウィルの動きは凄まじかった。
鈍重なランスでありながら、まるでナナの攻撃を事前に察知しているかのように、僅かな体捌きだけで避け、受け流している。
その最小限の防御行動により、一早い行動に移る事ができるのだが、一撃を食らわせるチャンスがあっても、ウィルは殺気をナナに叩きつけるだけで、徹底して回避と防御に徹していた。
先ほどから、ナナがどんな攻撃をしようとも、ウィルにはかすり傷すら負わせる事ができなかった。

炎妃龍の本能が、この幽霊の如き相手を目の前に、僅かな恐怖を覚え、攻撃を躊躇した時…。

「あらよっと!」

カッツェのエメラルドスピアが、炎妃龍の甲殻…定点攻撃をしていたその一点を破壊し、穂先が肉に届く。
そして、エメラルドスピアの穂先から装填されている、ドスガレオスの昏睡毒が、炎妃龍の巨体を瞬く間に眠りにつかせた。

「…ナイス、カッツェ」
「一丁あがり! ウィル、グッジョブ! おーい! ロワード!」

そう言うと、カッツェは岩陰に隠れていた、ロワードという男を呼ぶ。

「もう大丈夫だぜ! 処置を頼む!」
「…お、おい、これ、本当に大丈夫なのか? ってか、生きてる相手から『古龍の血』を直接抜くだなんて、本当にできるのか? 無茶じゃないのか?」
「できるかどうか分かんねぇから、お前さんにお願いしているんだろ」

この、ロワードという分厚いメガネを掛けた青年は、ヴェルド王国の王立書士隊の青年である。
医師の資格も持っているため、今回の任務にはうってつけの存在という事で、昔のコネを使って、カッツェが強引に引っ張ってきたのだ。

ロワードはもの凄いイヤそうな顔のまま、鞄から採血用の道具を取り出す。 
於血(体の末端に溜まった悪い血)を出す時に使う、片方を尖らせた管(もちろんモンスターサイズの)と、その先に接続された巨大な瓶。

「おい、何やってんだよ、刺すならさっさと刺せよ」
「お、おい、これ、斜血の途中で起きるって事、ないよな?」
「心配すんな、途中でコイツが起きても、お前だけは絶対に守ってやるから」
「…この、特注の医療道具は?」
「そこまで責任持てねぇよ。 いいから刺せ」

ロワードが、ナナを決して起こさないように、恐々と管を、カッツェが破壊した甲殻の穴から差し込んで行く。

すると、恐ろしい勢いで、管の先からどうどうと血が溢れだし、接続された瓶の中に、真っ赤な…月の光で濃い紫にしか見えないが…が、みるみるうちに溜まり始めた。

「おお、スゲェスゲェ、やっぱこの作戦は正解だったな」「でも何で、わざわざ、こんな事するんだ…? 別に、お前等だったら、倒して『古龍の血』を集めても問題ないだろ? 何で俺に頼む?」
「お前、この作業がそんなにイヤなのかよ? …つか、ちょっと訳ありでな」
「何だよ、訳ありって」

炎王龍、霞龍、鋼龍をそれぞれ3体ずつ討伐してこい…という、バルベキア三国宰相、イルモードの命令。

しかし、これはそもそも無茶な要望であった。
イルモードはバルベキア三国のギルドマスターでもあったのだが、この国の混乱の最中、イルモードはギルドマスターとしての職務は何一つ遂行せず、結果、バルベキアのギルドは殆ど機能していなかった。
現場レベルでの対応…。 個人でもクエスト交付がどうにかなる、ダイミョウザザミやドスガレオスなどのクエストはあったのだが、大規模な捜索が必要な、古龍系のクエストは全く張り出されていなかった。
バルベキアのギルドが機能していない今、カッツェは隣国のヴェルド王国のハンターズギルド、そして王立書士隊に応援を頼む事にした、という訳なのである。

「だけどさぁ、良いのか? お前等、今はバルベキアの将軍職なんだろ? 俺たちに頼みごとをするなんて、立場上まずくないのか?」
「心配ない心配ない、将軍職っても、実際には全くの下働きだしよ」

それに、ヴェルド王国が戦争を仕掛けるまでは、両国は平和協定を結んでいた。
元々バルベキアは、グラン・バルベキアが三国統一をする前は、ヴェルド王国の一部、南ドンドルマ領だった事もあり、両国における人と文化、貿易の繋がりはかなり深い。
戦争をしている以上、建前は敵国であるが、民間レベルでは、まだ交流を続けている者も多かった。

「もうそろそろ、瓶一杯になるかな」
「この量で、何体分だ?」
「まぁ、1.5体分…って所か」
「あと5体か。 先は長いな」
「お、おい、まだやるのかよ!」
「当たり前だろ、古龍9体分、って言われてるんだからよ」

カッツェが、この「生体から直接血液を抜く」という方法を提案したのにも、もちろん理由はある。

腐っても相手は古龍、討伐までには時間が掛かるというのもあったが、実際に相手を殺してしまうと、その瞬間から死後硬直が始まるため、意外と血が抜けない。
実際に、古龍を倒しても「古龍の血」が採取できなかったなんてのは、わりとよくある話だ。

だが、危険こそ確かに莫大だが、直接生体から抜けば、外傷で血が漏れる事もなく、意外と大量の血液が採取できる。

そして、クリス王子は、当分、あの鎧を脱ぐ事はない。
イルモードの性格からして、自分たち、そしてヴェルド軍を圧倒するまでは、クリス王子にあの鎧の力を使わせ続けるだろう。
古龍の血を使わなければ、クリス王子の命も危ういのはもちろんだし、鎧の暴走で周囲に多数の死者が出る可能性もある。
なのでなるべく、古龍を殺さずに血を集める方法が必要だった。

倒すのは簡単だが、手あたり次第に古龍を乱獲しては、今ですら探すのに難儀しているのに、この周囲に古龍が居なくなってしまう。
それに、エイグリル将軍は、常々自分たちにも訓辞していた。

「失われて良い命などない」と…。

相手の命を軽率に奪うのは、そういう行動を取る、自分の魂をも軽率に扱うのと同じ事。
自分の行動は、いつも誰かに見られている。
騎士として、誰に見られていても、恥じる事のないように振る舞えと、彼はそう言っていた。

「将軍…。 待ってて下さいね」

底冷えする砂漠の夜を、煌々たる蒼月が照らす。
バルベキアの方に向かって飛ぶ、あの美しい夜天の流れ星を、まだ将軍は見ることができるだろうか…。
そんな事を思いながら、カッツェは呟いた。

「…必ず、助けに行きますから」


場所はここで、ノーブル城の尖塔に移る。
前回の投薬から5日後、シャルルは再び、エイグリルに飲ませるための薬湯と回復薬G、携帯食料を持って尖塔にやってきていた。

エイグリルに薬湯を渡すために、懲罰の見本を見せる…と言い兵士たちを叱責して追い出し、エイグリルと逢う訳であるが、この方法とて何度も使える物ではない。
同じ相手には、この方法を二度使う事を避けていた結果、5日も無為に過ごす事となったが、先日、兵士たちのローテーションに大きな異動があった。

それを、信頼できる兵士からの賄賂情報で聞き出したシャルルは、これ幸いにと、エイグリルに薬湯を持って行っていた。
本当なら毎日でも持っていきたいが、それが叶わない今は、多少効果を強めたものを持っていっている。
それでも、期間を空けず定期的に持っていかないと、薬の効果が切れ、病状が進行する日が出てくるはず。

「いつも済まないね、君には本当に、なんと礼を言って良いか…。」

鞭罰の刑から逃れ、薬湯を持ってきたシャルルに、エイグリルは深々と頭を下げる。

「しょ、将軍! 顔をお上げ下さい! これは、臣下として、当然の事でございます! 何も、恥じる事などございません!」
「…全てを失った私を、まだ将軍と呼んでくれるのか。 犯罪者に関わっても、君が不利になるだけで、良い事など何一つないのに」
「何を…。 何を仰いますか。 この国の真なる忠臣は、貴方さまをおいて他には居りません…。 我らが軍神は見ていらっしゃいます。 いずれ、必ずや元の身分に戻れる日はやって参りましょう」
「…ありがとう」

そう言って、エイグリルはシャルルに手を伸ばす。
かつてのように、シャルルの頭を撫でようとしていたのだろうが、目の見えないエイグリルの手は、あらぬ所に伸びていく。

「将軍、そこ、違います」

エイグリルの手は、シャルルの肩に触れていた。

「もう…。 将軍さまの中では、私は今でも、小さい女の子のまま、なんですね…」

エイグリルの目は、もう明暗も判じきれなくなってしまったのか。 
いや、今は夜だから、たまたま分からなかっただけ…。 そうに決まってる。 
そう信じたい。

そう信じたいのに、シャルルの声は、思わず涙に詰まった。
だが、エイグリルはシャルルの涙声に困惑し、慌てて謝罪する。

「…これは、淑女に対して、失礼な事をしてしまったな。 本当に申し訳ない」


かつて、絶対絶命の所を救出された少女・シャルルは、エイグリル将軍の取り計らいにより、バルベキアの国立孤児院へと入寮させられた。

そこには、彼女がもう手に入らないと望んでいた、生活の全てがあった。

朝のお祈り、そして暖かいスープとパン…。
夕食には肉料理すら出た。 
同世代の友達も居て、同じ戦災孤児だと分かり、すぐに仲良くなった。
そこは、まさに天国だった。
こんなに、世界というものは楽しい物だという事を、初めて知った。

だが、その施設では、妙に軍事教練が多い事に気がついてからは、彼女も真実に気づく。
彼女が収容された孤児院は、将来の兵士を育てる更正施設だった。

実際の所、ストリート・チルドレン…。
戦災孤児達を放置すると、生き残った者は、将来、そのほとんどが生活のために、強盗や殺人に身を染める。
疲弊する国力を維持するためには、個々の家庭を再建させるより、大がかりな施設で一緒くたに子供の面倒をみた方が結果的に安上がり、という将来を見据えた投資であった。

だがそれでも、この孤児院に、暗い陰はなかった。
この施設は、確かに兵士を養成するのが目的の施設ではあったが、女子は兵役を免除されていたし、病弱な者も、兵役の適用外だったからだ。

それに、男子たちが、軍事教練に精を出すのには、理由があった。

ある日唐突に、国王である小バルベキア公と、エイグリル将軍が、慰問のために孤児院を訪問した。
エイグリル将軍との劇的な再会に、動揺するシャルルだったが、その際に、国王と将軍の前で、教練にいそしんでいた男子たちの試合が行われた。
どれだけ優れた兵士になれるか、その武練と素質を上覧するための試合だった。

その中で、勝者は、この孤児院を出ていった。
彼は、「軍神の剣」になる事が認められたのだと。

そして、彼はエイグリルに頭を撫でてもらい、外に連れていかれた。
その時の、その男子の、なんと嬉しそうな顔…!

その光景、その顔を見た時、彼女は、女の身でありながら、「軍神の剣」になる事を決意した。
男の子たちとの合同体育にも積極的に混ざり、生意気だと言われて喧嘩になっても、絶対に引かなかった。
食事も残さず食べた。 男子とガチでぶつかる体育、特に軍事教練は相当にハードだったが、根をあげなかった。

なぜなら、ずっと彼女は、彼の元に行きたかったから。
あの夕日の中で微笑みかけてくれた、彼の笑顔。

あの笑顔を、もう一度見たい。
それだけを願い続けて、黙々と教練に勤しみ続けた彼女は、やがて美しい女性になっていった。
食生活が劇的に改善されたため、燃え残った灰のような髪は、輝く銀髪となり、やせぎすで肋が浮いていた体には相応に体力と筋肉がつき、ちょっとは背も伸びた。

もう、鏡の中には、かつて「灰かぶり」と言われた、みすぼらしい少女の面影はどこにも見えなかった。


「…違いますよ、将軍。 別に、小さい女の子扱いされた事を悲しく思った訳ではありません」
「?」
「ただ、貴方さまが、こんな不遇をかこう事になるとは、なんと運命は非情なものかと…そう思うと、思わず涙が出てしまいまして…」
「…ありがとう。 君のその気持ちだけで、十分に勇気づけられるとも」

それは、方便だった。
かつての自分を、圧倒的な強さで救い出してくれた男。
その男の『強さ』が、日に日に失われつつあるのが、彼女にとっては何よりも耐え難かったのだ。
他ならぬ、自分の力が足りないせいで…!

「…正しき志があれば、人は集まり、そこにきっと道は開ける。 今はただ、待つんだ」

エイグリル将軍はそう言う。

…だが、それはいつまでの話なのか?
自分が失明…。 あるいは、獄死するまで待つのか?

この王権を正しく取り返すには…。
いや、エイグリル将軍を、以前の力を保ったまま救い出すには、もう一刻の猶予もない。

「…将軍、恐れ多くも、現状は窮地と思われます…。 あのイルモード宰相が、貴方さまをここから出すとは思えません…。 外部からの助けを呼びましょう。 国内の事とこだわっている場合ではございません」

エイグリルは、その白い瞳で、シャルルの顔を見据えた。

「『砂塵の嵐』の方々に頼みましょう。 傭兵でもある彼らなら、きっと力になってくれるはずです」
「…!」

『砂塵の嵐』とは、オネスト群県(ランド)に居を構える、「狩人としての」エイグリル将軍の狩り仲間の事である。
彼らは、エイグリル将軍と同様に、全員が傭兵経験のある、凄腕のボウガン使いだと聞いている。
シャルルは、彼らと直接逢った事はないが、エイグリルと親交の深い彼らなら、きっと助けになってくれるはず…。
そう信じていた。

「…ダメだ」

だが、エイグリルはシャルルのその申し出に、首を振った。

「な、何故!? 何故でございます!?」

エイグリルは、シャルルを落ち着かせるように、ゆっくり返事をする。

「彼らは…。 確かに、凄腕の狩人であり、兵士たちだ。 君が言うように、もしも助けを求めれば、この状況を打破する契機を作ってくれるやもしれん」
「ならば…!」
「だが、私は、恐れ多くも、彼らの『友』なのだ」

一瞬、何事かを言おうとしたシャルルだったが、エイグリルの発言の意味が掴めず言葉が止まる。

「『友』を死地に赴かせる友など、真の友ではない」

「しかし…。 しかし!」

それでは、エイグリルが完全に失明してしまう。
エイグリルの言いたい事は分かるが、窮地を助けてこその友ではないのか。

なんとか…。 なんとかエイグリルを説得しなくては、とシャルルが焦っている時、唐突に、この尖塔にやってきた人物が居た。
オールバックの黒髪に、威圧感を纏った巨躯の男。

「どうした、シャルル。 …拷問はお休みか?」

そこに居たのは、本来ここにやってくるはずのない男…。
イルモード・ゲルギスクだった。

<続く>
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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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