女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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GUNNER'S HEAVEN(3)

シュゲール平原で対峙する、ヴェルド軍とバルベキア軍であったが、ヴェルド軍は圧倒的劣勢を強いられていた。
だがヴェルド軍に、猛将として全土に名を轟かす、ギルモア将軍が援軍として姿を表す。
ギルモア将軍は、バルベキア軍の指揮官、エイグリル将軍の手腕を褒めるが、さにあらん、ヴェルド軍を劣勢に追い込んでいるのは、『黒龍騎士団』団長を名乗る、シャルルという可憐な女性騎士だった。


「なるほど、了解しました。 …このままでは埒があきませんな。 私も参戦させて頂きましょう」
「どうするつもりだ、将軍」
「どうもこうも! 軍師たる貴方が、お分かりにならないのですか? あれは、戦記物語で有名な、クルアーン大帝の戦法を模したものですぞ」
「そんな事は分かっておる! だから、貴公はどんな戦法を取るのか、と聞いている!」
「知れた事。 一騎打ちにて、あの女と雌雄を決します」

戦闘狂の本性が露骨に出た発言を受け、ジェノアは顔をしかめる。

「バカな、一騎打ちなどを行う必要がどこにある? あの連中を叩き伏せれば済む話なのだ! 貴公は兵を連れて、前線に加勢せよ!」

だが、その指示を聞くと、ギルモアは一瞬、軍師を侮蔑するような表情を見せた。

「軍師、クルアーン大帝の戦法を本当にご存じですか」
「むろん知っておる」
「ならば、その最大の利点とは?」

過去に読んだ戦記物語の内容を反芻しながら、ジェノアは答える。

「この私を侮るか、貴公は。 味方軍の士気高揚と共に、一方的な戦力差を作る事で、兵の損害を最小限に止める事だろうが」
「その通りです。 お分かりになっているではありませんか」
「それが、どうしたというのだ!」
「敵軍は、思っているほど、圧倒的な戦力を持っている訳ではない、という事です」
「何!?」

ギルモアは、顔を戦場に向けて続ける。

「あの先頭に立つ女…。 私も狩人経験があるゆえ分かりますが、奴が着ている装備は、『荒くれの大剣』と『ゴシックメタル』シリーズですな」
「なんだその装備は? 狩人装備でも、上級のものなのか!?」
「いえ、全然。 どちらもこの地ではない、遙か異国の地で流通している物ですが、金さえ積めば案外簡単に手に入る、弱い装備です」

それがどうした、とジェノア軍師が疑問を投げかけるより早く、ギルモアは続ける。

「何故、あの女は、あんな姿で戦場に居るのでしょうな? そして、何故エイグリル将軍は、ここに居ないのでしょうか?」
「…エイグリルが居ない理由? それは、やはり国王の死去による、国内の政情不安定ではないのか?」
「その通り、国の危機であるこの戦に、エイグリル将軍が出てこないとは、よほどの事と察せられます」

そこまで言われると、ようやく軍師にも、敵軍の思惑が見えてきた気がした。
急速に、思考がまとまってくる。

「つまり、やはり連中は、先王が死去した今、全面戦争を仕掛ける余裕などなかった、と?」
「そうでしょう。 理由はどうあれ、混乱の今、奴らは極力被害を最小限に食い止める必要があった。 そのため、奴らはクルアーン大帝の戦法を採用し、大帝役をあの女が引き受けた」
「じゃあ、あの派手な装備を身につけているのは、それが理由か」
「御意。 もし、これがエイグリル将軍であれば、最初から我が軍は畏怖していたでしょうが、名も知れぬ将軍であれば、何等かの方法で、兵士の目を引きつけ、自分の威名と強さを最初に轟かせる必要があった訳です」

つまり、バルベキア軍は、実は青色吐息の烏合の衆。
それを強兵のように見せかけ、支えている屋台骨が、あの女性騎士、という事か。

「ええ、私めが、あの女を一騎打ちにて盛大に討ち取れば、我が軍の士気も回復する事でしょう」
「そうか、その通りだ! 戦場を一見しただけで、そこまで見抜くとは大したものだ! ギルモアよ、さすがの慧眼だな!」

確認もしていないのに、大将軍は無邪気に喜ぶ。
ギルモアの言っている事は間違ってはいないが、敵軍は自軍の弱点を理解し、そこに最も堅なる部分を被せる事で補強している。
敵軍の最も堅なる部分…あの女性騎士は、おそらく一騎打ちでも相当な強さを誇るはず。
どんな理由であれ、自ら堅に当たるは戦の愚策。
もう一度、ジェノアはギルモア将軍に確認してみる。

「将軍、勝算はあるのか」

そう問うと、ギルモア将軍は鼻を鳴らし、ニヤリと笑いながら答えた。

「むしろ、負ける要素がございません」

ギルモア将軍はニヤリと笑うと、彼の愛用武器である「神龍騎槍ゲイボルガ」をこれ見よがしに見せつける。
かつて、傭兵団『鉄騎』の団長が愛用していた槍で、どの槍よりも鋭いと言われる逸品だ。

「あの女の武器防具と比べれば、まさに天地の差にございます」

ギルモア将軍にとって有利な点は、それだけではない。
そもそも、「兵士」が「狩人」よりも有利なのは、武器防具の相性にゆえだが、それに加え、「重装騎兵」は「歩兵」に対し、さらに優位なのだ。 この二重の優位は、並大抵の事では覆せない。

「だが、奴は大剣を装備している。 斬馬刀としても使用が可能だし、そもそも奴は並の歩兵ではないぞ」
「問題ありません。 私の馬は、多少の刀傷ではビクともしないよう、全身に鎖鎧(チェーンメイル)を着せております。 それに…。」

ギルモア将軍は「スティールXシリーズ」の胸を叩きながら言った。

「戦場において、私に勝てる猛者が、どれほどおりましょうや!」

確かに、個人の技量においても、ギルモアは無双を誇る猛者であり、彼を越える強さの者など、大陸全土を探しても、数人居るか居ないかだ。

武器防具の質、戦闘の相性、武術の技量…。
ギルモア将軍の言うとおり、なるほど負ける要素など、確かにどこにもない。
…だが、何なのだろう、この取れぬ不安は。

「それでは、言って参ります! 必ずや奴の首を、大将軍の御前に掲げて差し上げましょう!」

だが、ギルモア将軍はジェノア軍師の懸念など知らぬ顔、控えていた側近たちを従えて、疾風の如く戦場まで駆けていった。


黒龍騎士団団長「シャルル=サンドリオン」が、ヴェルド軍に対し、獅子奮迅の働きを見せている最中、突如兵の動きに異変があった。

自軍の兵士たちが、突如何者かに奇襲を受け、蜘蛛の子を散らすようになぎ倒されている。
悲鳴のする方向を見れば、横一列に陣を延ばした、自軍の最も弱い部分から、敵の騎馬隊が突っ込んできていた。

「(まさか、援軍!?)」

シャルルの右手側を守っていた黒騎士「カッツェ」が、その惨状を見るや、単騎で援軍に立ち向かう。

それを見て、内心安堵したシャルルだったが、なんと驚くべき事に、援軍の敵将は、カッツェと互角…。
いや、それ以上の強さを誇っていた。

激しい火花を散らして斬り結ぶ重装槍兵同士の戦いだが、見る見るうちにカッツェは敵に押されていく。

「(バカな!! カッツェより強い、だと!? 誰だ、あいつは!?)」

カッツェは、シャルルと同じほどに武芸に優れた猛者である。 
それをああも簡単に押して行くとは。

ひときわ大きな剣戟の音と共に、敵援軍の先頭…巨漢の槍兵はカッツェの槍を弾き飛ばす。
慌ててカッツェが距離を取った所で、敵は槍を下げ、こちらを見て口上を述べてきた。

「我が名は、『ギルモア=ソースクラブ』! 生まれはフィアレス、ヴェルド軍にて西方護国第二将軍を勤めるもの!」

その名を聞いた途端、彼女の全身に悪寒の如き戦慄が走る。
シャルルの強さに怯えて戦意を無くしていた敵軍は、その名を聞いて、歓声とともに一気に活気を取り戻し、対して自軍には恐怖の波紋が拡がるのが、取り巻く空気を通して彼女にも伝わった。

「(ギルモア=ソースクラブ…!!)」

シャルルも、当然その名を知っていた。
ヴェルド王国…いや、この大陸全土において、その勇猛さと残虐さで名を轟かせる悪将軍。
彼が通り過ぎた後は、鮮血の川と肉塊の山しか残らないという、恐怖の存在にして、戦場で最も出会いたくない相手。

まさか、こんな凶者が、この辺境の戦争の援軍に現れようとは…!

ギルモアは、こちらに槍を向けながら口上を続ける。

「黒龍騎士団、団長殿よ! かの偉大な大帝に倣う、無礼者よ! 大帝は貴様の弱さにお嘆きである!」

ざわ、と自軍に動揺が走る。
騎士団長であるシャルルを「弱い」と言い切る、悪将ギルモア。
その全身から放たれる獰猛な威圧感は、それだけでバルベキア軍の士気を殺ぎ始めていた。

「英霊の審判の元、どちらが真の勇者たりえるか、ぜひ我が槍と雌雄を決しようぞ!」

「(なんだと…!?)」

まさかの、一騎打ちの申し込み。
悪将軍の武勇の評判は聞き及んでいたが、まさかカッツェを押すほどの猛者だとは。
しかも相手は重装騎兵、徒歩に大剣のこちらには、すこぶる相性が悪い相手だ。

だが、敵味方全軍から注がれる視線を受けるこの状況、そして自分がクルアーン大帝の戦法を模している今、一騎打ちを断る事はできない。
一騎打ちを断れば、自軍の士気は大きく下がり、数においてほぼ互角であるバルベキア軍とヴェルド軍は、お互い消耗戦の殺し合いとなる。
ウィルとカッツェ、そして自分が三人掛かりで挑めば、ギルモアを倒す事は十分可能だろうが、その場合、ギルモアは逃げながらの遊撃に徹するだろう。
どちらにせよ、自軍に大被害が出る事は避けられない。

…自分が、一騎打ちでこの敵に勝つ以外には。

「よかろう! その申し出、受けてたってやる! 英霊の御名にかけて、どちらが真なる強者か、はっきりさせてやろう!」
「承ったぞ、団長殿ッッ!」

そう言ってギルモアは呵々大笑すると、槍を一振りして、自軍に対し「後方に下がれ」というジェスチャーを取る。

一騎打ちのための十分なスペース、そして二人の邪魔が入らぬよう、かなりの距離を取るのが一騎打ちを見守る者達の作法だったが、なんとバルベキア軍の兵士達までもが、ギルモアの圧力によって後方に下がる。

それを見て、内心焦りを感じるシャルル。
ウィルとカッツェが、黒甲冑の下から、視線で「大丈夫か」という問いかけをしているのが分かる。

「…大丈夫。 貴方達も下がってて」

私は、絶対に負けられない。
味方はもちろん、何よりも、あの男(ひと)を護りきると、心に誓ったのだ…。
こんな所で躓く事など、できようはずもない!

全員が完全に下がりきるまでは、一騎打ちは始まらない。
ウィルとカッツェが、シャルルの方を見ながら後方に下がったのを確認するやいなや、ギルモアは槍を天に掲げ、一騎打ちの名乗りを上げてきた。

「我が名は、西方護国第二将軍、ギルモア=ソースクラブ! 大帝の御名と名誉を汚す不届き者よ! 父と、子と、精霊の名に掛けて…」

それを聞いて、シャルルは耳を疑った。
それは、戦場での一騎打ちではなく、王族や貴族の決闘の時に使われる、名誉と命を賭けた「決闘」の決まり文句。
この殺戮しか知らぬ悪将軍が、よくまぁそんな上等な文句を知っていたものだ。

そして、ギルモアは、槍を一直線にこちらに向け、峻烈な覇気とともに言い放つ。

「…貴様の血と魂に、一切合切の、決着を付けてやるッ! 受けきれるか、この剣(つるぎ)!」

…よかろう。 ならば、こちらも正式な騎士の決闘として受けて立とう。
全て相手の土俵に乗った上で、それでいて競り勝たなくては意味がない。

シャルルは、同様に大剣を胸の前に構え、天に向かって掲げると、再び名乗りを上げる。

「我が名は、バルベキア三国王、直属近衛兵『黒龍騎士団』団長、シャルル=サンドリオン!」

そして、相手の槍から放たれる殺気を切り裂くように、相手に大剣を突き付け、続く対句を返す。

「我が天照らす銀の日輪ならば、貴様は地を駆く金の月輪(つき)! 影に過ぎぬ貴様に、どうして我が剣の、綾なす光に勝てる道理があろうかッ!」

その返礼の句を受けると、ギルモア将軍は、一気に馬を走らせてこっちに突っ込んでくる。

「よくぞ言った、この雌犬めがッ! その言葉、あの世で大帝にかしづいて詫びるが良いッ!」
「それが本性か、悪将軍! 貴様こそ、この大剣の一撃を受けてみろッ!」

二人の雄叫びと同時に、剛槍と大剣が一直線に激突し、鮮烈な剣戟の音が稲妻のように轟く。
それを皮切りにして、まるで荒れ狂う竜巻の如き二人の対決は始まった。

<続く>
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*Comment

NoTitle 

通してじっくり読ませていただきますた!ヽ(´ー`)ノ

なんか、モンハンという枠を超えた壮大な戦記物になりそうな予感!w
ただのハンター家業の話しじゃなく、
モンハンの世界を広く感じられる描写がいいですね!

モンハンといえばハンター対モンスターですが、
人間対人間ならではのドラマもやはり面白いです!

しかし、まさか冒頭から自分のイメージキャラが暴れまわるとは・・・
これからもセクシー描写が見れるのかしら・・・(;゚∀゚)=3ハァハァ
  • posted by Ash 
  • URL 
  • 2011.03/06 18:55分 
  • [Edit]

ご無沙汰してます! 

本編更新おつかれさまです(・ω・)/

丁寧な描写にぐいぐい引き込まれます!その文才、少し分けてください(お

早く続きが読みたいです♪

とはいいつつも、お子さんや奥様がすねたりしないように十分気をつけてくださいねw

ではまたお邪魔しまーっす!

  • posted by Vesper 
  • URL 
  • 2011.03/06 19:26分 
  • [Edit]

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丼$魔

Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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