女神の機械槍

モンスターハンター関係の二次創作(イラスト・小説)ブログでしたが、最近はオリジナル小説に傾倒中です。

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「GUNNER'S HEAVEN」:Prologe「Overture」(18)-2


シェリーが林道に入るのを見届けると、青年は大きく深呼吸し、目の前を進軍する岩山龍を睨みつける。
そして、今まで何度もシミュレーションした、対老山龍戦のプランを、もう一度脳裏に描く。


かつて、老山龍を倒すには、大火力の近接武器で一斉に襲いかかり、「痛み」を与える事で撃退するしかない…と、そう信じられていた。

何故「近接武器」に限られていたかというと、老山龍の体は堅い外殻に覆われているため、ガンナーの放つどんな弾も、体内まで通らなかったのだ。

仮に、皮膜の薄い顎下・腹下から、角度を付けて体内を狙うとするなら「寝転がりながら射撃をする」というおよそ非現実的な話となる。
故に、それまでの老山龍戦では、ガンナーはその有効性が見いだせず、剣士のサポートをするのがせいぜいであった。

しかし、ある時を境に、老山龍討伐に参加したガンナーの報告に、無視できない物が混じり始める。

それは、老山龍の真なる弱点の可能性。

ある立ち位置から攻撃すると、予想以上の頻度で怯む様子を見せたという。
老山龍も生物である以上、重要な内臓器官は必ず存在するはず。
その場所を特定して直接攻撃できれば、より効果的にダメージが与えられるのではないか…? との推測でレポートは締められていた。

言われるまでもなく、どんな生物にも重要器官は存在する。
それが体表に近い位置にあるかどうかはまた別の話だが、このレポートの結果は、もう一つの可能性を示唆していた。

ガンナーの攻撃は老山龍に通用する、というその事実。
そしてその立ち位置は、意外な事に「前腕の脇」だったという事。

この事実により、「老山龍の弱点は、顎下か腹下」というそれまでの定説を覆し、「前腕の周囲に弱点が存在するのでは」という説が新たに浮上してきた。

可能性としては二つ。 
前腕の体表に近い位置に、老山龍独自の重要器官か神経節が存在する、というのが一つ目、もう一つは、その部分だけ特に装甲が薄く、体内に弾丸が届いていたというのが二つ目。

身内のガンナーたちに、この思いつきに対する意見を求めてみたところ、

「…後者、だと思います」
「理由は?」
「言われて私も気づきましたが、あの分厚い鎧が、老山龍の全身をまんべんなく覆っているとは考えにくいですね」
「つまり、他部位に比べて装甲の薄い部分が、やはりあると?」
「ええ。 仮に関節部までも全て覆っているなら、あの巨体を機敏に動かす事自体、困難でしょうから」

「おそらく…ですが、この報告が本当であるなら、前腕の関節部周辺に、比較的装甲の薄い部分がある可能性は高いです」

…そして、それからしばらくの研究を経て、「弱点」は、遂に特定された。


「A GUNNER」は、目の前の岩山龍に向かって、引き金を引いた。
 直線を描いて岩山龍に向かい飛んでいった弾丸は、肩に着弾すると、細かい破片になって飛び散り、岩山龍の装甲に食い込む。 
そしてそこから、ドガンドガンという炸裂音と共に、小さな爆炎が次々と吹きあがった。

「拡散弾Lv2」。

強度の可燃性を持つ、「竜の爪」を素材にしたこの弾丸は、飛び散りつつも標的に食い込み、小爆弾と化した破片が、内部からの爆発による破壊を引き起こす。
それを装填しながら立て続けに撃ち込むと、わずかだが、細かい破片とともに肩の装甲部が剥がれ落ち、中から金属に似た光沢が見えた。

まず目指すは、肩の部位破壊。
肩を砕いて進軍速度を落とすとともに、前腕周囲の装甲を削いで、少しでも「貫通弾」の通りをよくするためだ。
これが研究の結果、導き出された最善手。

作戦を遂行するため、彼は拡散弾をポーチから次々に取り出すと、流れるような仕草で、肩へと連続で撃ち込んでいった。


その頃、林道を走っていたシェリーは、彼…「A GUNNER」の事がどうしても気になり、林道からその上の岩棚に登り、様子を見てみた。

…彼は健在だった。
そして、パッ、パッと岩山龍の肩口で次々に咲く爆炎の華。
それを見た時、かつて彼が言っていた事が、ふと思い出された。

「(…これはね、最強の弾薬『拡散弾Lv2』を作る材料なんだよ。 爆薬に詰めて飛ばすと、弾丸の破片が、敵の装甲に潜り込んで爆発するんだ)」

アレが、拡散弾…。

そう思って見ている間に、岩山龍の巨体が大きくかしいだ。
左腕に力が入らなくなってよろめくような、妙な挙動だった。
きっと、あの爆破攻撃で、圧倒的なダメージを与えたのだろう。
自分たちがあれほど粘ってできなかった事を、一人であっさりやってのける姿を見て、改めて畏怖と感嘆の気持ちが湧き起こる。

「(やっぱり、彼は本物だった…。)」

本物のギルドナイトである、彼の戦いぶりを目の当たりにして、彼女の中に複雑な感情が芽生える。

自分はやはり、ギルドナイトの娘ではなかった。
アイアンランスで、老山龍…いや、岩山龍を倒すのは無理だ、とはっきり分かってしまったから。

でも、彼と共に、戦いたい。
彼とだったら、あの『岩山龍』だって倒せるような、そんな気がするのだ。

でも彼は自分に対し、村に帰れ、と言った。
彼は、自分の事を「弱くない」と言ったが、それは世辞だったのだろうか。
村の中で問題を起こしてはいけないから、優しくしていただけだったのか。 そう、コルネットと同じように…。

「(違う、違うよね…。)」

その時、彼女は、その感情こそが、自分の最後の拠り所である事を自覚した。
そこまでも否定されたら、もう彼女には、本当に何も残らない。

そう、ギルドナイトの娘でなくったって、戦えるはずなのだ。
だって、彼自身が以前にそう言ってくれた。
「大事なのは、生きて何をしたか」だと。

「(戦えば…)」

方法は、まだある。
彼女でも、おそらくは彼の力になれる方法が。

「(戦えば、認めてくれるよね…。)」

そう思ったシェリーは、岩棚を降り、再び林道へ戻った。

吹き付ける驟雨が、彼女の頬を流れる涙を拭う。
戦う意志を固め、村へと駆ける彼女の脚は、いつの間にか躍動感を取り戻していた。

<続く>
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*Comment

NoTitle 

楽しみにしている小説が再開しましたか!

読んでいて気になったのがガンナーの火事場についてです。
近接系ならば身体的な向上するのは判るのですが、
ガンナーはどのような恩恵をうけるのでしょうかね?
相手の身体の透視でも出来るんでしょうかね?
あの範馬勇次郎みたいにw
謎です・・・
物語では顔が鬼の形相みたいらしいですが,今後の展開に
期待しています。

では(´∀`*)ノシ
  • posted by kamiomiya 
  • URL 
  • 2010.09/02 22:36分 
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Author:丼$魔
モンスターハンターをこよなく愛する熱・血・猿。

しかしどういう経緯を辿ったか、最近はオリジナル小説を更新中。

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